トランプ氏、対中関税休止の再延長を示唆-19日に習氏と電話会談
トランプ米大統領と中国の習近平国家主席の電話会談が米東部時間19日午前9時(日本時間午後10時)から行われる。両首脳の会談は6月以来となる。中国の字節跳動(バイトダンス)の動画投稿アプリ「TikTok」の行方を決定づけるほか、世界二大経済大国間の貿易摩擦を緩和する可能性もあると期待されている。
両首脳は今週発表されたTikTok枠組み合意について協議する。トランプ氏は、会談で米中間の関税休止のさらなる延長が決まる可能性も示唆した。
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英国を訪問中のトランプ氏は18日、スターマー英首相との共同記者会見で「米中はディールにかなり近づいている」と発言。「中国とは休止を延長する可能性があるが、それは現在と同一の条件に基づいた延長であり、その条件はかなり良いものだ」と述べた。
TikTokを巡る取引については「中国と連携して」進められるとし、米国は「この取引をまとめるだけで『手数料に加えて追加の取り分』を得ることになる」と指摘。TikTokは「米投資家ならびに米国を愛する企業が所有する」形になると述べた。
ただ、アプリに新たなアルゴリズムが必要かどうかという質問には直接答えなかった。
米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)で中国研究フリーマンチェアを務めるヘンリエッタ・レビン氏は、中国企業が米国に技術ライセンスを供与しながらも、その基本的な技術の管理と所有を維持するという取り決めであれば、「中国側は成功と見なすだろう。中国が管理し続ける技術への世界的な依存を高めるという中国のビジョンに一致するためだ」と述べた。
米保守系シンクタンク、ヘリテージ財団のスティーブ・イエーツ上級研究員は、習氏がアルゴリズムに関して米国の期待に応えられなかった場合、トランプ氏は撤退する準備を整える必要があるとの見方を示した。
先にマドリードで行われた閣僚級貿易協議では、TikTokの米国内での運営を維持するための枠組みで両国が合意した。
事情に詳しい関係者によれば、 TikTokの米国事業はオラクル、シルバーレイク、アンドリーセン・ホロウィッツを含む投資家コンソーシアムにより買収される見通しだ。ただ計画の全容はなお明らかになっておらず、トランプ氏と習氏の会談で最終決定する必要があると当局者らは述べている。
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トランプ氏はこれまで、TikTok米国事業の価値は数百億ドルに上る可能性があるとの見方を示しており、16日には「そのような価値が無駄になるのは見たくない」と語った。
今回の電話会談は双方にとって節目となりそうだ。トランプ政権2期目で初となる対面での米中首脳会談の実現に向けた環境整備となるかが注目される。対面会談が実現すれば、中国によるボーイング製航空機の発注のほか、ウクライナや中東、南シナ海などでの地政学的な問題に関するより深い議論など、広範な議題が協議される可能性がある。
半導体とレアアース
19日の電話会談は、米中間で緊張緩和が進む中で行われる。両国は世界的なリセッション(景気後退)への懸念を高めた報復関税の応酬を巻き戻しつつある。延長を重ねてきた90日間の関税休止措置は、11月10日まで継続される見通しだ。
米半導体大手エヌビディアを巡る中国の対応も、両国間の火種として残る。中国当局は今月に入り、エヌビディアが2020年に行ったネットワーク機器メーカーのメラノックス・テクノロジーズ買収について、独占禁止法に違反したと判断した。米当局者は中国側交渉担当者との協議で、この動きに強い不満を示した。
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一方、トランプ氏はロシアのプーチン大統領にウクライナでの戦争終結を迫るため、ロシア産原油を購入する中国とインドに対する制裁を強化するよう同盟国に呼びかけている。
原題:Trump, Xi to Hold Call as TikTok, Tariffs and Nvidia Loom Large、Trump Says May Extend China Truce Alongside TikTok Talks With Xi、Trump, Xi Call Scheduled for 9am Washington Time on Friday (1)(抜粋)