「オレはどうすればいいんだ?」予想外のブーイングにイーロン・マスクは呆然…悲惨なイベントの後にした“ぎこちないツイート”の内容は(文春オンライン)

〈「暴力をふるうぞと脅され、家を離れるハメに…」新CEO・マスクがツイッター社を辞職した“裏切り者”に与えた、行き過ぎた制裁〉 から続く 【写真】この記事の写真を見る(2枚)  2022年10月、イーロン・マスクがツイッター社を買収。その後、わずか1カ月半で社員数を4分の1に減らすなど、マスクが行った改革は大胆なものばかりだった。彼はなぜ、どうしてツイッターを手に入れたかったのか?  ここでは、ノンフィクション作家のベン・メズリックによる『 Breaking Twitter イーロン・マスク 史上最悪の企業買収 』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋。  ツイッターの安全性管理の要だったヨエル・ロスの辞任を受け、“裏切り者”の彼をツイートで“攻撃”したマスク。騒動が大きくなって身の危険を感じるヨエルだったが、一方で新しいツイッター社のトップに向けられる世間の目も大きく変化していることに、マスクはまだ気づいていなかった――。(全4回の4回目/ 最初から読む ) ◆◆◆

 ヨエル・ロスはパートナーとふたり、まだ、スーツケースを引いて家から逃げだす算段の最中だった。同性愛を嫌う刺すようなメールが引きもきらずに届くし、携帯には、誰だかわからない人々から電話がひっきりなしにかかってくるし、悪意のしたたる匿名のテキストが次々に送られてくる。ふたりの人生はヘイトに染まってしまった。ヘイトスピーチ、ヘイトツイート、ヘイトメッセージ、ヘイト電話、ヘイト、ヘイト、ヘイト、ヘイト……。  そのころ、イーロン・マスクは、巨大なアリーナにしつらえられた巨大なステージの袖に立ち、会場からくりかえし押し寄せてくる笑いの渦に包まれつつ、体を左右にゆらして出番を待っていた。最高にホットなイベントである。なにせ、サンフランシスコのミッションベイ地区、3番通りと16番通りが交わるところにあるチェイスセンターで、クリス・ロックと最近話題のデイヴ・シャペル、米国でも屈指のコメディアンふたりが共演するショーなのだ。当然に満員御礼である。  最初に登場したロックは、このあいだウィル・スミスに平手打ちをくらい、その音は世界に響いたなどと、物議を醸しそうな攻めのコメディを披露。いまは、シャペルが片手にマイク、片手に飲み物を持ってステージを歩き回り、締めにかかろうとしている。  こういう気晴らしが欲しかったんだ――マスクはそう思っていただろう。なにせ大変な週末だったのだ。ツイッターブルーのローンチでいろいろとごたごたしたし、ヨエル・ロスやロビン・ウィーラーなど、広告主に気に入られているシニアマネージャーが何人も辞めたしで時間をすごく使ってしまった(その間も、テスラとスペースX、その他関連会社の経営もしているわけで)。  加えて、この48時間はメディアの猛攻撃に飲み込まれた。ただまあ、いつもどおりと言えばいつもどおりで、火元は自分だし、自分らしくないことを言ったわけでもないしで、自業自得ではある。もともと、ツイッター有数のトロールなのだ。それがひょんなことからツイッターのCEOにもなってしまったから、いままで以上に火がつきやすくなっただけのことだ。  土曜日、ヨエル・ロスが10年も前に書いた論文を攻撃したあと、マスクは、もっときわどいツイートを投下した。

文春オンライン
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