物言えない自衛隊の代弁者 旧軍出身組織が陸自OBを取り込んだ狙い

毎日新聞 2025/6/4 11:01(最終更新 6/4 12:57) 有料記事 2125文字
陸修偕行社の慰霊祭を前に参集する参列者=東京都千代田区の靖国神社で2025年4月17日、宮武祐希撮影

 旧軍の戦死者をまつる靖国神社と自衛隊が接近し、自衛官が戦死した場合は靖国にまつるように求める声も聞こえてくる。戦後80年、一人も戦死者を出すことのなかった自衛隊。世界を見渡すと戦火は絶えず、台湾有事の懸念などから戦死が現実のものとなる可能性もある。

 参列者による「君が代」斉唱の後、海上自衛隊の元音楽隊員らがトランペットで奏でたのは「空の神兵」「加藤隼戦闘隊」といった軍歌だった。

 旧陸軍OBの偕行社(かいこうしゃ)と陸上自衛隊幹部OBの陸修会(りくしゅうかい)が合体した陸修偕行社は誕生から1年がたった4月17日、東京・九段の靖国神社で慰霊祭を開いた。約140人の参列者が「英霊」をまつる本殿で深々とこうべを垂れる。

 連載「靖国と自衛隊」は以下のラインアップです  連載プロローグ 「自衛隊は便利屋ではない」  4日午後4時 火箱芳文・陸修偕行社理事長インタビュー  5日午前11時 第2回 幻の開かれた追悼の場  6日午前11時 第3回 戦後に「戦死」した79人 

 6日午後4時 高橋哲哉・東大名誉教授インタビュー 

 主な参列者は陸自OBや自衛隊の協力団体の代表などだが、背広を着た現役自衛官の姿もちらほら見られる。高齢の旧陸軍士官学校出身者ら3人も出席した。

 慰霊祭を前に大塚海夫(うみお)宮司(64)があいさつに立った。戦後80年を念頭に「246万6000あまりの柱の神様をおまつりしている。その中のどなたかに会いに参拝していたが、今は国のために殉じた方をおまつりするのが大…

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