米貿易赤字、4月は過去最大の縮小-前倒し需要終了で輸入急減
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- 貿易赤字は616億ドル、前月比55.5%縮小-2023年以来の小幅な赤字
- 輸入は16.3%減少、過去最大の減少率-輸出は3%増加
4月の米貿易赤字は過去最大の縮小となった。輸入がこれまでで最大の減少を示したことが背景。関税引き上げを前に一部企業が財の輸入を大規模に前倒ししていたが、それが終了したことを示している。
キーポイント- 財とサービスを合わせた米貿易赤字は616億ドル
- 前月から55.5%縮小
- エコノミスト予想の中央値は660億ドル
- 2023年以来の小幅な赤字
- 第1四半期の拡大分を打ち消す
- 前月は1383億ドル
財とサービスの輸入は16.3%減少と、過去最大の減少率となった。一方、輸出は3%増加した。
4月の大幅な赤字縮小により、4-6月(第2四半期)には純輸出が国内総生産(GDP) に大きく寄与する見通しだ。1ー3月(第 1 四半期)のGDPは年率0.2%減となり、貿易が大きな下押し要因となっていた。4月に海外生産者からの輸入が急減した背景には、大半の輸入品に対する米国の上乗せ関税が同月初めに導入されたことがある。
4-6月期に純輸出がGDPにどの程度、寄与するのかは不明だ。トランプ大統領は関税の一部について適用延期や引き下げを行っているほか、鉄鋼やアルミニウムなどの特定製品については関税を引き上げるなどしているためだ。同政権は複数の国と新たな貿易協定について交渉中だと明らかにしている。
ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、スチュワート・ポール氏は「第 2 四半期の貿易赤字の縮小はGDPを押し上げるが、以前に輸入した財の在庫減少により、貿易項目からの追い風は弱まるだろう」と述べた。
4月の貿易収支によると、消費財の輸入が330億ドル(約4兆7300億円)減少した。これは主に、医薬品製剤の輸入が急減したためだ。工業用資材や自動車、資本財の輸入も減少した。
医薬品輸入の減少により、主な供給元であるアイルランドに対する財の米貿易赤字が季節調整後で95億ドルと、前月の293億ドルから大幅に縮小した。
一方、財の対中貿易赤字は197億ドルに縮小。中国からの輸入額はコロナ禍初期以来の低水準となった。
中国はトランプ政権の関税措置の主要な標的だ。大統領は2国間貿易の公平性を求め、外国からの対米投資の拡大や国内生産の強化、国家産業に関する安全保障の向上を目標としている。トランプ氏はまた、輸入関税を政府の収入増の手段と見なしている。
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カナダとメキシコに対する貿易赤字も縮小。スイスとの貿易収支は3月の154億ドルの赤字から4月には35億ドルの黒字に転じた。この逆転は、スイスからの金輸出の急減が要因とみられる。
インフレ調整後の財の貿易赤字は856億に縮小し、2023年末以来の低水準となった。
供給管理協会(ISM)の調査データは貿易赤字の縮小が5月も続いたことを示唆している。製造業の輸入指数は2009年以来の急激な縮小を示した。
詳細は表をご覧ください。
原題:US Trade Deficit Narrows by Most on Record as Imports Plunge(抜粋)