焦点:イラン戦争で高まるリスク、米大統領後継者はバンス氏かルビオ氏か
[ワシントン 29日 ロイター] - イランとの戦闘が、トランプ米大統領(共和党)の政治的遺産を脅かす恐れがある中、忠実な部下であるバンス副大統領(41)とルビオ国務長官(54)の政治的なリスクも高まっている。
トランプ氏の有力な後継者と目される2人は、共和党が2028年の次期大統領選の候補を検討し始めている時に、戦争終結に向けた発展途上の交渉に巻き込まれることになった。
バンス氏は米軍の長期的な関与を巡る懐疑的な姿勢を反映し、慎重な態度を取っている。一方、ルビオ氏はトランプ氏の強硬姿勢にしっかりと歩調を合わせ、今回の作戦に関して政権内で最も声高な擁護者の1人として台頭してきた。
トランプ氏は、2人がイランに対して核開発計画と弾道ミサイル計画を停止させ、ホルムズ海峡の自由な通航を認めるという米国の要求を受け入れさせるための努力に関わっていると主張する。
トランプ氏は任期制限のため次期大統領選に出馬できない中で、支持者や顧問に対し非公式な場で「バンスか、ルビオか」と後継者問題について問いかけていることが、トランプ氏の考え方に詳しい関係者2人の話で明らかになった。
政治アナリストや共和党幹部は、現在5週目に入った米軍の軍事作戦の結果が2人の次期大統領選の展望を左右すると見ている。米国に有利な形で早期に終結すれば、トランプ氏の国家安全保障顧問も兼任しており、危機の際に安定した手腕を示したと見なされるルビオ氏にとって追い風になる可能性がある。
これに対し、紛争が泥沼化すれば、バンス氏にとっては好機となる。トランプとの決定的な亀裂を避けつつも、反戦を本能的に望むトランプ支持層の声を代弁しているのは自分だ、と主張する足がかりを得られるからだ。
トランプ氏自身の地位もまた揺らいでいる。ロイター/イプソスが先週実施した調査によると、燃料価格の急騰とイランでの戦闘に対する広範な反発が響き、トランプ氏の支持率はここ数日間で2期目開始以来の最低となる36%に下落した。
共和党員の一部は、トランプ氏がイラン紛争の進展につれてどちらの側近を重用するのか注視していると話す。トランプ氏がルビオ氏に傾いている兆候が見られると指摘する声もあるが、彼の考えはすぐに変わる可能性もあると注意を促している。
<ライバルから有力な後継者へ>
バンス氏はイラクでの戦闘に従軍した元海兵隊員で、長年にわたって米国が外国の戦争に介入することに反対してきた。イランに関する公式発言は限定的で、慎重に調整されており、トランプ氏は2人の間にこの紛争を巡る「哲学的な相違」があると認めている。
かつて「反トランプ」を自称したバンス氏は23年に米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)への寄稿で、トランプ氏の最高の外交政策は17年から21年の第1次政権の4年間で一度も戦争を始めなかったことだと書いた。
ホワイトハウスは、大統領と副大統領の間にどのような不和もないと主張する。バンス氏は今月初め、大統領執務室でトランプ氏の傍らに立ち、大統領の戦争対応を支持しイランが核兵器を持つべきでないという点で一致していると訴えた。
事情に詳しい関係者によると、ウィットコフ米和平交渉担当特使とトランプ氏の娘婿のクシュナー氏が交渉で十分な進展を見せれば、バンス氏が交渉でより直接的な役割を担う可能性があるという。
バンス氏の考え方に詳しい人物はロイターに対し、同氏は11月の中間選挙を待ってから28年に出馬するかどうか決めるだろうと予想した。
バンス氏は保守政治行動会議(CPAC)の年次集会で実施された1600人超の模擬投票で、次期共和党大統領候補として約53%の支持を集めた。昨年はわずか3%だったルビオ氏は35%へと躍進し、2位に食い込んだ。これらの結果は今月27日に公表された。
ルビオ氏は、バンス氏が大統領選に出馬するなら自分は出馬しないと述べており、ルビオ氏の考え方に詳しい複数の情報筋は、バンス氏の副大統領候補になることで満足するだろうとみている。
だが、バンス氏に少しでも弱点が見受けられれば、ルビオ氏ら出馬を検討している共和党員を後押しする可能性がある。
共和党の戦略家ロン・ボンジャン氏は「トランプ氏は根に持つタイプだ」と述べた。「そして、忠誠心が欠けているとバンス氏を非難するかもしれない。もしトランプ氏が自身を熱烈に支持する米国第一主義運動『MAGA』から依然として人気を保ち続ければ、大統領の支持を得られないことはバンス氏にとって不利になる可能性がある」という。
トランプ氏はバンス氏とルビオ氏がともに正副大統領として出馬する構想を口にしており、2人なら打ち負かすのは難しいだろうと示唆している。
ホワイトハウスの高官は「トランプ氏が誰かを後継指名したいわけではない」と語った。
3月のロイター/イプソスの世論調査によると、共和党員の79%がバンス氏に好意的、19%が否定的な見方を示した。ルビオ氏は71%が肯定的だったが、15%が不評だった。トランプ氏自身に対して共和党員の79%が好意的、20%が否定的だった。
ルビオ氏は16年の大統領選でトランプ氏と激しく対立した末に野望を打ち砕かれたが、現在は大統領との間で生じた摩擦をすっかり解消している。
国務省のトミー・ピゴット報道官は、ルビオ氏がトランプ氏のチームと「公私ともに素晴らしい関係を築いている」とコメントした。
<画面上で対照的な態度>
CPACを率いる保守派リーダーのマット・シュラップ氏は、イランに対する軍事作戦が重大な政治的結果をもたらすだろうと語った。
シュラップ氏は「もしも任務の終了時点で成功したと見なされれば、正しい決断をしたとして政治的に報われるだろうと思う」とし、「もしも際限なく続けば、政治状況は厳しくなると思う」と述べた。
ロイター/イプソスの世論調査によると、共和党員は依然としてイランに対する軍事攻撃を幅広く支持し75%が賛成している。対照的に、民主党員で賛成しているのはわずか6%、無党派層で24%にとどまっている。
26日にテレビ中継された閣議では、ルビオ氏とバンス氏の対照的な性格が際立っていた。
ルビオ氏はトランプ氏のイラン攻撃を全面的に擁護し「大統領はこのような危険を放置しないだろう」と主張した。
対照的にバンス氏の態度はより慎重で、あくまでイランの核武装を阻むための具体的な選択肢を模索する姿勢に終始。キリスト教徒やペルシャ湾に展開する米軍兵士に対して、聖週間とイースターの祝福を口にして締めくくった。
バンス氏は兵士らに対して「われわれはあなたたちを擁護し続ける」と述べ、「あらゆる場面で支援し続ける」と語りかけた。
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