がんを見逃さない! 早期発見で「5年生存率9割以上」

一生のうちに2人に1人がかかる「がん」。食生活や飲酒、喫煙などの生活習慣のほか、ウイルスや菌の「感染」もがんリスクと深く関わる。がんの罹患リスクが急増する50代以降は、これらリスク要因に対処すべく「予防」に取り組むと同時に、「検診」による早期発見が欠かせない。早期に発見して治療すれば、治る可能性は格段に高くなる。胃、大腸、乳房などなら早期発見で5年生存率は9割以上になる。国立がん研究センターがん対策研究所 副所長の井上真奈美氏に、予防と検診のポイントを聞いた。

 がんは日々の生活習慣の影響が大きく、日本人男性では43%、女性では25%、全体で36%のがんが予防可能であることを本特集でお伝えした。科学的根拠のある対策を日々実践すれば、がんのリスクは着実に下げることができる。「がんは避けられないもの」などと思われがちだが、「がん予防のためにできることは多い」ことを忘れてはいけない。

 前回は、国立がん研究センターが推奨している、たばこ、お酒、食生活、身体活動(運動)、体重の「5つ」の予防策のうち、食生活と飲酒を紹介した。今回は引き続き、「身体活動」「体重」「たばこ」について詳しく見ていこう。まずは「身体活動」から。

日常的に体を動かすこともがん予防に! 他の病気もリスク減

  • 身体活動(運動)
    • 大腸がん、結腸がん ↓(ほぼ確実)
    • 乳がん ↓(可能性あり)

 「体を動かすこと(=運動)が体にいい」のは広く知られることだが、がん予防にもいい。実際、身体活動量が多い人は、男女ともがん罹患リスクが低いというデータも出ている(*1)。特に男性では結腸がん、肝がん、膵がん、女性では胃がんなど、さまざまながんリスクへの好影響が示されている。

理由

 体を動かすことによって、筋肉などで糖を取り込むルートが活性化し、腫瘍を増殖させる働きがあるインスリンの過剰分泌が抑えられることが一因として考えられている。また、運動によって便通が整い、発がん物質が腸内にとどまりにくくなることにより大腸がんリスクが抑制される、などのメカニズムが推測されている。

行動のポイント

  • 早歩きする
  • 階段を使う
  • 一駅分多く歩く
  • 家の中でできるだけこまめに動く

 「特別な運動をする必要はありません。まずは座りっぱなしをやめて、できる範囲で動く時間を増やしましょう。身体活動を増やすと、がんだけでなく、循環器疾患や糖尿病などの疾患リスクが低くなるほか(第2回参照)、認知症リスクの低減にもつながります。日頃から身体活動を維持していくことが重要です。思い立ったらすぐできるのが、体を動かすことのメリットです」(国立がん研究センターがん対策研究所 副所長の井上真奈美氏)

 厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、以下の目安が示されている。

健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023

  • <成人>
    • 歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動:毎日60分以上
    • 息がはずみ、汗をかく程度の運動:週60分以上
  • <65歳以上>
    • 歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動:1日40分以上
    • 有酸素運動・筋トレなど多要素の運動:週3日以上

*1 Am J Epidemiol. 2008 Aug 15;168(4):391-403.

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  • 活力を取り戻し、不調を改善! 男性ホルモンを増やす鉄則

    疲労がとれない、倦怠感がある、意欲が湧かない、イライラする――。こんな不調を抱えている男性は「男性更年期障害」の可能性がある。女性の更年期と違って男性全員に起こるわけではないが、40代から70代まで幅広い年代で起こる。この原因となるのが男性ホルモン「テストステロン」の低下だ。男性の更年期障害は以前より認知されるようになったが、治療する人はまだ少ないのが現状だ。しかし放置は厳禁。放っておくと、身体機能の低下やうつ病、生活習慣病などの病気リスクが高まる。本記事では、男性ホルモンについて正しく理解し、どう対策していくべきかを、これまでの人気記事をもとに分かりやすく紹介する。

  • 首・肩・腰の痛みを減らすインナーマッスルの鍛え方

    首や肩のコリや痛み、腰痛などがあるとき、マッサージや湿布など「外側からのケア」に頼っていませんか。実はこれらの症状は、体の奥深くにある「インナーマッスル」を正しく使えていないことから起こっている可能性があります。

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    さまざまな種類がある不整脈。その1つ、心房細動では心不全や脳梗塞を引き起こすことがある。心室細動では、全身の血液供給が止まり、数秒で意識がなくなり死につながるという。本記事では、不整脈の種類とその対策について解説する。

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健康・医療のエキスパートが月替わりで登場して、読者の皆さんの質問に回答する人気連載「健康Q&A」。2026年4月の回答者は、目の病気、不調、見えにくさなどのエキスパート、日経Goodayの連載でもおなじみの二本松眼科病院副院長の平松類先生です。このテーマに関して聞いてみたいことがある方は、ぜひご質問をお寄せください!

 年をとるにつれ、「目が疲れやすくなった」「まぶしく感じやすくなった」という人は少なくないでしょう。こうした変化を「年のせい」だと放置するのは良くないと言われますが、見落としやすいサインにはどんなものがあるのでしょうか。

 また、加齢によって引き起こされる目の病気や老化現象には、老眼、白内障、緑内障…などいろいろありますが、これらの予防や早期発見、進行抑制などについてできることはあるのでしょうか。

 目の病気、不調、老化、見えづらさ、ケアなどついて悩み・疑問がある方は、二本松眼科病院副院長の平松類先生に質問してみませんか。平松先生は、目の病気、不調、見えづらさなどのエキスパートです。

平松類先生への質問はこちらからどうぞ↓↓↓

テーマ「目」 質問投稿ページ

  • ※投稿ページのQ1の回答欄に「目」とご記入ください。
  • 募集期間:2026年2月10日~2026年3月17日      (都合により早期終了あり)
  • 掲載予定:4月下旬

平松類(ひらまつ るい)さん 二本松眼科病院副院長(東京都江戸川区)/昭和大学兼任講師

昭和大学医学部卒業。今泉西病院(郡山市)、昭和大学病院、三友堂病院(米沢市)眼科科長、彩の国東大宮メディカルセンター眼科部長を経て現職。眼科専門医、医学博士。 診療の傍ら、目の健康や、患者と医師のコミュニケーション、高齢者特有の症状や悩みなどをテーマとした講演・執筆を手掛け、テレビや新聞などのメディア登場も多い。YouTube上で「眼科医平松類」として情報発信も行う。 著書に『自分でできる!人生が変わる緑内障の新常識』(ライフサイエンス出版)、『老化って言うな!』(PHP研究所)、『老人の取扱説明書』(SBクリエイティブ)、『患者が絶えないカリスマ眼科医がやっている失明しない習慣』(小学館)ほか多数。

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  • 活力を取り戻し、不調を改善! 男性ホルモンを増やす鉄則

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 それが「テーマ別特集」です。毎月、読者のみなさまの関心が高かったテーマをチョイスし、特に好評だった記事のポイントを編集部でピックアップしてお届けします。そのテーマ、ジャンルについて知っておくべきことが、この記事を読むだけですべて把握できます。さらに、そのテーマに関する記事一覧もご用意しました。ご活用ください。

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疲労がとれない、倦怠感がある、意欲が湧かない、イライラする――。こんな不調を抱えている男性は「男性更年期障害」の可能性がある。この原因となるのが男性ホルモン「テストステロン」の低下だ。男性の更年期障害は以前より認知されるようになったとはいえ、治療する人はまだ少ないのが現状だ。しかし放置は厳禁! 放っておくと、身体機能の低下やうつ病、生活習慣病などの病気リスクが高まる。本記事では、男性ホルモンについて正しく理解し、どう対策していくべきかを、これまでの人気記事をもとに分かりやすく紹介する。

テーマ別特集「男性ホルモン」 この記事の主な内容 テストステロンが低いと、筋力が落ち骨も弱くなる まずは「AMSスコア」でセルフチェック 名医が勧める「男性ホルモンを上げる食事」 成人男性の約3割がEDだった!

男性更年期障害は40代から70代まで幅広い年代で起こる

 閉経の前後5年間と定義される「女性の更年期」は、女性ホルモン(エストロゲン)が急減することで、心身にさまざまな不調が表れる。一方、男性には閉経に当たるイベントは起こらず、個人差はあるが生殖機能などが劇的に低下することはない。しかし、最近は、ホルモンの分泌変化によって起こる更年期障害が男性にもあることが広く知られてきた。

 順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科教授で、日本性機能学会副理事長なども務める辻村晃氏は、「女性の更年期と同じく、あるときテストステロン(主要な男性ホルモン)の分泌が急に低下することで身体面・精神面・性機能にさまざまな症状が起こります。それを医学的にはLOH症候群(late-onset hypogonadism=加齢男性性腺機能低下症候群)と呼びます」と説明する。

 男性更年期障害は、女性の更年期と違って男性全員に起こるわけではないが、40代から70代まで幅広い年代で起こる。辻村氏は、早ければ30代で起こる人もいると話す。

男女別のホルモン分泌量の変化

女性のエストロゲンは閉経後に分泌量が大きく減少する。一方の男性のテストステロンは、緩やかに減少する。(日本内分泌学会のウェブサイトを参考に作成)

 具体的には、「血液中の総テストステロン値が250ng/dL未満、またはたんぱく質と結合していないフリーテストステロン値が7.5pg/mL未満で、かつ何らかの症状を訴える」というのがLOH症候群の診断基準だという。「国内の潜在患者数は約600万人と推定されていますが、治療を受けている人は1割もいないのが現状です」(辻村氏)。男性の更年期障害は認知度が広がってはいるが、理解が進んでいるとは言えず、治療する人もまだ少ない。

テストステロンが低いと、筋力が落ち骨も弱くなる

 男性にとってテストステロンが重要なホルモンであることは言うまでもないだろう。単に男らしい肉体をつくるだけではなく、メンタル面にも大きな影響を与える。そのため、テストステロンの分泌が急に減ると、いろいろなところで不調を感じるようになる。身体症状では、ほてり、発汗、頭痛、肥満など。精神症状は不安、イライラ、抑うつ、知的活動の低下、不眠などが生じることがある。このほか、性欲の低下やED(勃起障害)など性機能にも症状が表れる

 女性の更年期は一般に閉経から約5年で終わるが、男性の更年期は終わりが見えない。放っておくと、LOH症候群の症状がどんどん重くなる。それだけでなく、生活習慣病やがんになるリスクも高くなる。実際、40~79歳の男性約1万人を対象とした疫学研究によると、テストステロンの血中濃度が低い人は脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患、がんの発症率が高かった(*1)。また、40歳以上の男性858人を8年間追跡した研究から、テストステロン値が低い人ほど生存率が低いことも分かっている(*2)。

 ここでテストステロンについておさらいしておこう。ご存じの通り、性別を決定する染色体にはXとYがあり、女性はX染色体を2本、男性はXとYを1本ずつ持っている。Y染色体を持つ胎児には、まず精巣(睾丸)ができ、そこでテストステロンが分泌されることでペニスができる。この睾丸とペニスができることを「1次性徴」(性分化)と呼ぶ。

 そして思春期に入ると「2次性徴」を迎える。ここで男子はテストステロンの分泌が一気に増える結果、ヒゲや陰毛が生え、精通が起こるようになる。「男性ホルモンによって男らしい肉体がつくられる」と言われるように、テストステロンに筋肉や骨を強くする作用がある。

 テストステロンが低いと、筋力が落ちて骨も弱くなる。「米国の研究から、テストステロンが低い男性は高い男性よりも1.4倍転倒しやすいことが分かっています。骨も弱いですから、転倒すれば骨折して寝たきりになるリスクも高くなる。また、テストステロンは体脂肪を減らす作用があるので、低くなると太りやすく、メタボリックシンドロームにもなりやすい。糖尿病や高血圧を発症しやすく、動脈硬化が進むので、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高くなっていきます」(辻村氏)。テストステロンには認知機能を高める作用もあり、「テストステロンが低いと認知症のリスクも高くなります」と辻村氏は指摘する。 

テストステロンの働き

テストステロンは、体内のさまざまな部位で作用している。(「LOH症候群診療の手引き」を基に作成)

*1 Circulation. 2007 Dec 4;116(23):2694-2701. *2 Arch Intern Med. 2006 Aug;166(15):1660-1665.

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「脳と睡眠」に関する問題

【問題】脳と睡眠について、以下のうち正しいものはどれでしょう。

  • (1)15分程度のうたた寝では脳は休まらない
  • (2)睡眠中に脳内の老廃物が排出されやすくなる
  • (3)記憶の定着はレム睡眠中に起こる
  • (4)認知症予防に「睡眠は5時間」が推奨されている

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 この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!

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  • 活力を取り戻し、不調を改善! 男性ホルモンを増やす鉄則

    疲労がとれない、倦怠感がある、意欲が湧かない、イライラする――。こんな不調を抱えている男性は「男性更年期障害」の可能性がある。女性の更年期と違って男性全員に起こるわけではないが、40代から70代まで幅広い年代で起こる。この原因となるのが男性ホルモン「テストステロン」の低下だ。男性の更年期障害は以前より認知されるようになったが、治療する人はまだ少ないのが現状だ。しかし放置は厳禁。放っておくと、身体機能の低下やうつ病、生活習慣病などの病気リスクが高まる。本記事では、男性ホルモンについて正しく理解し、どう対策していくべきかを、これまでの人気記事をもとに分かりやすく紹介する。

  • 首・肩・腰の痛みを減らすインナーマッスルの鍛え方

    首や肩のコリや痛み、腰痛などがあるとき、マッサージや湿布など「外側からのケア」に頼っていませんか。実はこれらの症状は、体の奥深くにある「インナーマッスル」を正しく使えていないことから起こっている可能性があります。

  • 不整脈とはどんな病気 突然死を引き起こすこともあるって本当?

    さまざまな種類がある不整脈。その1つ、心房細動では心不全や脳梗塞を引き起こすことがある。心室細動では、全身の血液供給が止まり、数秒で意識がなくなり死につながるという。本記事では、不整脈の種類とその対策について解説する。

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「体内時計」に関する問題

【問題】人間の体には、1日のリズムを刻む「体内時計」が備わっています。この体内時計について、間違っている記述は、以下のうちどれでしょう。

  • (1)朝の体内時計のリセットには、「光」と「食事」が重要になる
  • (2)「時差ボケ」は海外渡航時に限らず、休日の遅寝・遅起きでも起こり得る
  • (3)体内時計の働きは脳が担い、各臓器に独自の時計機能はない
  • (4)体内時計の乱れは、肥満や糖尿病、高血圧などのリスク上昇と関連している

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  • 活力を取り戻し、不調を改善! 男性ホルモンを増やす鉄則

    疲労がとれない、倦怠感がある、意欲が湧かない、イライラする――。こんな不調を抱えている男性は「男性更年期障害」の可能性がある。女性の更年期と違って男性全員に起こるわけではないが、40代から70代まで幅広い年代で起こる。この原因となるのが男性ホルモン「テストステロン」の低下だ。男性の更年期障害は以前より認知されるようになったが、治療する人はまだ少ないのが現状だ。しかし放置は厳禁。放っておくと、身体機能の低下やうつ病、生活習慣病などの病気リスクが高まる。本記事では、男性ホルモンについて正しく理解し、どう対策していくべきかを、これまでの人気記事をもとに分かりやすく紹介する。

  • 首・肩・腰の痛みを減らすインナーマッスルの鍛え方

    首や肩のコリや痛み、腰痛などがあるとき、マッサージや湿布など「外側からのケア」に頼っていませんか。実はこれらの症状は、体の奥深くにある「インナーマッスル」を正しく使えていないことから起こっている可能性があります。

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    さまざまな種類がある不整脈。その1つ、心房細動では心不全や脳梗塞を引き起こすことがある。心室細動では、全身の血液供給が止まり、数秒で意識がなくなり死につながるという。本記事では、不整脈の種類とその対策について解説する。

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一生のうちに2人に1人がかかる「がん」。食生活や飲酒、喫煙などの生活習慣のほか、ウイルスや菌の「感染」もがんリスクと深く関わる。がんの罹患リスクが急増する50代以降は、これらリスク要因に対処すべく「予防」に取り組むと同時に、「検診」による早期発見が欠かせない。早期に発見して治療すれば、治る可能性は格段に高くなる。胃、大腸、乳房などなら早期発見で5年生存率は9割以上になる。国立がん研究センターがん対策研究所 副所長の井上真奈美氏に、予防と検診のポイントを聞いた。

 がんは日々の生活習慣の影響が大きく、日本人男性では43%、女性では25%、全体で36%のがんが予防可能であることを本特集でお伝えした。科学的根拠のある対策を日々実践すれば、がんのリスクは着実に下げることができる。「がんは避けられないもの」などと思われがちだが、「がん予防のためにできることは多い」ことを忘れてはいけない。

 前回は、国立がん研究センターが推奨している、たばこ、お酒、食生活、身体活動(運動)、体重の「5つ」の予防策のうち、食生活と飲酒を紹介した。今回は引き続き、「身体活動」「体重」「たばこ」について詳しく見ていこう。まずは「身体活動」から。

日常的に体を動かすこともがん予防に! 他の病気もリスク減

  • 身体活動(運動)
    • 大腸がん、結腸がん ↓(ほぼ確実)
    • 乳がん ↓(可能性あり)

 「体を動かすこと(=運動)が体にいい」のは広く知られることだが、がん予防にもいい。実際、身体活動量が多い人は、男女ともがん罹患リスクが低いというデータも出ている(*1)。特に男性では結腸がん、肝がん、膵がん、女性では胃がんなど、さまざまながんリスクへの好影響が示されている。

理由

 体を動かすことによって、筋肉などで糖を取り込むルートが活性化し、腫瘍を増殖させる働きがあるインスリンの過剰分泌が抑えられることが一因として考えられている。また、運動によって便通が整い、発がん物質が腸内にとどまりにくくなることにより大腸がんリスクが抑制される、などのメカニズムが推測されている。

行動のポイント

  • 早歩きする
  • 階段を使う
  • 一駅分多く歩く
  • 家の中でできるだけこまめに動く

 「特別な運動をする必要はありません。まずは座りっぱなしをやめて、できる範囲で動く時間を増やしましょう。身体活動を増やすと、がんだけでなく、循環器疾患や糖尿病などの疾患リスクが低くなるほか(第2回参照)、認知症リスクの低減にもつながります。日頃から身体活動を維持していくことが重要です。思い立ったらすぐできるのが、体を動かすことのメリットです」(国立がん研究センターがん対策研究所 副所長の井上真奈美氏)

 厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、以下の目安が示されている。

健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023

  • <成人>
    • 歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動:毎日60分以上
    • 息がはずみ、汗をかく程度の運動:週60分以上
  • <65歳以上>
    • 歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動:1日40分以上
    • 有酸素運動・筋トレなど多要素の運動:週3日以上

*1 Am J Epidemiol. 2008 Aug 15;168(4):391-403.

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    首や肩のコリや痛み、腰痛などがあるとき、マッサージや湿布など「外側からのケア」に頼っていませんか。実はこれらの症状は、体の奥深くにある「インナーマッスル」を正しく使えていないことから起こっている可能性があります。

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    さまざまな種類がある不整脈。その1つ、心房細動では心不全や脳梗塞を引き起こすことがある。心室細動では、全身の血液供給が止まり、数秒で意識がなくなり死につながるという。本記事では、不整脈の種類とその対策について解説する。

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 生涯のうちにがんに罹患する割合は、男性では63%に達し、今やがんにならない人のほうが少数派だ。そしてリスクが急増するのが50代以降。人生後半戦を迎えた私たちは、今後の人生を後悔なく過ごすためにも、早期に意識を変え、がん戦略をアップデートしていく必要がある。そこで日経Goodayでは、今月から、がんをテーマにしたさまざまな特集を「がんシリーズ特集」としてお届けする。今月は、「予防」と「早期発見」にフォーカスした。

 がんは「生活習慣による予防」+「症状が出ないうちから早期発見」の2つで確実にリスクを減らしていくことができる。男性のがんの43.4%、女性のがんの25.3%が予防可能だ。そして、もしがんになったとしても、早期に発見すれば治る可能性が高くなる。本特集は、私たちは現時点から何をするべきなのか、国立がん研究センター がん対策研究所 副所長の井上真奈美氏に詳しく聞いていく。

井上真奈美(いのうえ まなみ)氏 国立がん研究センター がん対策研究所 副所長・予防研究部長

1990年筑波大学医学専門学群卒。95年博士(医学)。96年ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程修了。愛知県がんセンター研究所、国立がん研究センターがん予防・検診研究センター、東京大学大学院医学系研究科などを経て、2023年より現職。がんの疫学と予防を専門に多くの研究を行う。2025年、朝日がん大賞(日本対がん協会)受賞。

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 生涯のうちにがんに罹患する割合は、男性では63%に達し、今やがんにならない人のほうが少数派だ。そしてリスクが急増するのが50代以降。人生後半戦を迎えた私たちは、今後の人生を後悔なく過ごすためにも、早期に意識を変え、がん戦略をアップデートしていく必要がある。そこで日経Goodayでは、今月から、がんをテーマにしたさまざまな特集を「がんシリーズ特集」としてお届けする。今月は、「予防」と「早期発見」にフォーカスした。

 がんは「生活習慣による予防」+「症状が出ないうちから早期発見」の2つで確実にリスクを減らしていくことができる。男性のがんの43.4%、女性のがんの25.3%が予防可能だ。そして、もしがんになったとしても、早期に発見すれば治る可能性が高くなる。本特集は、私たちは現時点から何をするべきなのか、国立がん研究センター がん対策研究所 副所長の井上真奈美氏に詳しく聞いていく。

井上真奈美(いのうえ まなみ)氏 国立がん研究センター がん対策研究所 副所長・予防研究部長

1990年筑波大学医学専門学群卒。95年博士(医学)。96年ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程修了。愛知県がんセンター研究所、国立がん研究センターがん予防・検診研究センター、東京大学大学院医学系研究科などを経て、2023年より現職。がんの疫学と予防を専門に多くの研究を行う。2025年、朝日がん大賞(日本対がん協会)受賞。

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健康診断で血糖値が高めと指摘されても、「特に症状は出ていないから大丈夫」と考え、放置している人は少なくない。血糖値が正常範囲でも実は安心できない「隠れ糖尿病」と呼ばれる人もいる。血糖値や糖尿病にまつわる誤解は、将来のさまざまな病気のリスクを高めてしまうことになりかねない。本特集は、多くの人が持っている誤解を解きつつ、血糖コントロールに有効な知識や食事や運動習慣を紹介していく。

薗田憲司(そのだ けんじ)氏 そのだ内科 糖尿病・甲状腺クリニック 院長

2015年日本医科大学卒業。東京臨海病院、東京都済生会中央病院糖尿病・内分泌内科勤務などを経て、2023年より現職。糖尿病専門医。糖尿病患者の父を持ち、自身も学生の頃より食事改善を実践。外来では患者1人にかけられる時間が限られているため、多くの糖尿病患者やダイエットに悩む人に役立つ情報を発信したいとの思いから、YouTubeやInstagramで情報発信をしている。YouTubeチャンネル「血糖おじさんのセルフ治療」には42万人以上が登録。著書に『糖尿病専門医が教える ズボラさんでも大丈夫! 薬に頼らず“自分で”ぐんぐん血糖値を下げる方法』(PHP研究所)、『“血糖値”を制して脂肪を落とす!』(Gakken)などがある。

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背筋がスーッと伸びた、凛とした姿勢は憧れ──前に出たお腹、首が前に出た姿勢、肩こりや腰痛といった不調は背骨自体の健康に影響します。どうすればいつまでも若々しい姿勢でいられるのでしょうか。専門家からさまざまなメソッドを聞きました。

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「最近、階段で息が切れる」「健康診断の数値がじわじわ悪くなってきた」。気になりつつも、ジム通いや本格的なトレーニングは腰が重い──。そんな人にこそ試してほしいのが、信州大学発の「インターバル速歩」だ。1日30分、週4回で筋力や持久力が上がり、生活習慣病や認知症の改善・予防にも効果があると科学的に証明されている。「体力のない人、運動習慣のない人ほど効果が大きい」と専門家も強調し、世界で注目される「日本式ウォーキング」の実力を本特集でひもといていこう。

増木静江(ますき しずえ)氏 信州大学学術研究院医学系スポーツ医科学 教授

信州大学大学院医学研究科修了。米国Mayo Clinic博士研究員、信州大学大学院医学系研究科准教授を経て、2018年より現職。20年余にわたり、中高年者を対象にインターバル速歩の体力向上・生活習慣病予防効果を実証してきた。2024年より、同大学が開設した「臨床スポーツ医学研究センター」講座責任者を兼任する。2020年、2024年の2回、全米医学アカデミー主催の健康長寿研究公募のカタリストアワード受賞。

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 腎臓の働きは40歳を過ぎると年に1%ずつ低下していく。ただし、血圧高め、肥満、血糖が高め、といった人は腎臓の老化が速まる可能性も。慢性腎臓病(CKD)と診断されるようになると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが上がり、さらに進行すれば人工透析や腎移植が必要になることもある。腎臓の健康を守るには、腎機能低下のサインに早めに気づき予防に努めることが大切だ。本特集では、腎臓を守るための生活改善の新エビデンスや次々と登場している治療薬など「腎臓寿命」を延ばす最新知識を解説する。

猪阪善隆(いさか よしたか)氏 大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学 教授

1988年大阪大学医学部卒業。94年同大学院医学系研究科博士課程修了。米ユタ大学医学部腎臓・高血圧教室リサーチフェローなどを経て、2005年大阪大学大学院先端移植基盤医療学准教授、09年同老年・腎臓内科学准教授に就任。15年より現職。日本腎臓学会特別顧問、日本透析医学会常任理事などを務める。

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腎臓の働きは40歳を過ぎると年に1%ずつとゆるやかに低下していく。ただし、血圧高め、肥満、血糖が高め、といった人は腎臓の老化が速まる可能性も。慢性腎臓病(CKD)と診断されるようになると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが上がり、さらに進行すれば人工透析や腎移植が必要になることもある。腎臓の健康を守るには、腎機能低下のサインに早めに気づき予防に努めることが大切だ。本特集では、腎臓を守るための生活改善の新エビデンスや次々と登場している治療薬など「腎臓寿命」を延ばす最新知識を解説する。

「治りにくい」から「治る」に! 対応次第で「生涯健康」に

 慢性腎臓病(CKD)は、現在では成人の5人に1人が抱える身近な病気で(*1)、「新たな国民病」と呼ばれる。怖いのは自覚症状がほとんどないまま腎機能がじわじわ低下し続けること。何も手を打たなければ、体の中の老廃物が排泄できなくなる「腎不全」にまで進行し、最終的には人工透析や腎移植が必要になることもある。

 これまで「治りにくい」と言われてきたCKDだが、最新の研究で生活改善の効果が科学的に証明されるとともに、画期的な新薬も続々登場。いったん落ちた腎機能を元の健康な状態に戻すことは難しいものの、その後の腎機能低下のスピードを年齢相応に抑えれば、生涯、健康な生活を送ることもできるようになってきた。そのことを日本腎臓学会が「治ることも期待できる」と表現するほど、腎臓医療は進化している。

 同学会は近年、腎臓専門医を対象とした「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」、かかりつけ医のための「CKD診療ガイド2024」、患者と家族のための「患者さんとご家族のためのCKD療養ガイド2024」を立て続けに公開。さらに今年7月には、どんなヘルスケア(生活改善)が腎臓を守るのかを一般の人向けに分かりやすくエビデンスで示した「積極的に予防する!CKD 発症・進展予防のためのマネージメントガイドブック」を公開した。専門医やかかりつけ医はもちろん、患者やその家族、腎機能の数値がちょっと気になるという予備群の人もCKDの医療の最新情報にアクセスできるようになっている。

 今回の特集では、こうした最新情報と大阪大学大学院医学系研究科腎臓内科学教授の猪阪善隆氏の話を基に、腎臓を守るための基礎知識と「今すぐできる対策」を分かりやすく紹介する。

*1 「CKD診療ガイド2024」

「積極的に予防する!CKD 発症・進展予防のためのマネージメントガイドブック」のポイントをまとめた音声ガイド(約8分)は、日本医療研究開発機構のウェブサイト E-LIFEヘルスケアナビ から

(画面をスクロールすると出てくる「各健康課題領域における指針と解説動画」の「慢性腎臓病」にある「慢性腎臓病指針(音声解説)」をタップ)

腎臓を守るには何をしたらいいのか。(写真:peterschreiber.media/stock.adobe.com)

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  • 活力を取り戻し、不調を改善! 男性ホルモンを増やす鉄則

    疲労がとれない、倦怠感がある、意欲が湧かない、イライラする――。こんな不調を抱えている男性は「男性更年期障害」の可能性がある。女性の更年期と違って男性全員に起こるわけではないが、40代から70代まで幅広い年代で起こる。この原因となるのが男性ホルモン「テストステロン」の低下だ。男性の更年期障害は以前より認知されるようになったが、治療する人はまだ少ないのが現状だ。しかし放置は厳禁。放っておくと、身体機能の低下やうつ病、生活習慣病などの病気リスクが高まる。本記事では、男性ホルモンについて正しく理解し、どう対策していくべきかを、これまでの人気記事をもとに分かりやすく紹介する。

  • 首・肩・腰の痛みを減らすインナーマッスルの鍛え方

    首や肩のコリや痛み、腰痛などがあるとき、マッサージや湿布など「外側からのケア」に頼っていませんか。実はこれらの症状は、体の奥深くにある「インナーマッスル」を正しく使えていないことから起こっている可能性があります。

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    さまざまな種類がある不整脈。その1つ、心房細動では心不全や脳梗塞を引き起こすことがある。心室細動では、全身の血液供給が止まり、数秒で意識がなくなり死につながるという。本記事では、不整脈の種類とその対策について解説する。

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 腎臓の働きは40歳を過ぎると年に1%ずつ低下していく。ただし、血圧高め、肥満、血糖が高め、といった人は腎臓の老化が速まる可能性も。慢性腎臓病(CKD)と診断されるようになると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが上がり、さらに進行すれば人工透析や腎移植が必要になることもある。腎臓の健康を守るには、腎機能低下のサインに早めに気づき予防に努めることが大切だ。本特集では、腎臓を守るための生活改善の新エビデンスや次々と登場している治療薬など「腎臓寿命」を延ばす最新知識を解説する。

猪阪善隆(いさか よしたか)氏 大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学 教授

1988年大阪大学医学部卒業。94年同大学院医学系研究科博士課程修了。米ユタ大学医学部腎臓・高血圧教室リサーチフェローなどを経て、2005年大阪大学大学院先端移植基盤医療学准教授、09年同老年・腎臓内科学准教授に就任。15年より現職。日本腎臓学会特別顧問、日本透析医学会常任理事などを務める。

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毎日の生活習慣や食事を変えるだけで、将来のがんリスクを大きく下げられることをご存じだろうか。日本人のがんのうち36%は「生活習慣と感染対策で予防できる」ことが明らかになっている。特集第2回では、日本人のがんリスクを高める要因を長年調査してきた国立がん研究センター がん対策研究所 副所長の井上真奈美氏に、最新版「日本人のためのがん予防法(5+1)」をもとに、「食べる・飲む」ときに意識したいポイントを聞いた。

日本人のがんリスクは、行動次第で確実に下げられる!

 日本人の2人に1人が一生のうちに一度は経験する「がん」。男性は63%にも達する。かからない人の方が少数派なのだ。そして50代後半からは「がんに罹患する人」が急増する。がんは決して人ごとではない。

 しかし、意外と知られていないのが、「がん予防のためにできることは多い」という事実だ。がんというと遺伝的な要素が大きいと思っている人も少なくないが、これは誤解だ。生活習慣などの後天的な要因の方が大きく影響する。本特集第1回では、がん罹患が急増する人生後半戦では、がんリスクとなる生活習慣を改めていく「予防」と、症状が出る前に早期発見する「検診」という2本柱が重要であることを紹介した。

 がんと生活習慣との関係を突き止める疫学研究に携わってきた、国立がん研究センター がん対策研究所 副所長の井上真奈美氏らは、日本人男性では43.4%、女性では25.3%、全体で36%のがんが予防可能であることを明らかにしている(図1)。「リスクの上位は喫煙と感染です。次いで飲酒、塩分摂取、そして運動不足や肥満。多くのがんは、生活習慣と感染で説明がつきます。長年の積み重ねががんリスクを高めるため、それらを1つでも多く避けていくことが大切です」(井上氏)

図1 日本人の36%のがんは予防可能

2015年の日本人のがん罹患のうち、特定の要因がなかった場合に何パーセントが予防可能かを試算した研究。男性では43.4%、女性では25.3%、平均で36%のがんが予防可能であると分かった。合計値は、各項目の合計の数値ではなく、2つ以上の生活習慣が複合して原因になる場合も統計的に調整した数値。残りの部分には、現段階では確立していない予防可能な要因が含まれる。(データ:Glob Health Med. 2022 Feb 28;4(1):26–36.)

 国立がん研究センターは、これまでの研究結果をもとに、がんに大きく関わる6つの要因を「日本人のためのがん予防法(5+1)」として提言、新たなエビデンスが登場するごとに改訂を続けている。

 これらは「健康によさそう」という一般論ではなく、実際にその効果が研究により検証されている、つまりエビデンスがある対策ということだ。

日本人のためのがん予防法(5+1)

  1. 禁煙する: たばこは吸わない 他人のたばこの煙を避ける
  2. 節酒する: 飲酒は控える
  3. 食生活を見直す: 塩蔵食品、食塩の摂取は最小限にする 野菜や果物不足にならない

    飲食物を熱い状態でとらない

  4. 身体を動かす: 日常生活を活動的に
  5. 適正体重を維持する: 太りすぎ・やせすぎに注意

     

  • 感染症の予防と治療: 肝炎ウイルス感染の検査と治療、ピロリ菌感染検査と除菌治療、子宮頸がんワクチンの定期接種

 これらの健康習慣(予防策)を多く実践すればするほど、がんの予防効果は高まる。たばこ、お酒、食生活、身体活動、体重の「5つ」の予防策のうち、実践した数が多ければ多いほど罹患リスクが下がることが10年の追跡調査で示されている(図2)。5つすべてに配慮した健康習慣を実践する人は、0~1つしか実践しない人に比べ、男性で43%、女性で37%、がんになるリスクを下げられる。

図2 5つの健康習慣の実践でがん罹患リスクが低下

国立がん研究センターが日本全国11の保健所の協力を得て、調査開始時点で年齢40~69歳の男女約14万人を対象に、生活習慣とがんやほかの病気の罹患について追跡調査を実施。その結果、たばこ、お酒、食生活、身体活動、体重の5つの要因すべてに配慮した健康習慣を実践する人は、0または1つしか実践しない人に比べ、男性で43%、女性で37%がんになるリスクが低くなるという推計が示された。(データ:Prev Med. 2012 Feb;54(2):112-6.)

 次のページから、「食生活を見直す」「節酒する」のそれぞれのアクションについて見ていこう。

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 生涯のうちにがんに罹患する割合は、男性では63%に達し、今やがんにならない人のほうが少数派だ。そしてリスクが急増するのが50代以降。人生後半戦を迎えた私たちは、今後の人生を後悔なく過ごすためにも、早期に意識を変え、がん戦略をアップデートしていく必要がある。そこで日経Goodayでは、今月から、がんをテーマにしたさまざまな特集を「がんシリーズ特集」としてお届けする。今月は、「予防」と「早期発見」にフォーカスした。

 がんは「生活習慣による予防」+「症状が出ないうちから早期発見」の2つで確実にリスクを減らしていくことができる。男性のがんの43.4%、女性のがんの25.3%が予防可能だ。そして、もしがんになったとしても、早期に発見すれば治る可能性が高くなる。本特集は、私たちは現時点から何をするべきなのか、国立がん研究センターがん対策研究所 副所長の井上真奈美氏に詳しく聞いていく。

人生後半戦、がんの正しい知識は重要

 「日本人の2人に1人ががんにかかる」――。この数字は日経Goodayで何度も取り上げてきたので、「聞き飽きた」という人も多いかもしれない。だが、このリスクを自分ごととしてとらえ、対策に着手しているだろうか? 「いずれかかるかもしれないことは分かっているけれど、今は想像したくない…」と放置している人が多いのではないだろうか。

 しかし現実は待ってくれない。50代以降は、がんにかかる人が増える。加齢とともにがんにかかる割合は着実に増えていく。また、これまで病気ひとつしたことがない人でも、交通事故に遭うように、突然、がんが見つかる可能性だってある。読者のなかにも50代以降、職場の同僚や友人などでがんにかかったり、両親・家族ががんで亡くなったという人も少なからずいるだろう。

(写真はイメージ:PIXTA)

 国立がん研究センターがん対策研究所 副所長の井上真奈美氏も、「私自身、若い頃に父をがんで亡くしました。50歳を過ぎた頃から身の周りの同年代でがんにかかる人やがんで亡くなる人の話が出るようになり、がんをより身近に感じるようになりました」と話す。井上氏は、がんと生活習慣に関わる疫学調査に長年携わってきた“がん予防のエキスパート”だ。

 人ごとではなく、自分ごとに――。人生の後半戦に入ってきた私たちは、「がんは人ごと」とする認識を改め、自分ごととして対策に着手すべき時期に入ったのだ。これまでは避けてきたとしても、がんについて正しく知り、対策に着手することが、後年「もっと早く知っておけばよかった」と後悔しないための手立てとなる。

 正しい知識を得ることによって、がんにかからない(一次予防)、また、もしもがんになったとしても、症状が表れないうちに検診を受けて早期発見することで治癒を目指す(二次予防)ことが可能になる。本特集では、人生後半戦のがん対策として、私たちが何をするべきかを井上氏に聞いていく。

今やがんにならない人のほうが少数! 働き盛りが危ない

 実際に、今の日本のがんの現状はどうなっているかを頭に入れておこう。最新データを見ると、がんは決して人ごとではない病気だということが実感できるはずだ。

事実1 ➡ 男女とも2人に1人がかかる

 日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性で63.3%女性で50.8%(2021年のデータ)、つまり男女ともおよそ2人に1人が一生のうちにがんと診断される(図1左)。男性に至っては60%超と、かからない人のほうが少数なのだ。

事実2 ➡ 男性では4人に1人、女性では6人に1人ががんで死亡する

 日本人ががんで死亡する確率は、男性24.4%(4人に1人)、女性17.2%(6人に1人)だ(2024年のデータ)。がんがあなたの死因になる可能性は決して低くない。

図1 日本人が一生のうちにがんと診断される確率、死亡する確率

罹患率は2021年のデータに基づく。死亡率は2024年のデータに基づく。(データ:がん情報サービス「最新がん統計」より)

事実3 ➡ 50~70代が、がんにかかるピーク世代

 男女ともに、がんの罹患者は年齢とともに増えていくが、50代後半から大きく増加する。その傾向は特に男性が顕著だ。その後70代をピークに、その後の年代では減少する(図2)。今の時代、60代もバリバリ現役で、70代でも働き続ける人も多い。がんは働き盛り世代を襲う病気なのだ。

図2 男女の年代別がん罹患者数(2020年)

がん罹患者数は男女ともに50代後半から増え、70代がピークとなる。特に男性は50代後半から急増する。(データ:がん情報サービス「がんの統計2025」より)

 これら3つの事実から、「誰しもがんとは無縁ではいられない」、そして「50代から70代こそ、真剣にがんへの備えをしなければならない時期」であることは理解していただけるだろう。働き盛りのさなか、もしくは定年退職後に「人生これから」と思っているタイミングでがんにかかると、本人だけでなく家族にも大きな影響を与える。

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血糖値にまつわる誤解を解き、糖尿病の発症と悪化、血管の老化の加速を防ぐ方法を紹介する本特集。血糖値を正常に保つために重要なポイントとなるのが、食生活の見直しだ。もしかしたら、あなたが「血糖コントロールに有効」「体にいい」と思っている飲食物や食べ方が、血糖値を高める要因になっている可能性もある。2回目の今回は、血糖値と食生活に関する誤解をひもといていこう。

 高血糖の状態が慢性的に続いたり、食後などに血糖値が急上昇・急降下する「血糖値スパイク」を繰り返したりすると、血管の内側が少しずつ傷ついていく。こうした状態を放置すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まる。さらに、糖尿病網膜症による視力低下や失明、糖尿病腎症の悪化による透析など、さまざまな合併症をまねく恐れもある(第1回を参照)。

 健診で「血糖値が高め」と指摘された人の改善法や、糖尿病の予防・治療には、何より血糖コントロールが重要だ。健康な人の血糖値の推移は、70~140mg/dLの間でゆるやかに上昇して、ゆるやかに下がる。そんな状態を目指して、血糖を管理していくことになる。

 「血糖コントロールは基本、食事と運動と薬の3本柱で行います。その中でも特に重要なのが食事指導です」と話すのは、糖尿病専門医で「そのだ内科 糖尿病・甲状腺クリニック」(東京・渋谷)院長の薗田憲司氏。薗田氏はYouTubeでも“血糖おじさん”として、糖尿病の予防や治療に役立つ情報を積極的に発信している。

 園田氏によると、血糖値を上げない食べ方などについて誤解している人が意外に多いという。そこで今回は、よくある誤解、「糖質さえ減らせばいい、野菜を先に食べれば好きなだけ食べていい、野菜ジュースは良い習慣、朝食を抜いても問題ない、3時のおやつやラーメンはダメ」といったものを取り上げつつ、糖質やカロリー制限についての正しい知識や方法を紹介していく。

誤解:糖質さえ減らせば、高血糖にならない

 1つ目の誤解は、「糖質さえ減らせば、高血糖にならない」というもの。「糖質制限ダイエットで痩せよう!」「糖質オフ生活でスリムに」など、「糖質制限」というワードが2010年代初頭に流行したことは記憶に新しい。主にダイエット目的だが、血糖値を下げるために糖質制限(=炭水化物制限)に励む人が急増し、中には、糖質を減らすために炭水化物の主食であるご飯やパンは一切食べないという人もいた。

血糖コントロールには、糖質についての正しい知識と理解が必要。(写真:PIXTA)

 糖質制限ダイエットの火付け役となったのは、「糖質摂取を厳格に制限すれば、ステーキ、ベーコン、卵などをたくさん食べても体重は落ちる」と提唱した心臓病専門医のロバート・アトキンス氏とされる。だが、「彼が72歳で亡くなったとき、かなり太っており、心臓病も患っていたとも言われています」(薗田氏)

「厳しい糖質制限」は死亡リスクを高めるという報告も

 糖質の摂取を減らすことは、確かに血糖値の上昇を抑えることにつながるが、「私は血糖管理で厳しい糖質制限は勧めません。健康へのリスクがあるからです」と薗田氏は反対の立場を取る。厳しい糖質制限が健康を損ねることを示す研究報告も複数あるという。

 45~64歳の男女1万5428人を平均25年間追跡調査し、糖質のとり方と死亡率の関係を調べた米国の研究(*1)では、1日の摂取エネルギー量(カロリー)に占める糖質の割合が50~55%の群が最も死亡リスクが低かったことが分かっている。

 逆に死亡率が高かったのは、総カロリーの40%未満しか糖質をとらない群で、20%程度と極端に糖質制限をした人たちは、糖質をとり過ぎている人たちよりも死亡リスクが高かった。北米のほかの研究や欧州、アジアなどの同じような調査を総合解析した結果でも、同様の結果となっている。つまり、極端な糖質制限は命を縮める危険性があるというわけだ。

*1 Lancet Public Health. 2018 Sep;3(9):e419-e428.

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健康診断で血糖値が高めと指摘されても、「特に症状は出ていないから大丈夫」と考え、放置している人は少なくない。血糖値が正常範囲でも実は安心できない「隠れ糖尿病」と呼ばれる人もいる。血糖値や糖尿病にまつわる誤解は、将来のさまざまな病気のリスクを高めてしまうことになりかねない。本特集は、多くの人が持っている誤解を解きつつ、血糖コントロールに有効な知識や食事や運動習慣を紹介していく。

薗田憲司(そのだ けんじ)氏 そのだ内科 糖尿病・甲状腺クリニック 院長

2015年日本医科大学卒業。東京臨海病院、東京都済生会中央病院糖尿病・内分泌内科勤務などを経て、2023年より現職。糖尿病専門医。糖尿病患者の父を持ち、自身も学生の頃より食事改善を実践。外来では患者1人にかけられる時間が限られているため、多くの糖尿病患者やダイエットに悩む人に役立つ情報を発信したいとの思いから、YouTubeやInstagramで情報発信をしている。YouTubeチャンネル「血糖おじさんのセルフ治療」には42万人以上が登録。著書に『糖尿病専門医が教える ズボラさんでも大丈夫! 薬に頼らず“自分で”ぐんぐん血糖値を下げる方法』(PHP研究所)、『“血糖値”を制して脂肪を落とす!』(Gakken)などがある。

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血糖コントロールに有効な知識や行動を解説する本特集。誰でも食事の後は血糖値が高くなるが、血糖値が急上昇したり高い状態が続いたりすると血管が傷つき、動脈硬化が進行する。それを防ぐためには、血糖変動を踏まえた食事や適度な運動をすることが大切だ。しかし、問題はその方法。自分が正しいと思っているやり方が、実は間違っていることもある。今回は、「血糖と運動」にまつわる誤解を解くと同時に、お勧めの運動をお伝えする。また、糖尿病の人が知っておきたい治療の3つのステップも紹介する。

 前回(第2回)は、血糖値と食事の関係や、糖質やカロリー制限に関するよくある誤解について解説した。単に糖質を減らせばいいというわけではないことは、ご理解いただけたのではないだろうか。併せて紹介した血糖値のコントロールを踏まえた、3時のおやつやラーメン、お酒との付き合い方も参考にしてもらいたい。

 血糖コントロールのためには、そうした日々の食生活の改善に加え、運動の習慣づけにも着手していくことが大切だ。とはいえ、運動についても誤解が意外と多い。一つひとつ見ていこう。

誤解:食べた後、すぐに運動するのは体に悪い

 運動は心肺機能や筋肉量を向上させ、糖尿病の予防や治療にも役立つことは数々の文献で証明されており、運動が体にいいことは、もはや常識になりつつある。

 しかし、「食後すぐに運動するのは体に悪い」と考え、あまり動かないようにしている人もいるのではないだろうか。強度の高い運動をしたために、腹痛や消化不良を経験した人は、食後はむしろ休憩を取るかもしれない。これが「食後の運動は良くない」という誤解の背景だったりする。

 「『食べた後、すぐに運動するのは体に悪い』というのは、誤解です。誰でも食後に血糖値が上がりますが、そのタイミング、つまり食べた後1時間以内に適度な運動をすると、血糖値が急上昇する『血糖値スパイク』を抑えることができます」と糖尿病専門医で「そのだ内科 糖尿病・甲状腺クリニック」(東京・渋谷)院長の薗田憲司氏は話す。

 本特集の第1回でも説明したように、血糖値スパイクは、食後に血糖値が急上昇した後、急降下する現象だ。まだ糖尿病になっていない人でも、血糖値スパイクが起こると血管が傷ついて動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクを高める危険がある。

血糖値スパイクのイメージ

食後に血糖値が急上昇し、急降下するのが血糖値スパイク。反応性低血糖にも注意が必要だ。(図:薗田氏への取材や著書を基に編集部で作成)

 「食後に運動をすれば、膵(すい)臓からインスリンが分泌されるのとは別経路で、『糖を取り込め』というシグナルが筋肉に伝わり、糖が吸収されます。食後の運動は、インスリンを分泌する臓器である膵臓を休ませることにもつながり、結果として血糖値の急上昇を抑えられます。職場から離れたところでランチを食べて歩いて戻るなど、歩数などは気にせず、10~20分のウォーキングをするといいでしょう。食後の運動を毎日続ければ血糖値スパイクが生じにくくなり、上昇はゆるやかになります」と薗田氏は言う。

食後は10~20分でいいのでウォーキングをして血糖値の急上昇を防ごう。血糖コントロールのためにも習慣にしたい。(写真:PIXTA)

食後の血糖値急上昇を抑える「血糖ケア・スクワット」とは?

 ウォーキングのほかに食後に適する運動はあるだろうか。「エレベーターやエスカレーターではなく階段を使うなど、軽い運動がよいでしょう。私が実際に血糖値を測ってみて、最も食後血糖値を下げる効果が大きかったのは、下半身の筋肉を鍛えるスクワットです」(薗田氏)

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健康診断で血糖値が高めと指摘されても、「特に症状は出ていないから大丈夫」と考え、放置している人は少なくない。血糖値が正常範囲でも実は安心できない「隠れ糖尿病」と呼ばれる人もいる。血糖値や糖尿病にまつわる誤解は、将来のさまざまな病気のリスクを高めてしまうことになりかねない。本特集は、多くの人が持っている誤解を解きつつ、血糖コントロールに有効な知識や食事や運動習慣を紹介していく。

「糖尿病が強く疑われる人」は2024年最多に

(写真:PIXTA)

 「血圧」と並び、現代人の健康管理において“高くて困る”代表格が「血糖」だ。血糖はその名の通り、血液中に含まれるブドウ糖のことをいう。ブドウ糖が血液中に多く滞留する「高血糖」は、糖尿病の発症につながる。厚生労働省が2024年に実施した「国民健康・栄養調査」によると、日本における「糖尿病が強く疑われる者」の数は推計で約1100万人に上り、調査開始以来、最多となった。

 糖尿病と思われる人が右肩上がりで増え続けている一方で、「血糖」についての正しい知識や理解は、まだ十分とは言えないのが実情だ。そこで本特集の第1回は、血糖の基礎知識を整理しながら、多くの人が抱きがちな「誤解」をひもといていく。

体の中でどんな状態になると「高血糖」なのか

 冒頭でも触れたが、「血糖」とは血液中に含まれるブドウ糖のこと。そして「血糖値」は、血液中のブドウ糖の濃度を表す。通常、私たちが食事から取り込んだ糖質(炭水化物から食物繊維を除いたもの)は、体の中で消化・吸収されてブドウ糖になる。そのブドウ糖は、血液に乗って全身をめぐり、エネルギー源として利用される。

 「ここで重要なのは、膵(すい)臓から分泌されるインスリンというホルモンです。これは糖の代謝を調節し、血糖値を一定に保つ働きを持ちます。このインスリンの分泌が悪くなったり、効きが悪くなったりすると、ブドウ糖が細胞内に取り込まれずに血液中にあふれてしまいます。『高血糖』とはその状態を示し、それが続くと糖尿病につながります」

 こう話すのは、糖尿病専門医で「そのだ内科 糖尿病・甲状腺クリニック」(東京・渋谷)院長の薗田憲司氏だ。薗田氏はYouTubeでも“血糖おじさん”として、糖尿病予防や治療の対策情報を積極的に発信している。

 糖尿病はどんなケースで気にしたらいいのだろうか。現在、一般的な健康診断の血液検査では、「空腹時血糖値」(10時間以上、食事をとっていない状態で測定した血糖値)のほか、1~2カ月の血糖状態の平均値を表す「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」(血液中のヘモグロビンのうち、糖と結合しているものの割合を測定した値)を測定することが少なくない。

 直近に受けた健診結果をチェックしていただきたい。空腹時血糖値が126mg/dL以上、HbA1cが6.5%以上の場合、すでに糖尿病になっている可能性がある。

誤解:健康診断で血糖値が正常範囲内なら、心配ない

 ここで、自分の健診結果を見て「HbA1cが6.5%未満だから大丈夫」と、ほっとした人もいるかもしれない。しかし、健康診断で血糖値が正常範囲内でも油断はできない。

 「健診で測った血糖値が正常範囲内でも大丈夫とは言い切れません。実は、健診結果が正常範囲内でも食後に血糖値が異常に上がる『隠れ糖尿病』の人がいることが分かっているからです」と薗田氏は話し、次のように続ける。

 「健康な人の血糖値の推移は、70~140mg/dLの間でゆるやかに上昇して、ゆるやかに下がりますが、隠れ糖尿病の人は、血糖値が食後に急上昇して、その後急降下する『血糖値スパイク』と呼ばれる現象が体の中で起きています。血糖値スパイクはインスリンを過剰に分泌しなければならず、結果として膵臓を疲弊させます。そうなると、ますます血糖値が上がりやすくなり、糖尿病になるリスクが高まります。それだけでなく、血糖値スパイクは血管を傷つけ、動脈硬化を進行させて、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクを高めてしまうという危険性があります」

 血糖値スパイクにおいては、血糖値が急降下する際は強い眠気や倦怠感が起き、さらに血糖値が下がり過ぎると、不安やイライラ感が強まる「反応性低血糖」が起きることがある。食後にこうした症状を頻繁に感じる場合は、血糖値スパイクになっている可能性があるのだ。

血糖値スパイクのイメージ

食後に血糖値が急上昇し、急降下するのが血糖値スパイク。反応性低血糖にも注意が必要だ。(図:薗田氏への取材や著書を基に編集部で作成)

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