米株式市場、関税より上昇の勢い重視-トランプ氏の期限迫るも動じず
米株式市場は以前、貿易関連のニュースに大きく反応していたが、今では、ほとんどリスクがないとみているようだ。
トランプ米大統領による上乗せ関税措置の一時停止期間が7月9日に終了する予定だ。合意はほとんど成立しておらず、交渉の進展も乏しいが、株価指数は過去最高値圏にあり、相場の変動性もほぼ失われている。
なぜか?
一因として、トランプ氏が関税措置の期限を再び延長するとの期待がある。厳しい措置を警告した後に方針を撤回するという、これまでのパターンに基づくものだ。こうした行動は、アナリストやストラテジストの間で、「Trump Always Chickens Out(トランプはいつも尻込みする)」の頭文字を取った「TACO」と呼ばれる。
だが、それより重要なのは、相場の勢いに逆らう意味はないというウォール街のプロ投資家の見立てだ。米経済は健全性を維持している上、米企業は少なくとも現状では、貿易政策に冷静に対応しているように見える。
パイパー・サンドラーのチーフ投資ストラテジスト、マイケル・カントロウィッツ氏は「7月9日は引き続き注目されてはいるが、最近は他の多くの要因に目が向けられている」と指摘。「投資家の懸念は再び和らいでいる。金利やインフレ率、失業率が急上昇しない限り、株価は今後もじわじわと上昇し続けるだろう」と述べた。
S&P500種株価指数は4-6月(第2四半期)に、2023年10-12月(第4四半期)以来最大の上昇率を記録し、6200台に乗せた。ハイテク株比率の高いナスダック100指数も、23年1-3月(第1四半期)以来の大幅上昇を演じ、市場をけん引することが多い銘柄が再び主役になっている。両指数とも第1四半期は下落していた。
一方、市場では最もリスクの高い分野に対し資金配分を高める動きがある。4月以降に株価が25%上昇した局面で静観していた機関投資家さえ、徐々に市場に戻りつつある。ウォール街が当面の大きな相場変動を警戒していないことがオプション取引のデータからもうかがえる。
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原題:Traders Fear Missing Out on Stock Market Gains More Than Tariffs(抜粋)