ロシアの戦勝記念日はウクライナが前線を攻撃する最大のチャンス(JBpress)

■ 1.長距離ドローンによるロシア要域攻撃  ウクライナは長距離・大型のドローンを開発して、ロシア国内のエネルギー施設や弾薬庫・武器製造工場を攻撃し、ロシアにダメージを与えている。 【写真】ロシア国内の攻撃に成功しているウクライナの大型・長距離の自爆型ドローン(主な4種類)  ドローンは低速で飛行し、ロシア国土の内陸部奥深くまで侵入、撃墜されずに目標に突入している。モスクワの市街地も被害を受けている。  ロシアはそのダメージを避けたいために、米国のドナルド・トランプ大統領とウラジーミル・プーチン大統領との電話会談で3月18日、エネルギー施設への攻撃について30日間の攻撃停止に合意した。  しかし、ロシアは自国が困ることは交渉でやめさせておきながら、ウクライナ各地に対するミサイルや無人機による無差別攻撃を停止しなかった。  プーチン大統領は4月28日、「5月8日午前0時から5月11日午前0時の間、すべての軍事行動を停止する」ことを発表し、ウクライナ側にも遵守するように求めた。  5月9日、モスクワでの戦勝記念の式典への攻撃をやめさせ、安全に実施したい狙いがあるのは明らかだ。  また、首都モスクワが直接攻撃を受けるという恥を世界に知られたくないためでもあろう。  私は、「(プーチン大統領の提案は)ロシアが停戦に関心があるという“幻想”を抱き続けているため」と米国戦争研究所が指摘していることは理解している。  しかし、そうした理由よりも、ロシアの防空能力ではウクライナの自爆型無人機によるモスクワへの攻撃を防ぐことができず、撃ち漏らす可能性が高いからだとみている。  そこで今回は、ロシア内陸部の奥深くまで攻撃できるウクライナの自爆型無人機による攻撃について詳しく分析してみたい。  具体的には、ウクライナの無人機攻撃の実態、ロシアの防空実態、ロシア防空の機能不全の理由、ロシアの防空態勢の立て直しが不可能な現実、プーチン提案の3日間停戦の狙い、ウクライナによるロシア国内攻撃の影響について考察する。 ■ 2.ウクライナの長距離大型無人機とその性能  ウクライナの大型・長距離の自爆型ドローンは、実際にロシア国内の攻撃に成功している。それらは、主に次の4種類である。  写真 ウクライナ長距離自爆型無人機  (1) 「A-22 Foxbat (フォックスバット)」改造型は、全長6.3メートル、航続距離1300キロ、飛行速度は時速160〜170キロ、搭載爆薬42キロである。  GPS誘導のほか、カメラ搭載と双方向通信による誘導が可能である。国境から約1300キロまでの軍事工場や石油関連施設を攻撃できる。  (2)「Sky Ranger Nynja(スカイレンジャーニンジャ)は、全長5.9メートル、航続距離700〜1500キロ、飛行速度は時速160キロ、搭載爆薬300キロ以上である。  A-22 Foxbatとほぼ同じ能力であるが、大量の搭載爆薬を輸送し、攻撃目標に大きなダメージを与えることができる。  (3)「UJ-22 Airbone (エアボーン)」は、全長約3.7メートル、航続距離は800キロ、搭載爆薬は20キロである。爆薬は、内蔵爆薬または空中投下爆弾を搭載できる。  (4)「UJ-26 Beaver (ビーバー)」は、全長2.5メートル、航続距離約1000キロ、飛行速度は時速150〜200キロ、最大積載量は20キロである。  このドローンは、木々の高さほどの超低空を飛行でき、レーダーに発見されにくい特色がある。  防空網は一般的に低空で飛ぶ飛翔体に弱く、その弱点をついて攻撃できるので、モスクワなど防空兵器を配備していてる主要都市でも攻撃に成功している。

JBpress
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