挑戦4度目初当選 手書きのタスキ、選挙カーやめた 滋賀・近江八幡

 19日投開票の滋賀県近江八幡市議補選(被選挙数5)で、フリースクール代表で無所属新顔の西村静恵さん(52)が初当選した。2019年に市議選に初挑戦して以来、4回目での当選。選挙のやり方を変えながらも、貫き通したのは「生きづらさを感じる人を減らしたい」という思いだった。

 「あなたの1票を簡単に手放さないで。自分で決めてほしい」

 選挙中の14日、西村さんは近江八幡駅前でマイクを握っていた。肩に掛けたタスキは、白地に黒文字の手書きで「にしむら しずえ」。応援に駆けつけた京都府宇治市議の佐々木真由美さん(68)は「4回目の立候補は執念がないとできません」と支持を呼びかけた。

 市内出身で名古屋芸術大学器楽科卒。長女と長男の就学前にシングルマザーになり、生活が立ち行かなくなった。たどり着いたのは市役所。制度に助けられた。

 政治に関心を持ったのは11年の東日本大震災後だった。福島第一原発事故を受け、千葉県から近江八幡に逃れてきた家族と出会ったのを機に、国策として進む原発について学んだ。「政治が制度を作り、暮らしとつながっている」と感じた。

 それから、政治家や選挙の候補者を招く対話集会を開くようになった。政治家の中には、政党や組織の枠に縛られて自分の意見を表明できない人がいると感じ、「自分ならどんな政治ができるか」と考えるようになった。

 19年、初めて市議選に挑んだ。色を統一したジャンパーや旗を準備し、選挙カーで名前を連呼し、街頭に立ち続けて手を振り、有権者と握手を繰り返す……。選挙に抱いていたイメージをまねて戦った。

 結果は634票で次点。22年の市議補選は6633票を得たが、約3千票差でまた次点。23年市議選は727票で落選した。

 今回、戦い方を改めた。「大きさや強さのためにお金をかけ、体力を使うのは男性的な発想では」と考えたからだ。

 手書きのタスキを掛け、お決まりのジャンパーも選挙カーもなし。選挙ポスターは知人らと手分けして貼った。

 地道に自分の声を届けようと心に決めた。「声にできない声を拾って制度に採り入れる」「だれもが孤立しないまちづくり」「不登校の親子支援」。SNSで動画を配信し、思いを広げようとした。市外からは無所属議員が相次いで応援に駆けつけた。

 4667票を獲得。4位で当選した。

 今回の選挙を経て、市議会(定数22)のうち女性は2人増えて7人になった。同日の市長選や県議補選(近江八幡市竜王町選挙区)の候補者は全員男性だったが、「社会の意識は変わりつつある」と感じる。

 「女性政治家を無理に増やす必要はないと思うけれど、社会を変えたいと思う女性が立候補しやすい社会であってほしい。今度は自分がそんな人を後押しする番だ」

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