邦船VLCC、米ガルフ配船増加。ホルムズ封鎖、代替原油確保へ。6隻回航中、1隻荷役完了
イランによるホルムズ海峡の事実上封鎖が続く中、日本向け原油の代替ソースとして米ガルフ(メキシコ湾岸)積みの調達が拡大しようとしている。邦船社もVLCC(大型原油タンカー)の米国配船に向け、米連邦法に基づく「COFR」(賠償責任証明書)取得などの準備を進めている模様。船舶トラッキング情報大手マリントラフィックによると、30日現在、邦船社が運航するVLCC6隻が米ガルフに向かっており、既に1隻が同地での荷役を終えて日本に向かっている。
「中東の原油供給がほぼ止まっている今、米国からの供給が重要になる。COFRの取得には1カ月程度掛かると聞いており、取得のめどが付いたVLCCが順次、米ガルフに向かっていくのではないか」
タンカー市場関係者はそう話す。
米国水域に入港・航行する際は、油濁事故発生時の損害賠償能力を証明するため、連邦法に基づくCOFRを保持する必要がある。さらに主要な石油輸出港のあるテキサス州などでは、連邦法とは別に州独自のCOFR保持も課しており、船主には船舶ごとの登録が求められる。
マリントラフィックによると、現在、米ガルフに向かっている邦船運航VLCC6隻はインド洋やマダガスカル沖、喜望峰沖などを航行中。このうち5隻はこれまで中東―日本航路に従事し、残り1隻は中東―インド航路で運航されていた。
既に米ガルフで3月中旬に積み荷役を終えた1隻は5月上旬をめどに日本到着を予定している。
米ガルフ積み原油は従来、日本までの航海距離が長いことや中東産とのスペックの違いがネックとなり、輸入量は限定的にとどまっていた。米ガルフ―日本の航海日数は片道45日前後と、中東積みの約20日の2倍以上かかる。
日本の2025年原油輸入量約1億1660万トンのうち、米国産は3・8%相当の約440万トン。日本の石油会社は支配船腹の運航効率の観点から、これまで邦船社からの中長期用船フリートは基本的に中東―日本航路に投入し、米ガルフ積みにはスポット用船を活用してきた。
マリントラフィックによると、米ガルフに配船された邦船運航VLCCは、23年1隻、24年はゼロだった。ただ、昨年4月以降の米国、イスラエルとイランの軍事的緊張を背景に25年は4隻に増加している。
昨年7月には石油連盟の木藤俊一会長(出光興産会長)が会見で、同年5、6月に日本の石油会社が米国産原油の輸入を試みたと発言。中東原油に最適設計された日本の製油所で米国原油を精製する上での課題にも言及していた。
さらに今月初め以降のイランによるホルムズ海峡の事実上封鎖により、中東原油の調達が困難となっていることで、エネルギー供給確保に向け、邦船運航VLCCの米ガルフ配船が増加していく見通しだ。
米国は1989年のエクソンバルディーズ号油濁事故を契機に、厳しい米国油濁法(OPA90)を施行している。ただ、米ガルフのVLCCの積み地はLOOP(ルイジアナ沖合石油港)をはじめ、沖合に荷役ポイントが設置されているため、座礁の危険性がほぼなく、タンカー市場関係者は「従来の保険でも米国配船には問題はないはずだ」との見方を示す。
【激震 イラン軍事衝突】