「最先端」の正体はポンコツだった? サンフランシスコ大停電で見えた「ロボタクシー」の“自律”の限界
クリスマスを翌週に控えて賑わっていた週末の米・カリフォルニア州サンフランシスコ市で、米国時間の2025年12月20日13時過ぎに大規模停電が起こった。停電は、主要電力会社Pacific Gas and Electric Company(PG&E)の変電所で起こった火災が発端だった。市の3分の1にあたる13万人の住民が影響を受け、市内の広範囲で信号機が停止し、都市交通インフラは麻痺した。 【画像】「えぇぇぇ!」 これがトヨタ自動車の「平均年収」です!(5枚) この影響により、米アルファベット傘下で、自動運転開発を担うウェイモ(Waymo)がサンフランシスコ市で運行する多数のロボタクシーが交差点や道路上で立ち往生となり、交通網に混乱をきたした。一部で救急車などの通行を妨げるなどの交通麻痺を引き起こし、この様子を撮影した写真や動画がSNSで拡散された。 この原因についてウェイモは、12月23日に公式見解を出した。これによると、ロボタクシーは信号機が停止しても周囲の道路状況や歩行者などを確認しながら走行できる構造であるとしている。しかしながら、想定を上回る大規模の信号が停止したことによって、クラウド上の遠隔支援システムへ各車両からの安全確認要求が集中した。 これにより、システム負荷の増大が起こって処理能力が限界に達し、リアルタイムでの対応が困難になったと説明している。
ウェイモは公式見解で、今回の大規模停電が自律走行技術の堅牢性を試す機会になったとも説明している。ロボタクシーは本来、自律走行できる構造だが、実際にはクラウド経由での遠隔操作による「人間の判断」に強く依存している事実が露呈した。停電などによって通信が途絶えると、自律走行するための知能を失う脆弱な構造となっている。 また、ロボタクシーは公衆電波を制御に使うビジネスモデルであることから、停電などの非常時に都市の安全を脅かす「外部不経済」を招いた。一部報道によると、停電によって各家庭のWi-Fiが使用できなくなり、モバイル通信のLTEや5G回線が一時的に飽和状態になったと報じられている。こうした状況下で、ロボタクシーを正常に制御できるだけのデータ通信を維持することは極めて困難だった可能性がある。 さらに、無人で運行されるロボタクシーの限界も垣間見えた。サンフランシスコ市内を運行するテスラのロボタクシーには監視員が同乗しており、停電下でも運行は継続された。人による物理的介入ができない「無人車」が、リスクを増大させた側面があることは否定できない。