アマゾン株の出遅れ鮮明、AIブームの波に乗れず-事業多角化も逆風
人工知能(AI)への熱狂が続く株式市場で、アマゾン・ドット・コムは存在感を失いつつある。
アマゾンの株価は今年に入ってナスダック100指数に後れを取っており、7月31日の決算発表で失望を招いて以降の2週間に、その差はさらに拡大した。ハイテク銘柄中心の同指数が年初来で13%近く上昇しているのに対し、アマゾン株の値上がり率は5.5%にとどまる。
アマゾン株のパフォーマンスはナスダック100構成銘柄の下位半分に沈んでおり、今や同指数に対して過去最大の割安水準に近づいている。過去20年の大半において指数を大きく上回る水準で取引されてきたのと対照的だ。アマゾン株の予想株価収益率(PER)は約26倍、ナスダック100の27倍超を下回る。
直近の株安要因は、同社のクラウド事業の成長が予想を下回ったことだ。市場シェアを失いつつあるのではないかとの懸念が広がった。さらに、アマゾンのAI投資がマイクロソフトやメタ・プラットフォームズといった他の巨大テクノロジー企業のように業績を押し上げていないとの不満も、投資家の間で募っている。
ウォール街では、アマゾンの強みとされてきた事業の多角性さえも逆風となり、同社株が純粋なAI関連銘柄とみなされないことが株価の重しになっているとの指摘もある。
ラショナル・ダイナミック・ブランズ・ファンドのポートフォリオマネジャー、エリック・クラーク氏は「多くの投資家にとって、アマゾンは自分が信じるテーマへの純粋な投資先ではない」と指摘。「投資家は投資対象に純粋さを求めている。それを重視するなら、アマゾンは多角化によって特化性を失った企業のように映るだろう」と語った。
アマゾンは売上高の大半をまだ電子商取引から得ているが、クラウド部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)から食品スーパーのホールフーズ・マーケットに至る幅広い事業への積極的な投資によって、成長志向の投資家に長らく魅力的な存在となってきた。先週には、生鮮食品の当日配送サービス提供都市数を2倍超に拡大する計画を明らかにした。
原題:Amazon Shares Lag Behind in Stock Market Obsessed with AI (1)(抜粋)