7億光年先にある銀河団。淡く輝く2つの銀河を結ぶ「橋」を観測(ギズモード・ジャパン)
地球から約7億光年離れた場所に位置する「エイベル3667」は、巨大な銀河団です。 ブラウン大学の天文学者たちが率いる研究チームは、長年の観測データをもとに、この銀河団のかつてないほど最も詳細な画像を生成しました。 この画像はエイベル3667のこれまで最も深い画像で、画面全体に散らばる小さな点々のほとんどが銀河になります。先日、そんな最新画像からの発見をまとめた論文が、学術誌『The Astrophysical Journal Letters』に発表されました。
エイベル3667の内部では、最も明るい銀河2つが合体しつつあります。画像にはそんな銀河2つを結ぶように伸びる、淡くて黄色い光の“橋”が見えます。 この光は、形成中の銀河団の巨大な重力によって属していた銀河から引き離された迷子のような星々が放つ非常に微かな光で、銀河間光(ICL)というものです。 研究者たちいわく、このような孤立した星々は「過去における銀河同士の相互作用のささやかな証拠」になるとのこと。 彼らがICLを調べているのは、エイベル3667の過去を探るためです。これまでのX線と電波観測で予測されていたように、エイベル 3667自体も2つの銀河団の急速な合体から形成されたと思われています。 今回の画像は、この認識を裏付ける史上初の目に見える証拠になります。 研究の筆頭著者アンソニー・エングラート氏は、研究のリリースの中でこうコメントしています。 「このスケールと大きさの特徴が近傍銀河団で見つかったのは今回が初めてです。 このような橋が2つの銀河間で形成され得ることは知っていましたが、今に至るまでどこにも記録されていませんでした。こんなにもかすかな特徴を捉えられたことに大いに驚かされました」
今回の画像は、チリにあるセロ・トロロ・汎米天文台のビクター・M・ブランコ望遠鏡に搭載されたダークエネルギーカメラ(DECam)を使った観測、計28時間分のデータから生成されたもの。長時間露光ということもあって、ディテールを捉えられたそう。 銀河間光の他に画像内に見られる特徴としては、青っぽく光るフィラメント状の構造があります。こちらはシラス(またの名をintegrated flux nebulae)と呼ばれるうっすらと広がる宇宙塵の雲です。 「長年わたって多くの人々がエイベル3667を撮影してきたことは、ただうれしい偶然であり、私たちはそういった観測データを全部重ね合わせられたのです」と同氏は語っていました。