大きなオスから釣られる魚、残されたメスに早すぎる性転換

スペイン領カナリア諸島沖の海草の中で獲物を探すパーリー・レイザーフィッシュ。(SERGIO HANQUET, NATURE PICTURE LIBRARY)

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 大西洋や地中海に生息するパーリー・レイザーフィッシュ(Xyrichtys novacula)というベラ科の魚は、すべての個体がメスとして生まれ、十分長く生き延びるとオスへ性転換し、複数のメスを繁殖相手として縄張りを守るようになる。この仕組みは、メスたちに保護と秩序と安定をもたらし、群れの内紛を減らす。オスが定期的に「誰が優位にあるか」をメスたちに意識させ、早すぎる性転換を防げるからだ。

 そんなパーリー・レイザーフィッシュは大きな問題に直面している。「漁期が始まると、漁師や釣り人たちが押し寄せます」と、スペイン、マヨルカ島にある地中海高等研究所のマルガリーダ・バルセロ・セラ氏は言う。「家族連れも釣りに来て、誰もがこの魚を食べたがるのです」

 例えば、地中海西部のスペイン東岸沖のバレアレス諸島周辺では、この魚は漁獲の対象として非常に人気があり、夏の繁殖期の漁は禁止されている。

 しかし、9月1日以降は漁獲が許される。ロブスター並みの高価格になることもあり、海域によっては、わずか数日でパーリー・レイザーフィッシュの最大60%が漁獲されてしまうこともある。

 この魚には、たいていの動くものに近寄る習性がある。餌のついた釣り針が現れるや、しばしば優位オス(その周辺で最大の個体)が真っ先に食いつき、メスたちの群れを守るどころか甲板のバケツに収まってしまう。すると残されたメスは、まだ若く比較的小さいうちにオスへと性転換せざるをえなくなることが多い。(参考記事:「オスがメスに、メスがオスに1日20回も変わる魚」)

「早く性転換してオスになることは好ましくありません」

 バルセロ・セラ氏が主導し、2026年7月23日付けで学術誌「Philosophical Transactions of the Royal Society B」に掲載された研究により、漁獲が一切行われていない海洋保護区のパーリー・レイザーフィッシュの全長は平均17.4cm、年齢は平均約4歳だが、漁獲が激しい海域では平均約14.9cm、平均約2歳であることが明らかになった。

 バルセロ・セラ氏によれば、これはパーリー・レイザーフィッシュにとって悪い知らせだという。なぜなら、小さなメスが産む卵の数は、大きなメスよりもはるかに少ないからだ。

「1匹のメスが十分に大きく成長して、あと1年メスとして長く生きることは、自分の子孫を大幅に増やすことにつながります。早く性転換してオスになることは好ましくありません」

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