角田裕毅、”確かな実感”を以て得意のバクーで逆襲へ…フェルスタッペンは記録更新を視野 / F1アゼルバイジャンGP《preview》2025
レッドブル・レーシングの角田裕毅とマックス・フェルスタッペンが、欧州ラウンド最終戦となる2025年F1第17戦アゼルバイジャンGPに向けて意気込みを語った。フェルスタッペンが記録更新に挑む一方、角田は悔しさを糧に再起を図る。バクーの街並みに響くエンジン音が、彼の逆襲の合図となるか注目される。
モンツァでの悔恨と手応え
角田は2週間前のモンツァで今季3度目のQ3進出を果たし、10番手から決勝に挑んだものの、リアム・ローソン(レーシング・ブルズ)と接触してフロア右側を損傷。以降はペースが急激に落ち、13位に沈んだ。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
モンツァ・サーキットでリアム・ローソンの30号車レーシング・ブルズ VCARB 02 をリードする角田裕毅の22号車レッドブル・レーシングRB21、2025年9月7日(日) F1イタリアGP決勝
チーム一丸となって取り組んできた成果は1ラップペースでは確かに感じられたが、ロングランの内容は首脳陣を納得させるものではなく、来季シート争いにおいてアイザック・ハジャーに対して劣勢との見方が広まっている。
それでも角田は、絶対的な「ベンチマーク」であるフェルスタッペンとの差を縮めつつあるという”実感”を強めており、悔しさの中に確かな自信を見出している。
「モンツァは残念なレースになってしまいましたが、ポジティブな点もありました。予選はかなり良かったですし、もしダメージを受けなければペースはあったと思います」と角田は振り返る。
「マックスは優勝によってベンチマークであることを示しましたが、僕らはレースごとに彼に近づいてきています。だからこそ、僕らの取り組みがある程度報われていると実感できるのは安心材料です」
角田の言葉には、自身の成長に対する自負だけでなく、チームへの信頼もにじむ。ノーポイントという結果に終わりながらも前向きな学びを見出す姿勢は、今季の角田を象徴する印象的な一面といえる。
得意のバクーで再起を狙う
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バクー市街地コースを周回するアルファタウリ・ホンダの角田裕毅、2021年6月5日F1アゼルバイジャンGP予選にて
アゼルバイジャンGPの舞台となるバクー市街地コースは、角田にとって相性の良いサーキットだ。ルーキーイヤーに7位入賞を果たしたほか、過去3回の予選すべてでトップ8入りを記録している。
「モンツァでは、最終的にクルマの本当のポテンシャルを示せなかったのは悔しかったですが、その悔しさが今週末に向けての自信にもつながっています。ロングラン改善のために、クルマを適切なウインドウに入れる作業を重ねてきました」と角田は力強く語った。
「バクーは楽しく、同時にチャレンジングなサーキットです。驚くような展開も多いので、集中して全力を尽くすつもりです」
フェルスタッペン、記録更新への挑戦
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レッドブル・レーシングのファクトリーでスタッフに向けて登壇し、イタリアGPでの優勝を振り返るマックス・フェルスタッペンとチーム代表ローラン・メキーズ、2025年9月11日(木) 英国ミルトンキーンズ
一方、イタリアGPで今季最大となる19.207秒差の圧勝を飾り、平均速度250.706km/hという史上最速レースを制したフェルスタッペンは、勝利後にファクトリーで祝賀を行い、アゼルバイジャンGPに向けたシミュレーター作業に取り組んだ。
「モンツァは信じられないレースだった。クルマのセットアップは僕らが目指す方向に大きく前進できたと思うし、あの勝利はチーム全員にとって大きな後押しになった」と振り返る。
「バクーは低速コーナーとロングストレートが混在するから、リヤウイングを含めたセットアップのバランスが重要だ。今の良い流れを維持して、予選からしっかり結果を出したい」と意気込みを示した。
レッドブルはアゼルバイジャンGPで過去7戦中4勝を挙げており、チームとして最多勝を誇る。だが、これまでポールポジションを獲得したことはない。もしフェルスタッペンが達成すれば、通算23か所目のサーキットでのポールとなり、セバスチャン・ベッテルに並ぶ史上2位タイの記録となる。