自閉症の子どもに見られる姿勢の違い、話せる子と話さない子
- 自閉症の子どもには姿勢に特徴が見られるという研究結果があるのですか?
- はい、話す子どもは腰の反りや骨盤前傾など前後方向の姿勢の崩れが目立つ傾向があり、話さない子どもはつま先歩きや足首の動きの制限が現れやすいと報告されています。
- この研究の対象はすべての自閉症児に一般化できるものですか?
- いいえ、対象は28人の自閉症の男児で小規模な研究であり、全ての子どもに当てはまるとは限りません。
- 言語以外の体の特徴に気づくことは日常の支援にどう役立ちますか?
- 言葉以外の体の使い方・姿勢を観察することで、自閉症の理解をより立体化し日常の関わりや支援のあり方の手がかりとなる可能性があります。
自閉症のある子どもたちは、コミュニケーションや感覚の受け取り方だけでなく、体の使い方や姿勢のあり方にも特徴を示すことが知られています。 立ち方や歩き方、体の傾きやバランスの取り方といった点は、日常生活の中では見過ごされがちですが、子どもの発達や過ごしやすさに深く関わっています。
ポーランドのポズナン医科大学を中心とする研究グループは、自閉症のある男児を対象に、「話す子ども」と「話さない子ども」のあいだで、体の姿勢や動きにどのような違いがあるのかを詳しく調べました。 この研究は、言葉の有無と身体的な姿勢との関係を直接比較した、これまでにほとんど例のない試みです。
研究に参加したのは、6歳から17歳までの自閉症の男児28人です。 このうち17人が言葉によるコミュニケーションが可能な子どもで、11人が日常的な発話を行わない子どもでした。
年齢、身長、体重、BMIといった基本的な身体指標には、両グループのあいだで大きな差はありませんでした。
研究者たちは、背骨のカーブ、骨盤の傾き、肩や頭の位置、関節の動く範囲、体幹の筋力、さらにはつま先歩きの有無など、多角的な方法で体の状態を評価しました。 測定はすべて一時点で行われ、日常の状態をそのまま捉えることを重視しています。
その結果、まず明らかになったのは、話す子どもたちのほうが、体を前後方向に大きく崩した姿勢を示しやすいという傾向でした。 具体的には、腰の反りが強くなる腰椎前弯の角度が大きく、骨盤が前に傾きやすく、肩が前に出る姿勢をとる子どもが多く見られました。
これらの特徴は、姿勢評価の基準と比べると「基準範囲を超える」ケースが、話す子どもたちで多い傾向にありました。
一方で、話さない子どもたちは、背骨や骨盤の角度が比較的おだやかで、全体としては標準的な姿勢に近い配置を示す場合が多く見られました。 頭の位置や肩の左右差、腰のくびれの左右差といった点でも、両グループに大きな違いはありませんでしたが、姿勢の前後方向のクセという点では、話す子どもたちのほうが目立つ結果となりました。
背骨のねじれや側弯に関しては、話す子どもと話さない子どものあいだで明確な差は見られませんでした。 体を前に倒して調べる検査でも、ねじれの角度が治療を必要とするレベルに達する子どもはほとんどおらず、自閉症そのものが側弯の発生に直接関わっているとは言えない結果でした。
歩き方や足首の動きに目を向けると、別の特徴が浮かび上がります。 話さない子どもたちは、つま先歩きを示す割合が高い傾向にありました。
統計的に明確な差とまでは言えないものの、研究者たちは、この傾向に注意を向けています。
さらに、足首を上に曲げる動き、いわゆる背屈の角度は、話す子どもと話さない子どもの両方で、基準値よりかなり小さいケースが多く見られました。 全体の約9割の子どもが、足首の背屈可動域が基準を下回っていたのです。
これは、つま先歩きの有無にかかわらず、自閉症の子どもたちに共通する特徴として示されました。
研究者たちは、この結果を、姿勢制御の発達のしかたと関連づけて考察しています。 足首の動きを使って体のバランスを調整する仕組みが十分に発達せず、代わりに股関節や体幹の動きで姿勢を保とうとする傾向が、自閉症の子どもたちでは見られる可能性があると述べています。
体幹の筋力をみる検査では、話す子どもたちのほうが、姿勢を保てる時間が長いという結果が出ました。 ただし研究者たちは、この差を単純に筋力の強さだけで説明できないと慎重に述べています。
検査の理解のしやすさ、環境への慣れ、指示への反応のしかたといった要因も、結果に影響した可能性があるためです。
こうした結果を総合すると、この研究は、自閉症のある子どもたちの体の姿勢が一様ではなく、言葉によるコミュニケーションの有無によって、異なる特徴を示す可能性を示しています。 話す子どもたちは、腰や骨盤、肩といった前後方向の姿勢の崩れが目立ちやすく、話さない子どもたちは、つま先歩きや足首の動きの制限といった特徴が現れやすい傾向が見られました。
ただし、この研究は28人という比較的小規模な対象で行われており、結果をそのまますべての自閉症の子どもに当てはめることはできません。 研究者自身も、この点を明確な限界として示しています。
それでも、言葉だけでなく、体の使い方や姿勢のあり方に目を向けることが、自閉症の理解をより立体的なものにする可能性を、この研究は示しています。 自閉症の子どもたちの「見えにくい体の特徴」に気づくことが、日常の関わりや支援のあり方を考える手がかりになるかもしれません。
(出典:chirdren DOI:10.3390/children12020145)(画像:たーとるうぃず)
今回の研究は小規模なのですべての自閉症の子どもには当てはまらないとのことですが、 自閉症で
- 話す子どもたちは、腰や骨盤、肩といった前後方向の姿勢の崩れが目立つ
- 話さない子どもたちは、つま先歩きや足首の動きの制限
との結果。
うちの子は話すことができませんが、これに当てはまらず、つま先歩きはしたことはありませんね。
(チャーリー)