米移民裁判所で母親を床に押し倒す、映像公開でICE職員に非難 「現職務から解任」

(CNN) 米移民税関捜査局(ICE)は26日、女性を壁に押し付けたのち、床に押し倒したICEの係官について、「現在の職務から解任される」と明らかにした。

この出来事は25日、ニューヨークの移民裁判所のカメラに捉えられた。米国では各地の移民裁判所で審理に出廷した家族が「罰」を受ける事態となっており、今回の映像に怒りの声が湧き上がった。

国土安全保障省のトリシア・マクラフリン次官補は26日、「動画に映る係官の行為は受け入れ難く、ICEの職員にふさわしくない」とコメント。「ICEの職員には最高水準の職業倫理が求められる。徹底調査を行う間、この係官は現在の職務から解任される」と説明した。

CNNは「現在の職務から解任される」という表現が具体的に何を意味するのか、この係官がICE内の他の部署で引き続き雇われているのかICEに説明を求めている。

当該裁判所を含む選挙区から選出されたダン・ゴールドマン下院議員の事務所によると、女性と家族は亡命申請中で、「合法的に米国に滞在しているにもかかわらず、ICEの標的にされている」という。

SNSで共有された映像の一つには、ロウアーマンハッタンにあるICEの地区事務所「26フェデラルプラザ」の廊下で男性が身柄を拘束され、妻のモニカ・モレタガラルサさんと娘が必死にしがみつく様子が映っている。

覆面をした係官が母親の髪をつかみ、誰かが「彼女を捕まえて引き離せ」と叫ぶ声も聞こえる。

夫から引き離されるモレタガラルサさんは泣き叫んでいる。引き離された直後、モレタガラルサさんは息子と娘に見守られながら、廊下から隣室に連行された。

モレタガラルサさんは子どもたちと共に夫から引き離された後、ICEの係官によって壁に押し付けられ、押し倒された/Stephanie Keith/Getty Images

モレタガラルサさんがこの部屋にどれほど留め置かれたのかは不明。しかし再開した映像には、モレタガラルサさんが廊下で連邦政府の係官にスペイン語で「あなたたちには何一つ思いやりがない」と訴える場面も映る。

モレタガラルサさんが懇願すると、係官は「アディオス、アディオス」と応じている。

その後、この係官はモレタガラルサさんの体をつかみ、廊下を数メートル突き飛ばすと、壁に押し付けた。さらに廊下沿いに突き飛ばしていき、床に押し倒した。

係官はモレタガラルサを見下ろしながらスペイン語で「出て行け!」と叫び、そばにいた職員に建物から連れ出すよう指示した。

ニューヨークのアダムス市長の報道官は今回の出来事を受け、「移民が基本的なサービスを利用したり、裁判所の審理に出席したりすることも恐れるようでは、市の安全は一段と低下する」と述べた。

「多くの人と同様に我々も、ICEに夫を拘束された女性が連邦政府の係官に押し倒されているとみられる衝撃的な映像を目にした。この件が調査対象になっていると知り、歓迎している」(報道官の声明)

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