トランプ政権の経験不足でカトリーナ級災害も、FEMA職員が議会に書簡
[ワシントン 25日 ロイター] - 米国の自然災害対応機関である連邦緊急事態管理局(FEMA)の現・元職員約30人が25日、議会に書簡を送り、トランプ政権の上級任命者の経験不足がハリケーン「カトリーナ」級の大惨事につながる恐れがあると警告した。
ノーム氏が10万ドル以上の全ての契約と助成金を見直すよう要求していることは「FEMAの権限と任務を迅速に遂行する能力を低下させている」と書簡は述べている。
書簡は、FEMAが国土安全保障省の干渉を受けない独立した閣僚級機関となること、また「ハリケーン・カトリーナのような新たな国家的大惨事だけでなく、FEMAそのものの事実上の解体を防ぐため」に政治的動機による解雇からFEMA職員を保護することを議会に求めている。
FEMAの報道官代理は「国民に貢献する体制を維持することにコミットしている」とし、FEMAが官僚主義と非効率性の問題を抱えており、トランプ政権は「説明責任と改革を優先課題としている」と述べた。
FEMAでは今年、全職員の3分の1に相当する約2000人が解雇、退職勧奨、早期退職で離職している。トランプ政権は、助成金10億ドル近くを削減する計画で、緊急管理プログラムが影響を受ける。
米国では2005年8月に上陸したカトリーナがルイジアナ州ニューオーリンズなどに壊滅的な洪水を引き起こし、1800人以上が死亡。市、州、連邦レベルの指揮と対応に不備があったことが一因となり、同国史上最悪の自然災害の1つとなった。
議会は06年、「カトリーナ後緊急事態改革法」を可決し、FEMAの権限を拡大する措置を講じた。
書簡は、トランプ政権が資金削減や災害復旧・訓練プログラムの縮小などを通じて、こうした改革を無効にし、FEMAをカトリーナ以前のレベルに戻そうとしていると警告している。
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