EU、ロシア産LNG脱却を加速へ-次回制裁パッケージで提案する可能性

Ewa Krukowska、Alberto Nardelli

  • 2027年末の従来目標、トランプ米大統領の圧力で前倒し検討-関係者
  • 対インド、中国への関税は多くの加盟国が難色-LNGが欧州委の標的に

欧州連合(EU)はロシア産液化天然ガス(LNG)の脱却を加速させる措置を準備している。数日前にトランプ米大統領はEUに対し、ロシアとのエネルギー取引抑制に向けてさらなる行動をとるよう要求していた。

  事情を知る関係者によると、EUの執行機関である欧州委員会は新たな制裁パッケージで、従来計画していた2027年末よりも早い時期にロシア産LNGの輸入を全面的に停止するとの条項を盛り込む考えだ。ブルームバーグが先に報じたところによると、EUは19日にも、最新の対ロシア制裁案を加盟国に提示する。

関連記事:EU、新たなロシア制裁案を19日にも提示-暗号資産やエネルギー標的に

  EUはロシアの化石燃料に対する依存をやめ、グリーン化の加速を目指す「リパワーEU」戦略の修正を通じ、ロシア産LNGの全面的な輸入停止を進める選択肢も検討していると、匿名を要請した関係者が明らかにした。

  欧州委員会のイトコネン報道官は「『リパワーEU』計画を2022年に提示して以来、ロシア産エネルギーからの脱却は早ければ早いほど良いと欧州委は呼び掛けてきた」と語った。

  トランプ政権はEUに対し、ロシア産エネルギーの輸入縮小を加速させるとともに、ロシア産の原油を購入しているインドと中国に最大100%の関税を課すよう圧力をかけている。

  トランプ氏は米国がロシアへの圧力を強める条件として、欧州にロシアのエネルギー収入を狙い打ちにする措置を一段と打ち出すよう促している。

  関係者によれば、多くのEU加盟国はインドや中国に対する関税賦課に難色を示しているため、欧州委員会は標的をロシア産LNGに移しつつあるという。

  世界のガス市場は来年下期に供給過剰に転じると予想され、ロシア産ガスの段階的廃止を早めてもEUで需給がひっ迫し、価格が高騰するリスクは減っている。この市場環境が、EUが新たな脱却期限を決定する上で重要な要因になりそうだ。

原題:EU Plans to Phase Out Russian LNG More Quickly After Trump Push(抜粋)

— 取材協力 Elena Mazneva and Anna Shiryaevskaya

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