中田翔に「救われました」…岡大海が泣いた"忘れぬ一戦" 「ずっと言われていた」受け継ぐ姿勢
ともに過ごした日々に、思いを馳せた。「本当にお世話になった、感謝してもしきれない気持ちが一番強いですね」。ロッテの岡大海外野手がそう話したのは、今季限りで引退する中日の中田翔内野手について。19日にバンテリンドームで行われた引退セレモニーの映像を見て、最後の勇姿を目に焼き付けた。
5年間同じユニホームで戦った先輩の引退の一報は、すぐに信じたくなかった。「寂しさといいますか、僕の中ではすごいスーパースターで、いつまでもそういう姿をイメージしていたので、最初は受け入れられないというか……」。感謝の思いを伝えるLINEを送ると、すぐに返信が来たという。
明大から2013年ドラフト3位で日本ハムに入団。高いポテンシャルを持ちながら故障も多く、なかなかレギュラーに定着できないでいた。そんな岡を誰よりも気にかけ、期待していたのが、2学年上の中田だった。岡が2018年途中にトレードとなると、自身のインスタグラムに2ショット写真とともに「寂しいけどロッテに行って必ずレギュラーになるんで!」と投稿したほどだ。
数え切れない思い出の中でも、岡が忘れられないのが2016年7月13日のオリックス戦だ。両軍無得点の6回に、右翼を守っていた岡は右前への打球を捕れず先制点を許した。さらに次の打席で代打を送られ交代。意気消沈していたが、2点を追う8回に中田が逆転の3点適時二塁打を放ち、日本ハムが勝利した。
試合後に涙を流した岡は、「中田さんが逆転タイムリーを打って、僕のミスを帳消しにはならないですけど、そういう試合もあって、試合が終わってからも連絡をいただいて救われました」。9年が経った今も、あの日の“大将”の男気を忘れることはない。
「本当にいろいろなことを教えていただきました。その中でも、プロ野球選手としてプレーさせていただいていて、子どもたちやファンの方に夢を与えないといけないというか、そういう姿を見せていかないといけないというのはずっと言われていたので、そういうのはすごく今でも僕の中ではあります」
プロ12年目を迎え、すっかりベテランとなった岡。受け継いだ意思を後輩たちに伝え、“恩返し”を続けていく。
○著者プロフィール 町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。北海道総局で日本ハム、東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。
(町田利衣 / Rie Machida)