英中銀保管の金、大幅ディスカウントで取引-トランプ関税巡る懸念で

Yvonne Yue Li、Jack Ryan、Jack Farchy、Sybilla Gross

  • ディーラーは市場水準を1オンス=5ドル余り下回る水準を提示
  • 関税発動を警戒して金が米国に流入、英中銀での引き出しに遅れ

イングランド銀行(英中央銀行)の金庫に保管されている金塊は、市場全体を下回る価格で取引されている。トランプ米大統領による関税発動を巡る懸念から、金塊への需要が殺到しており、引き出しに数週間を要しているためだという。

  事情に詳しい関係者によると、ディーラーは英中銀に保管されている金について、ロンドン現物市場の水準を1オンス当たり5ドル余り下回る価格を提示している。

  通常は英中銀とロンドン市場の間で価格差はなく、今回のような乖離(かいり)は異例だ。過去に起きた価格差は中央銀行の取引活動に起因するもので、通常は1オンス当たり数十セント程度どまりだと、市場関係者は話している。

  背景には、トランプ米大統領が関税を課すシナリオに備え、世界から米国に金が流入していることがある。トランプ氏が貴金属を関税の標的に挙げているわけではない。しかし、ディーラーの間では、トランプ氏がちらつかせている一律関税に貴金属が含まれる恐れがあると警戒している。

  トレーダーが先手を打とうと急ぐ中、英中銀のスタッフも対応に追われている。引き出しまでの待ち時間の長期化により、英中銀の金庫に保管されている金塊は、より利用しやすいロンドン周辺の商業用金庫に保管されている金塊よりも妙味が薄れている。

  英中銀は現時点でコメントの要請に応じていない。

原題:Gold Dealers Sell BOE Bullion at Big Discounts on Tariff Jitters(抜粋)

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