衝撃…マクラーレンF1、有望株アレックス・ダンとの契約を即時終了-レッドブル入りの可能性や如何に
マクラーレン・レーシングは2025年F1第18戦シンガポールGPの開幕を翌日に控えた10月2日、ドライバー育成プログラムに所属していたアレックス・ダン(19歳)との契約を即時終了すると発表した。
チームは声明で「アレックスとの契約を終了する。これまでの1年間の成長を支援できたことを嬉しく思う。今後のキャリアの成功を祈る」と述べ、突然の別れを告げた。理由については明らかにされていないが、各チームが注目する才能ある新人の獲得競争が一気に加速する可能性が出てきた。
F1での経験とフォーミュラEでの役割
アイルランド出身のダンは2024年5月にマクラーレン育成プログラムに加入。今季はロダン・モータースポーツからFIA-F2選手権に参戦する傍ら、NEOMマクラーレン・フォーミュラEチームのリザーブ兼開発ドライバーも務めていた。
さらにオーストリアGPとイタリアGPでは、MCL39を駆ってF1フリー走行に出走。初走行のオーストリアGPでは、オスカー・ピアストリにわずか0.069秒差の4番手タイムを記録し、パドックに衝撃を与えた。
ダンはオーストリアGP後、「パフォーマンスよりもチームを助けることが目的だったが、速さも示せて特別な体験になった。マクラーレンとチームに大きな感謝を伝えたい」とコメント。F1週末デビューの手応えを語った。周囲からの評価も高く、アンドレア・ステラ代表も当時、彼の取り組みを称賛していた。
Courtesy Of McLaren
レッドブルリンクを周回するアレックス・ダン(マクラーレン育成)2025年6月27日F1オーストリアGPフリー走行1
契約終了の発表を受け、ダンは自身のインスタグラムで声明を発表。「本日をもってマクラーレン育成プログラムと袂を分かつ決断をした。最初のF1経験を与えてくれたことは一生忘れない。パパイヤファミリーに感謝する。今後の展開が本当に楽しみだ」と心境を綴った。
突然の離脱が残す波紋
F1出走の機会まで得ていた有望株の突然の離脱は、関係者に驚きを与えた。マクラーレンはダンに2025年シーズン後の進路を提示していたものの、F1昇格のタイムラインで意向が折り合わず、双方合意の上で契約解消に至ったと見られる。
実際、マクラーレンのF1シートはランド・ノリスとオスカー・ピアストリの布陣で長期的に固められており、ダンにすぐに枠が回る可能性は低かった。タイミング的には、同じマクラーレン育成のマルティニウス・ステンショルネが2026年にダンと同じロダン・モータースポーツからF2参戦することが発表されたばかりで、この点も興味深い。
移籍先候補はレッドブルとアルピーヌ
契約解消により、ダンは他チームと即座に交渉可能な立場となった。有力候補として注目されるのがレッドブルだ。育成プログラムを統括するヘルムート・マルコは以前からダンに関心を寄せている。
現在、レッドブル系では角田裕毅、アイザック・ハジャー、リアム・ローソンの3人が来季シートを争っており、さらにF2参戦中のアーヴィッド・リンブラッドも昇格候補とされる。
また、アルピーヌも2026年に向けてピエール・ガスリーのチームメイトを発表しておらず、シートに空きがある状況となっている。
一方で、ダンが即座にF1シート争いに加わるのか、もしくは2027年のデビューに向けて動くのかは、現時点では不透明だ。
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ガレージでチームメンバーと談笑するマクラーレン育成アレックス・ダン、2025年6月27日F1オーストリアGPフリー走行1(レッドブルリンク) (1)