ゼレンスキー大統領、激戦地ポクロフスク近郊の前線部隊を視察
画像提供, Ukraine/Main Directorate of Intelligence
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は4日、ロシアとの間で最も激しい戦闘が行われている東部ドネツク州ポクロウシク近郊の前線部隊を訪問したと述べた。
ゼレンスキー大統領は、ポクロウシクの北約20キロに位置するドブロピリャ地区の司令室で兵士らと面会し、その様子の写真を投稿した。
ウクライナのオレクサンドル・シルスキー最高軍司令官は3日、ウクライナがドブロピリャの前線への圧力を強めていると述べ、「敵に部隊の分散を強い、ポクロウシク地域に主力を集中させることを不可能にする」ことを目的としていると語った。
ロシアは、戦略的な前線の町であり物流拠点でもあるポクロウシクの掌握を、1年以上にわたって試みている。
画像提供, Volodymyr Zelensky/X
ロシア軍部隊は、町の境界に接近するまでに数か月を要したものの、現在ポクロウシクに侵入している。ゼレンスキー氏は10月31日、ロシアが周辺に17万人の部隊を集結させたと述べた。
ウクライナとロシアの双方は、ポクロウシクおよびその周辺の状況について、異なる主張と反論を繰り返している。
ロシア側は、ポクロウシクを掌握することで、いわゆる「要塞(ようさい)地帯」に含まれるクラマトルスク、スラヴャンスク、コスチャンティニウカ、ドルジュキウカなど、ドネツク州の他の地域へのアクセスを得る可能性がある。
シルスキー司令官は、ウクライナ軍が「数千人規模の敵部隊の圧力」に耐えていることを認めたが、包囲されているとの見方は否定した。一方、ロシアの軍事系ブロガーは、ポクロウシクの90%がロシアの支配下にあると主張している。
ソーシャルメディアに投稿された未確認の映像には、近接戦闘やドローンによる攻撃、路上での戦闘の様子が映っている。
米戦争研究所(ISW)は、かつて人口6万人を有していたポクロウシクが、現在ではほぼ完全に民間人が退避し、大部分が破壊された状態にあり、ロシア軍が町の内部で「快適さを増しながら」活動しているとした。
さらに東側では、ロシアの部隊がミルノフラドの町を標的にしているとされており、これによりウクライナ兵が包囲の危険にさらされる可能性がある。
激しいドローンの活動により、多くの物流ルートが遮断され、避難や弾薬・車両の供給がほぼ不可能な状況となっている。
ゼレンスキー氏は3日、ロシアがここ数日間、ポクロウシクで「何の成果も得ていない」と述べた一方で、周辺地域におけるウクライナ軍の状況について「容易ではない」と認めた。
ゼレンスキー氏は、前線で発生しているすべての衝突のうち3分の1がポクロウシクで起きており、ロシアが使用している滑空爆弾の半数が同町に向けて発射されていると付け加えた。先週初めには、ポクロウシク地域におけるロシア部隊が、ウクライナ側の兵力を8対1の比率で上回っていると述べていた。
一部のウクライナ人コメンテーターは、ポクロウシクの防衛を継続する政府の方針を批判しており、部隊が危険にさらされていると主張している。
ゼレンスキー氏は4日、ドブロピリャ訪問時の写真と共に、「これは我々の国であり、我々の東部であり、我々はこれをウクライナのものとして守るために全力を尽くす」と投稿した。
現在、ロシアはドネツク州の81%、隣接するルハンスク州の99%を支配している。両州は合わせてドンバス地方を構成している。
ロシアは、同地方全体の掌握という野望を決して弱めていない。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2022年、同地方が完全な支配下にないにもかかわらず、併合を宣言している。
しかし、前線での進展は遅々としており、ドネツク州北部の要塞化された町々を占領することは、人員と資源の両面で膨大な代償を伴う可能性がある。
一方、前線から離れた地域では、ロシアがウクライナの都市への攻撃を継続。冬の到来に伴い、同国のエネルギー施設を標的としている。
3日夜には、大規模なドローン攻撃が黒海沿岸の南部港湾都市オデーサを襲った。攻撃は工業施設に損害を与え、火災を引き起こし、電力供給に影響を及ぼした。週末には、全国で発生したドローンとミサイルによる複合攻撃により、少なくとも15人の民間人が殺害され、44人が負傷した。
ウクライナは反撃を続けており、主にドローンを用いてロシア国内および国境地域の工業施設を攻撃している。
ウクライナ政府は4日、ロシア南西部バシコルトスタン共和国の石油化学工場と、ニジニ・ノヴゴロド州の製油所を攻撃したと発表した。一方、今週初めには、ロシアの国境地域ベルゴロドでドローンの爆発があり、女性1人が殺害され、3人が負傷した。