世界の超長期国債、投資家の懸念材料に-財政支出巡る不安が再燃
超長期債が足元で市場の懸念材料となっている。各国の財政支出を巡る不安が背景にあり、今年激しく動いてきた超長期債に再び注目が集まってきた。
2日にリーブス英財務相の去就に関する臆測から英国債利回りが急上昇したことに伴い、期間30年以上の債券の変動リスクを市場は再認識した。売り圧力は米債券市場にも波及し、米30年国債利回りは一時約8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上がった。
この一連の動きで超長期債市場は再び注視されるようになり、財政支出や政治面の不透明感に対する不安を織り込みに行った。超長期債は他の年限に比べ流動性が低いこともあり、売り圧力に弱く投資家の標的にされやすい面もある。
JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル市場ストラテジスト、ケリー・クレイグ氏は「債券市場は依然として政府の監視役だとの考えに立てば、ある程度健全な動きだ」と指摘。「われわれが持続不可能と見なすことを政府がすれば、より高い利回りを求めペナルティーを科すだろう」と述べた。
政府側もまた、超長期債発行の役割を見直しつつある。ベッセント米財務長官は今週、現在の米国債利回り水準を踏まえると、政府が長期債の発行を増やすのは理にかなっていないとの見方を示唆した。
オーストラリア債務管理庁(AOFM)は、超長期債の発行規模縮小を検討。日本は既に超長期債の発行を減額する計画を明らかにしている。
少なくとも一部の主要市場では、需給バランスが改善しつつある兆しもある。3日に実施された日本の30年国債入札では2月以来の堅調な需要を集めた。財務省が2025年度の超長期国債の発行額を合計3兆2000億円減額する方針を決めたことが背景だ。
ただ堅調な入札結果にもかかわらず、超長期債利回りは流通市場で引き続き上昇。30年国債利回りは3日、約8bp上昇し、2.96%に達した。
ブルームバーグのストラテジストは次のように指摘する:
「財務省が長期債を下支えしようと努力を重ねているものの、米国債や英国債の動向をコントロールすることはできず、その影響が日本の国債市場に跳ね返ってきている」
-MLIVストラテジストのMark Cranfield、関連記事:MLIVJAPAN
理論的には米国、豪州、日本などでの供給減が売り圧力を緩和する可能性はあるが、依然として慎重な姿勢を崩さない投資家もいる。
UBSアセット・マネジメント(シドニー)のポートフォリオマネジャー、トム・ナッシュ氏は「頻発する財政・政治リスクイベントに敏感なゾーンであえてポジションを取る必要はない」とした上で、「むしろ短期ゾーンに絞った方がはるかにシンプルで分かりやすい」と語った。
原題:Long Bonds the World Over Face Intense Trader Scrutiny Once More(抜粋)