ミャンマー、外国人1万人余り拘束-インターネット詐欺で不法入国
ミャンマー軍事政権は、オンライン詐欺に関連し不法入国したとされる外国人をここ9カ月間で1万人以上を拘束した。
ミャンマー情報省は28日、前日までに中国およびタイとの合同取り締まりで拘束された1万119人のうち、約9340人が送還済みだと発表。残りの外国人についても帰還の手続きを進めているという。
国際社会はミャンマーに対し違法詐欺ネットワークの解体を求める圧力を強めている。米国は先月、主要な詐欺拠点であるシュエコッコで活動する複数の企業を制裁対象とした。米政府はシュエコッコについて、軍政と同盟関係にある少数民族の武装勢力の支配下にあると指摘している。
ミャンマー国家統治評議会のゾーミントゥン報道官は、タイ国境に近い「KKパーク」で詐欺ネットワークを容認しているとして、ミャンマー軍と戦う少数民族武装組織「カレン民族同盟(KNU)」を非難した。KNUの指導者らが土地の賃貸や賭博拠点への警備提供を通じて利益を得ていると主張した。
これに対し、KNUの対外担当責任者ソートーニー氏はインタビューで、軍政の主張を全て否定し、「彼らは長年、自らの利益のためにそうしたことを続けてきた。だが国際社会から圧力を受けると、責任を押し付ける相手を探し、われわれに罪をなすりつけようとしている」と反論した。
地元メディアによると、軍事政権による先週の取り締まり後、KKパークの詐欺拠点の運営者は施設を放棄したという。AFP通信はタイ当局の話として、1000人以上がミャンマーからタイに逃れたと伝えた。その多くは中国人だった。
「ほとんどの人が逃げ出していた。まるで世界の終わりのようだった」とソートーニー氏は語り、現地で発生した数回の爆発についても言及した。
インターネット規制の中で、ミャンマーの詐欺拠点はイーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースXの衛星インターネット事業スターリンクに大きく依存していた。
スペースXは先週、サイバー犯罪組織に悪用されている疑いのあるスターリンク端末2500台以上を無効化したと発表。ソートーニー氏は、実際の数はさらに多い可能性があると述べ、「あの地域では広く使われていた」と指摘した。
国連薬物犯罪事務所(UNODC)は今年の報告書で、ミャンマーやラオス、カンボジアなどにおける犯罪組織が「マネーロンダリング(資金洗浄)や人身売買、データブロッカーなどと結び付いた高度な国際犯罪ネットワークを通じ、産業規模のサイバー詐欺センターを運営している」と警告していた。
原題:Myanmar Detains Over 10,000 Foreigners in Scam Center Crackdown (抜粋)
— 取材協力 Khine Lin Kyaw