新米打撃 稲食い荒らす外来生物“地球上最悪の侵略的植物”にコメ農家悲鳴

　新米の収穫を迎える茨城県の水田。大量の水草が生えています。この水草が地球上最悪の侵略的植物と呼ばれている特定外来植物です。新米の収穫量に影響が出ると心配されています。

新米を襲う　厄介な“侵略者”

　関東一のコメ生産量を誇る茨城県の中でも、屈指のコメどころとして知られる河内町。新米の季節を迎え、早くも稲刈り作業が始まるなか…。

新米に忍び寄る厄介な侵入者、その正体は…。

　“地球上最悪の侵略的植物”ともいわれる水草「ナガエツルノゲイトウ」。

　来月初旬に収穫を控えた新米にも。

　さらに人目を避けるように…。

　稲と稲の隙間に忍び込み、ひっそりと成長。

　新米への影響が懸念される“地球上最悪の侵略的植物”がこの夏、急速に繁殖しています。

　河内町を流れる一級河川、新利根川では、至る所でナガエツルノゲイトウが大繁殖。南米原産で、もともとは観賞用として日本に持ち込まれたナガエツルノゲイトウ。

　1989年、兵庫県で野外での定着が確認されると年々、生息範囲を拡大。生態系に悪影響を及ぼすことから「特定外来生物」に指定されています。

　これは10年ほど前の新利根川。水面には障害物もなく、穏やかに水が流れています。

　今月、同じ場所で撮影した川には、全体にナガエツルノゲイトウが生い茂り、水面は一切見えません。

　別の場所でも10年ほど前にはこの通り。それが2年前には、橋脚の下で繁殖が始まり今月には川面を覆いつくすほどに。停泊していた船も飲み込まれてしまっています。

　新利根川では至る所で“地球上最悪の侵略的植物”の猛威が確認でき、航空写真でも新利根川を侵略している様子が分かります。

　多くの水田は、ナガエツルノゲイトウが大繁殖する新利根川から水を引いており、パイプを伝って新米の育つ田んぼに侵入。

驚異の繁殖力…刈っても刈っても増える

　網をかいくぐり、田んぼで繁殖してしまう原因がちぎれた茎や根の切れ端から再生する驚異的な繁殖力の強さです。

　刈り取ることでさらに増えてしまうため田んぼでは…。

　草刈りをすると、逆に繁殖を手助けしているような状況に…。

　しかし、その除草剤も…。

　除草剤は効果が限られ、草を刈るとさらに増えてしまうため、コメ農家は一つ一つ手作業で抜いていく駆除を余儀なくされています。

　猛暑での手作業はコメ農家の負担になっているといいます。それでも…。

　新米の季節を迎えコメ農家からは、他にも不安の声が。

　ナガエツルノゲイトウがコンバインに絡まると、新米の収穫にも影響があるといいます。

　新米の収穫シーズンに突入するなか、農家を悩ませている、もう一つの存在がいます。

　これは今年6月、愛知県江南市で撮影された映像。まだ生育途上の青々とした稲を次から次へと食べていく生物の姿が映っています。

　この生物の正体は特定外来生物「ヌートリア」。

　南米原産の大型ねずみの仲間で体長は50センチほど。水陸両生で水辺の農作物を好んで食べるといいます。

　戦前に軍服の毛皮用として持ち込まれ、その後野生化。年2、3回出産し一度に5頭の子どもを産むこともあり、西日本を中心に増殖していきました。

　この映像にも、稲や水辺の雑草を食べるヌートリアの姿が映っています。

　田んぼに入り、稲を食い荒らす迷惑生物の存在はコメ農家にとって死活問題。ヌートリアによるコメ被害は、年間で約2500万円にも上ります。

　静岡県内有数のコメどころ、浜松市ではヌートリアの目撃情報が年々増加。コメへの被害も広がっているといいます。

　稲穂が黄金色に輝くこの田んぼ。来週、新米を収穫する予定です。

　黄金色に育った稲穂がある一方で、ヌートリアにかじられた部分は、生育が遅れて、まだ緑色のまま。さらに。

　正常な稲穂と比べると一目瞭然、かじられた部分は稲穂の数が少ないのが分かります。

　浜松市内の別の田んぼでは。

　田んぼの一部が、ぽっかりと穴が開いたようになっていて稲が生えていません。

　浜松市内に21ヘクタールの水田を持つ加茂さん。5年ほど前から、ヌートリアの被害に頭を悩ませているといいます。

　稲が根元から食いちぎられ、周りには枯れた稲が散らばっています。

　ヌートリアによる被害が増えるなか、加茂さんはある対策に動きました。

　4年前に鳥獣保護管理法に基づく、わな猟の免許を取得。市の許可を得て、ヌートリアの足跡や痕跡があった場所に自ら箱わなを設置しています。

　浜松市も事態を重く見て、ヌートリアの捕獲を業者に依頼するなど、予算を投じ対策を行っているといいます。

　新米に深刻な打撃を与えるヌートリア。専門家によると、今後温暖化により、さらに生息域が広がる可能性があるといいます。

（「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年8月20日放送分より）