ウクライナ安全保障案の取りまとめ、英仏が急ぐ-週末に再び首脳会合
トランプ米大統領がロシアの戦争を無理にでも解決させようとする一方で、英国とフランスは交渉におけるウクライナの立場を強化する取り組みを急いでいる。
ロシアはいかなる合意においても、ウクライナに大幅な軍備縮小を要求する構えだ。これに対して、ウクライナの安全保障を確保するための計画を、欧州に2カ国しかない核保有国の英仏はまとめようとしている。
12日にはパリに欧州の軍事大国5カ国の防衛担当相が集まり、米国が手を引こうとする中でウクライナ支援でどのように協調していけるかを話し合った。
ルコルニュ仏国防相はポーランド、ドイツ、イタリア、英国の防衛担当相と並んで記者会見し、「ウクライナに対する第1段階の安全保障の確約はウクライナ軍自体に対する措置で、その能力や兵器、訓練を目的にするという幅広い合意が形成されつつある」と説明。
「永続的な安全保障の確保は、われわれがウクライナに提供できる能力にかかっている」とルコルニュ氏は述べ、欧州は宇宙技術について迅速に動き、米国の衛星通信サービス「スターリンク」への依存を減らすことが必要だと主張した。
代替に名乗り
ドイツのピストリウス国防相は、米国のウクライナ軍事支援継続を歓迎しながらも、米国の一部支援やスターリンクなどのサービスを欧州が代替することは可能だと付け加えた。
「それが必要になるのなら、例えば弾薬だけでなく、衛星通信でも欧州は速やかに取って代わることができる」と、ピストリウス氏は述べた。
英国のヒーリー国防相が12日述べたところによると、ウクライナでの停戦や和平が成立する場合の「軍事計画」について協議を継続するため、今回集まった防衛担当相は来週再び会合を開く。
スターマー英首相とマクロン仏大統領は、平和的解決が合意された場合のウクライナでの「有志連合」結成に向け、37カ国の議論を主導している。有志連合には欧州だけでなく、英連邦やアジアからも参加を募り、ロシアの再侵攻からウクライナを守るため資金や軍事、航空機や船舶などの提供を通じてそれぞれが支援することが見込まれる。
事情に詳しい関係者によると、11日には日本やオーストラリア、ニュージーランドなど北大西洋条約機構(NATO)非加盟国と欧州数十カ国、カナダによる防衛担当省会議もパリで開かれた。
駐留は不可欠
英仏が結集を目指す平和維持部隊はウクライナの安全保障確保には不可欠で、NATO加盟国のウクライナ駐留に対するロシアの反対は恒久的な平和を頓挫させようとする意図的な企みだと、英当局者はブルームバーグに指摘した。
この当局者によると、会議参加国はそれぞれ、有志連合に何を提供する意思があるか質問を受けた。ウクライナへの地上軍派遣の可能性を否定した国々には、近隣の欧州諸国に軍を駐留させる意思はあるか、地雷処理班や船舶、航空機、戦車、情報など他の形の貢献は可能かと打診を受けた。
持続的かつ永続的な平和には、ウクライナ領内での欧州軍駐留は欠かせない要素だと防衛当局者は確信している。だが、ロシアはNATO加盟国の軍によるウクライナ駐留を容認しない姿勢を鮮明にしている。同国国営タス通信によると、ラブロフ外相は12日、いかなる能力であれNATO軍のウクライナ駐留はロシアにとって脅威になると述べた。
防衛担当閣僚は向こう数日以内に平和維持部隊についてより詳細な選択肢をスターマー氏とマクロン氏に提出し、両者と他の首脳が週末に行うバーチャル形式の会談で協議されると、当局者らは語った。
そこでまとめられた案は、トランプ米大統領に提示されるという。英仏首脳らは米軍が平和維持部隊に参加せずとも、防空や情報、国境監視という形で米国がウクライナの安全保障にコミットするよう説得したい考えだと、当局者は述べた。
European and Commonwealth forces plan to protect a peaceful Ukraine
Source: Institute for the Study of War and AEI’s Critical Threats Project
原題:UK and France Race to Draft Ukraine Troops Plan Trump Will Buy(抜粋)