Bluetoothの「バージョン表記」が分かりづらい問題 標準化団体のキーマンに聞いたところ……
規格としてのBluetoothは1999年に生まれた。満年齢でいうと2025年で26歳で、既に四半世紀の歴史を持つ。同規格は機能面で拡充を続けており、2025年時点での最新バージョンは「Bluetooth 6.1」だ。 一方で、PCやスマートフォンといったクライアントデバイスでメインストリームを占めているのは、2021年策定の「Bluetooth 5.3」あるいは2023年策定の「Bluetooth 5.4」に対応するものだ。最新の1つ手前で2024年策定の「Bluetooth 6.0」に対応するクライアントデバイスは、2025年に入ってじわじわと増えている状況にある。 この状況は、クライアントデバイスと組み合わせて使うコンパニオンデバイスでも同様だ。ワイヤレスイヤフォンや「Bluetooth HID(Human Interface Device)」準拠のキーボード/マウスでも、主流はBluetooth 5.3/5.4に準拠するもので、Bluetooth 6.0に対応するものは2025年に入って出てきた、という感じである。 Bluetoothの規格は、大きく分けるとBluetooth 3.0までの「Bluetooth Classic」と、Bluetooth 4.0以降の「Bluetooth Low Energy(LE)」に大別される。両者は基本となる技術が異なるのだが、どちらもBluetooth SIGが「Bluetooth」として規格を管理している。 多くのBluetoothデバイスメーカーは、仕様書などに準拠するBluetoothのバージョンを明記している。しかし、一部にバージョンをハッキリと書かないケースも見受けられる。「細かいバージョンとか、気にする必要があるのか?」と思うかもしれないが、小数点以下の違いで対応(利用)できる機能に差分が生じうるので、場合によっては重要だったりする。 例えば、新しいオーディオ伝送規格「Bluetooth LE Audio」を利用するには、デバイスが少なくともBluetooth 5.2以降に対応している必要がある。Bluetooth 5.2未満のデバイスでは、対応したくてもできない。 また、最近ではめったに見かけなくなったが、バージョン表記すらなく単に「Bluetooth LE対応」としか書かれていないデバイスもある。この場合、少なくともBluetooth 4.0以降だなということは分かるものの、具体的な対応バージョンが分からない。新バージョンで追加された機能を使わない限り、基本的に下位互換性はあるので使えないということはないのだが、何だかモヤモヤしてしまう。 PCの場合、OSやデバイスドライバのバージョンによってBluetoothのバージョンも変動するケースもある。とはいえ、ユーザー目線でいくと「最低限対応できるバージョンでもいいから、小数点以下も書いてほしい」と思ってしまう。現に「OSのバージョンによってバージョンが変動することがあります」といった注釈を付けてきちんと表記しているメーカーもある。