数百の遠方銀河とともに写るエリダヌス座の渦巻銀河「NGC 1309」 ハッブル宇宙望遠鏡が観測

こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した渦巻銀河「NGC 1309」。

エリダヌス座の方向、約1億光年先にあります。

地球に対してほぼ正面を向けた位置関係にあり、若い星の青い輝きに彩られた渦巻腕(渦状腕)の様子がよくわかります。

その周囲に写る光点は、ほぼすべてがNGC 1309よりも遠くにある何百もの銀河です。

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した渦巻銀河「NGC 1309」(Credit: ESA/Hubble & NASA, L. Galbany, S. Jha, K. Noll, A. Riess)】

NGC 1309は、ハッブル宇宙望遠鏡によって何度も観測されてきました。その理由の一つが超新星爆発です。

NGC 1309では2002年9月と2012年1月に超新星が発見されていて、それぞれ「SN 2002fk」「SN 2012Z」と呼ばれています。

SN 2002fkは、白色矮星を含む連星で起こるとされる「Ia型超新星」でした。

Ia型超新星は、伴星からガスが流れ込むなどした白色矮星の質量が、太陽の約1.4倍という一定の値に達した時に起こるとされる現象です。

真の明るさがほぼ一定であり、観測された見かけの明るさと比較することで地球からの距離を割り出せると考えられていることから、宇宙の距離を測定するのに役立つ標準光源のひとつとして利用されています。

10年後のSN 2012Zもまた白色矮星が関わる超新星だったものの、明るさは典型的なIa型よりも暗く、「Iax型超新星」に分類されています。

ハッブル宇宙望遠鏡の観測データを調べた結果、SN 2012Zでは白色矮星が完全には破壊されず、爆発前よりもさらに明るく輝く星を残したことが明らかになっています。

この画像は“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”として、ESA=ヨーロッパ宇宙機関から2025年7月28日付で公開されています。

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典

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