2人退場、PK判定も出た川崎F対福岡は「キャプテンオンリーのためのゲームみたいだった」、新競技規則を体感した両主将の本音

両チームのキャプテンが他の選手を制止

[8.9 J1第25節 川崎F 2-5 福岡 U等々力]

 主審との判定確認の際に、キャプテン以外の選手による主審への取り囲みなどを防ぐ新競技規則「キャプテンオンリー」は、J1リーグでは今節から適用された。川崎フロンターレアビスパ福岡の試合では、2人の退場者やPKの判定など、多くの重大事象が発生。そのたびに主審と話した川崎FのキャプテンMF脇坂泰斗は「今日はもうキャプテンオンリーのためのゲームみたいな感じだった」と振り返った。

 キャプテン以外の選手も主審との通常のやりとりは可能だが、判定に関する重要な決定については両チームのキャプテンのみが主審から説明を受ける。川崎Fと福岡の試合では、序盤から難しい判定の場面が続いた。

 前半15分に川崎FのDFフィリップ・ウレモヴィッチが退場処分。前半アディショナルタイムにはDFファン・ウェルメスケルケン・際が2度目の警告を受け、川崎Fはこの試合2人目の退場処分となった。さらに後半28分にはMF橘田健人が自陣内で相手にファウルしてしまいPKを献上。そのたびに清水勇人主審が両キャプテンに説明をした。

 だが、勝敗にかかわる重要な決定に、キャプテン以外の選手も黙ってはいられない。両キャプテンが主審と話しているさなかにも、ほかの選手が主審に近寄る場面は何度も見られた。 「今日のゲームが教材になるくらい(主審に)コミュニケーションを取りに行った」(脇坂)。キャプテンは自チームの選手を主審から引き離す役割も担う。脇坂は「実際にキャプテン以外の選手が(主審のところに)行ってイエローをもらったりもしていた」と難しさを説いた。  鬱憤がプレーに影響しないためにも、キャプテンは思いを伝えたい選手と主審の架け橋にもならなくてはいけない。脇坂は「僕は普段通りにコミュニケーションを取るだけ。ほかの選手はたぶん言いたいときに言えない難しさは感じている」と仲間の胸中を慮る。「実際に際くんが退場したときにどうだったと聞いて(主審に)伝えたり、そういったところは自分しかコミュニケーションを取れない分、責任感を持ってやりたい」と力を込めた。

 福岡のキャプテンDF奈良竜樹も脇坂と同様に、仲間を制止しながら主審と対話を続けた。試合後には「線引きがわからない」と初の試みに対する本音を吐露。「レフェリーも運用するのは難しいんじゃないですかね。(自分も)アジャストしていかないと」とストレスの矛先にもなりかねない審判団への思いを口にしていた。

(取材・文 石川祐介)●2025シーズンJリーグ特集▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中

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