ドリブラー川崎F伊藤達哉が驚異の直近9戦9発! 得点力開花の秘訣はドイツ時代の“ジョーカー経験”「途中からの自分をどうにかするには…」

[9.28 J1第32節 川崎F 4-4 柏 U等々力]

 連続得点記録が途切れても、その勢いはとどまるところを知らない。川崎フロンターレMF伊藤達哉は1-2で迎えた前半アディショナルタイム5分、FWマルシーニョが先陣を切ったカウンターで左サイドに流れると、得意のカットインから右足一閃。低弾道シュートをゴール左隅に突き刺し、公式戦直近9試合で9ゴール目を奪った。

 スピードに乗ったドリブル突破の最中でも視界は冴えていた。「あそこの状況はシュートというよりその前のドリブルで勝負があったかなと。僕としてはファーも打てたので。そんなにシュートは難しくなかったです」。カットインからのニア抜きシュートという“ダフり”がちな高難度シュートだったが、決めた本人は驚くほど冷静だった。

 Jリーグ“逆輸入”1年目の今季序盤戦は途中出場時の2ゴールにとどまっていた伊藤だが、終盤戦に入って得点力が開花。チームの公式戦3連敗を止めた8月16日のJ1第26節・新潟戦から、公式戦6試合連続ゴールを記録した。この記録は前々節のFC東京戦で一度はストップしたものの、続く前節・湘南戦で再び得点。この日は序盤に自身が獲得したPKをFWラザル・ロマニッチに譲った上で、前半のうちに自ら決めてみせた。

 これでJ1リーグ戦の得点数を10とし、キャリア初の二桁ゴールを達成。かつてハンブルガーSVのセカンドチームではドリブル突破からのアシストを主体にブンデスリーガのトップチームまでのし上がった実績を持つ28歳だが、この得点力の秘訣はベルギー・シントトロイデンを経て、たどり着いたブンデスリーガ2部マクデブルク時代の”ジョーカー起用”経験にあったという。 「ドイツで途中から出ることが多くて、途中からの自分をどうにかするには点を取るしかないという意識があって。(当時は)左サイドがメインだったけど、短い時間でも自分がとにかく点を取るという意識がそこでついて、いま先発でこうして出させてもらうことができて、最初は右サイドに慣れなかったり、Jリーグの独特な感じに慣れなかったのもあったけどそれが慣れてきて、自分が点を取るというドイツで培ったものがいま活きているのかなと思います」  そんな勢いには翳りが見えないままシーズンは残り6試合。現在日本人最多のFW宮代大聖、チーム得点王のエリソンとも1点差に迫っており、意識しやすいハードルは目の前にあるものの、得点目標については「具体的な数字はない」と言い切る。 「自分が取れる点はずっと取りたいけど、この間、連続ゴールが続いている時にちょっと気持ちが前のめりすぎると良くないなというのがあって、自然体でいたいなと思う」  そんな冷静な心構えも明かした伊藤は一つ一つ積み重ねていく構え。「あとは自分でもどれくらい乗せていけるかは自分にも期待しているし、マークもされると思うけど、それをうまく使って、ゴールもそうだし、アシストも増やしていきたい」と意気込んでいた。 (取材・文 竹内達也)●2025シーズンJリーグ特集▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中

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