〈目撃〉ペンギンを狩るピューマ、パタゴニアで驚きの変化 再野生化した国立公園で何が?

 南米アルゼンチンの沿岸部に戻ってきたピューマ(Puma concolor)の行動の変化を記載した論文が発表され、科学者の予測を覆した。予想外だったのは、ピューマがペンギンを捕食するようになったことと、ペンギンの季節的な出現が、単独行動で知られるピューマの移動や相互作用、狩猟行動のパターンを変えたことだった。論文は2025年12月17日付けで学術誌「英国王立協会紀要B(Proceedings of the Royal Society B)」に発表された。 【動画】ペンギンを狩る子ピューマ  南米アルゼンチンの沿岸部では、長年、牧場のヒツジを襲うピューマを牧場主たちが激しく狩ってきたため、ピューマは見られなくなっていた。しかし2004年、自然保護活動家たちがこの地域にモンテ・レオン国立公園を設立し、狩りが行われなくなると、予想通りピューマたちが戻ってきた。  数十年ぶりに沿岸部に帰還したピューマは、かつての縄張りに新たな顔ぶれを発見した。マゼランペンギン(Spheniscus magellanicus)だ。 「再野生化によって戻ってきた種は、100年前に生息していた環境とは少し違った生態系に出合い、それに適応するのです」と、アルゼンチン再野生化財団(FRA)の科学ディレクターで、論文の共著者であるエミリアーノ・ドナディオ氏は説明する。

 研究者たちは、最初からピューマとペンギンの関係を研究しようとしていたわけではない。論文の筆頭著者で、当時は米カリフォルニア大学バークレー校に所属していた生態学者のミッチェル・セロータ氏は、アルゼンチン再野生化財団と協力して、かつての牧場から人間による圧力が取り除かれたときに野生生物がどのように反応するかを研究していた。 「私は、自然が回復した結果を広く理解しようとしてパタゴニアに来ていたので、当初はペンギンには全然注目していませんでした」と氏は言う。  2023年、セロータ氏らは、ピューマがペンギンを捕食していたと報告した。「この相互作用については以前から知られていましたが、私たちは、ペンギンを捕食するピューマはごく少数、おそらく数頭だけだろうと考えていました」  研究チームは公園全体に32台のカメラトラップ(自動撮影装置)を設置し、2019年9月から2023年1月にかけて、GPS首輪を装着した14頭のおとなのピューマ(Puma concolor)を追跡した。そのデータと現地での観察とを組み合わせた結果、研究者たちはすぐに、ピューマが予想以上の頻度でペンギンを捕食していることに気づいた。 「ペンギンのコロニーの周辺で、ピューマが繰り返し検知されていました」と、セロータ氏振り返る。「そのとき、これが単なる付随的な現象ではないことが明らかになりました。それは、ピューマの土地の利用の仕方を形作る要素になっていました」

ナショナル ジオグラフィック日本版

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