「向社会的行動」って?【発達障害のある子どもがいきいき育つ「お手伝い療育」のすすめ】 お手伝いを通じて人への思いやりを身に付ける
1歳からできる本当に簡単なお手伝いです。きょうだいがいれば一緒にやるのも士気が上がります。 ■対象年齢 1歳以上~ ■期待できる効果 ・向社会性の向上 ・手指機能の向上 ・注意力の向上 ・能動性の向上 ■ゴミを拾ってゴミ袋に入れる ・家族一人ひとりがゴミ袋を持って同じ部屋でゴミを拾う。 ・まず大人がゴミを拾ってゴミ袋に入れる様子を見せる。 ・集めたゴミの量を競うのも良いでしょう。 ただし、「一番」にこだわりがある場合は競争にはせずに、集めたゴミを一つのゴミ袋に入れるようにします。 ■粘着テープ付きローラーを使う ・手指がまだ発達していない場合は、粘着テープ付きローラー(いわゆる「コロコロ」)を使います。 ・粘着テープ付きローラーにたくさんゴミがくっつきそうな場所を予想して、ローラーでゴミを集めます。 ■ことばがけのコツ ・子どもの頑張りと感心したところを具体的に褒める。 ・感謝の意を述べる 例: 「○○ちゃんがお兄ちゃんと一緒に広いお部屋のゴミを取ってくれました。ありがとう」 「3歳だけど、ゴミあるかな~ってジロジロって探してくれました。ありがとう」 「広いお部屋だから大変だったけど頑張ってゴミを見つけてくれました」 「お母さん、お部屋がきれいになってうれしい」 「お父さん、皆がお手伝いしてくれて、助かった。ありがとう」 ■発達障害の特性のある子の場合の留意点 発達障害の特性のある子の場合、ゴミ拾いの場所が曖昧だと混乱してしまうことがあります。ゴミを拾う範囲がわかるように、ゴミ拾いをしてもらう場所をテープで囲むなどするとわかりやすいでしょう。 また、テレビがついていたり音楽がかかっていたりすると、映像や音が気になってゴミ拾いから気が逸れてしまうことがあります。集中しやすい環境づくりを心がけましょう。 【原 哲也 言語聴覚士・社会福祉士】 一般社団法人 WAKUWAKU PROJECT JAPAN代表理事。明治学院大学社会学部社会福祉学科卒業、国立身体障害者リハビリテーション学院・聴能言語専門職員養成課程修了。カナダのブリティッシュコロンビア州の障害者グループホーム、東京都文京区の障害者施設職員、長野県の信濃医療福祉センター・リハビリテーション部での勤務の後、『発達障害のある子の家族を幸せにする』ことを志に、一般社団法人 WAKUWAKU PROJECT JAPANを長野県諏訪市に創設。発達障害のある子のプライベートレッスンやワークショップ、保育士や教諭を対象にした講座を運営している。著書に『発達障害のある子と家族が幸せになる方法』(学苑社)、『発達障害の子の療育が全部わかる本』(講談社)がある。
文・構成/原 哲也