FRB利下げ時期を探る米国債トレーダー、6月の米雇用統計を注視

3日に発表される6月の米雇用統計では、雇用者数の伸びが鈍化し、失業率は2021年以来の高水準となる見通しだ。トランプ政権による通商・移民政策の転換が影響を及ぼし始めている。

  ブルームバーグが実施したエコノミスト調査の中央値によると、6月の非農業部門雇用者数は前月比10万6000人増と、4カ月ぶりの低い伸びにどどまったもよう。前月は13万9000人増だった。失業率は4.3%に上昇したとみられている。

  予想通りとなれば、先物市場の動きが示す投資家の現在の想定通り、米金融当局は利下げ開始を9月まで先送りする公算が大きい。ただし、労働市場により急激な悪化の兆しが見られれば、7月29、30日の次回会合に利下げが前倒しされる可能性が高まる。

  オックスフォード・エコノミクスの首席米国エコノミスト、ナンシー・バンデンホウテン氏は「6月の労働市場の鈍化は、今後の動きを示唆するサインだ」として、「関税政策の高い不確実性により、年後半にかけて雇用の伸びは一段と減速するだろう」と語った。

  米国債市場の投資家は、米金融当局が今月にも利下げに踏み切る可能性を見極めようと、同統計に注目している。

  6月の雇用統計が弱い内容となれば、今月の米利下げ再開に道が開かれる可能性があるが、市場はそうした可能性を低く見積もっており、一部の政策当局者も利下げ先送りを支持している。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事とボウマン副議長は最近、データ次第では7月利下げにオープンな姿勢を示した。

  フォート・ワシントン・インベストメント・アドバイザーズのポートフォリオマネジャー、ダン・カーター氏は「雇用統計が弱ければ、7月会合での利下げが現実味を帯びるが、強い内容なら、7月の利下げは完全に選択肢から外れるだろう」と述べた。

  米国債相場はここ数週間、上昇している。労働市場の軟化が政策担当者に利下げ開始の根拠を与えるとの観測が背景にある。市場では年内に2回以上の0.25ポイント利下げが織り込まれており、最初の利下げは9月と予想されているものの、7月に前倒しされる確率も約25%と想定されている。

原題:US June Jobs Report Set to Show Strain From Trump’s PoliciesBond Traders Eye High-Stakes US Jobs Report for Fed Rate Clues(抜粋)

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