スマホの「ながら運転」をどうやめさせるか カーナビの功罪とメーカーの対策
最近、脇見運転による交通事故が増えている印象がある。見通しの良い直線道路での交通事故や渋滞末尾での追突事故で、第一当事者(事故の責任が重い側)の言い訳は「前をよく見ていなかった」というものが多いからだ。 【画像】無意識にやっているかも? 運転中にちょっとだけスマホをチェック、脇見運転が起きる“ほんの一瞬”の現実 ハッキリと言っていないが、おそらくその大半はスマホを注視していたのではないだろうか。それほどまでに、スマホ依存が社会にまん延している。 高速道路の走行中に他の行為をしているドライバーが多いことは、高速バスの乗客によるSNSの投稿からもうかがえる。 信号が青になっても発進しないドライバーも増えている印象だ。停止中には認められているスマホやカーナビの操作に夢中になり、信号が変わったことに気付かないことが多いようだ。 クルマの運転が手軽になり、車内が快適になって、片手間で運転できている感覚になると、走行中に他の動作をすることへの抵抗が希薄になってしまう。 運転が手軽になること自体はユーザーの満足度を高め、クルマの商品力を向上させる。しかし、走行中に運転以外の行動をしやすくしている可能性も否定できない。 ドライバーは、運転中は自室でくつろいでいるのとは違う環境だということを今一度、思い起こす必要がある。そんなことは当たり前だと思うかもしれないが、実は感覚がまひしているドライバーは多そうだ。 ATやCVTであれば、左手にスマホを持ったまま運転できる。大型トラックもAMTが主流になった。ましてや高速道路では一定速度で巡航し、それが長時間続くのだから、慣れてしまうと緊張感を保つのは難しい。
警察庁の公表によれば、携帯電話などの使用(運転中のスマホ操作や画面注視)に起因する「死亡・重傷事故件数」は、2021年以降増加傾向にあり、2024年は過去最多の136件も報告されている。 しかも携帯電話を使用した場合の事故は、使用なしの場合と比べて死亡事故率が高く、特に20~30代で割合が高いことも示されている。さらに警察庁年次報告でも、近年(2022~23年)交通事故全体の死傷者数が増加に転じた旨が示されている。ここから「ながら運転が事故増の一因」と推測することもできるのだ。 家族や仲間との連絡手段として、また日常的な情報収集や興味、好奇心を満たすために、スマホのアプリやニュース、SNSは欠かせない存在といえる。この記事もスマホで読む人が圧倒的に多いであろう。 それだけに、ほんのわずかな隙間時間にもスマホを見る機会が増える。信号待ちなどであれば問題ないが、やがて常習化すると、渋滞や巡航中にもつい注視したり操作したりしてしまうかもしれない。 筆者も仕事でスマホを活用している。しかし運転中は使用しない。MT車に乗っていることも影響しているが、スマホの通知はほとんどのアプリで許可していない。できるだけ外からの刺激を遮断している。 移動中にもスマホの存在は欠かせないものとなっている。それくらい、誰もがスマホを手放せないのだ。 しかし、運転中にスマホ操作をしてしまうのは、そもそも別の要因がきっかけかもしれない。別の便利な装備がスマホ利用を助長している可能性がある。