ホンダF1、反撃の第一歩はオランダGP。アップグレード版RA626H投入計画を説明

ホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアは、2026年F1第9戦イギリスGPに先立ち、第12戦オランダGPにアップグレード版パワーユニット(PU)を投入する計画だと明かした。

アストンマーティン・ホンダは今季、開幕8戦で9度のリタイヤを喫する信頼性の問題に加え、予選では一貫してトップから2秒以上離される深刻な競争力不足に苦しんできた。

出力向上を狙う燃焼室の刷新と信頼性改善

Courtesy Of Honda Motor Co., Ltd

取材に応じる折原慎太郎(ホンダ・レーシング トラックサイドゼネラルマネージャー兼チーフエンジニア)、2026年7月2日(木) F1イギリスGPメディアデー(シルバーストン・サーキット)

ホンダは、「RA626H」の内燃エンジン(ICE)を改良し、パフォーマンス向上を狙う計画だ。モータースポーツ専門メディア『Crash』によると、折原TGMは「新たなPUをオランダに持ち込むという目標を達成するため、懸命に取り組んでいます」と説明した。

「我々の焦点はエンジン性能の改善に置かれています。燃焼効率を高めるために燃焼室の形状に取り組んでおり、プレチャンバー[副室]も変更します。さらに、潤滑システムを変更することでフリクションを低減する作業も進めています」

性能を引き上げる以上、それを支える信頼性の確保とドライバビリティの改善も必要だ。折原TGMは、これらを両立させることこそがオランダGPまでに達成すべき課題だと語った。

「新しいPUは、純粋にパフォーマンスの向上に焦点を合わせたものですが、燃焼特性を変更したため、ドライバビリティを最適化するためにセッティングを再度、最適化する必要があります」

「ですので、現行PU上でドライバビリティを改善する作業を進めています。そしてその手法は、新しいPUにも引き継がれ、セッティングの最適化に活用されます」

「信頼性の改善にも取り組んでいます。性能を上げるなら、信頼性も向上させる必要があるからです。完了させるべき項目はまだかなり多くありますが、オランダに間に合わせるべく懸命に取り組んでいます」

耐久性の確認を含む一連の作業は、栃木県さくら市にあるHRC-Sakuraのダイノ(実機試験設備)で進められている。

今回の大型改良が可能になった背景には、2026年から導入された追加開発・アップグレード機会制度(ADUO)がある。ADUOは、ICE性能を対象とするFIAの査定に基づき、基準となるエンジンから一定以上離されていると判定されたPUメーカーに対し、PUのアップグレードなどを認める制度だ。

今季1回目の査定では、レッドブル・フォードが指標エンジンと判定された。ホンダはその基準から少なくとも4%以上遅れているとして、今季と来季にそれぞれ2回のアップグレードの権利が認められた。ただし、ホンダは今季のアップグレードを1回に絞る方針を示している。

ICEの性能はラップタイムを構成する数多くの要素の一つに過ぎず、今回の改良によって即座に劇的な競争力の改善を期待することは難しい。折原TGMは、あくまで段階的な前進の第一歩だと位置づける。

「ダイノでの数値は把握していますが、それを明かすことはできません。ただ、小さなステップではなく、ある程度大きな前進を目指しています。とはいえ、F1に魔法は存在しません。ですので、たとえばメルセデスやRBPTに一歩で追いつくとは思っていませんが、それなりに大きな進歩をもたらすつもりです」

「パフォーマンスの改善は一歩ずつ進むものです。ですので、オランダGPはそれなりの一歩を持ち込む最初のステップであって、トップを争うライバルに追いつくためには、将来的にさらなる一歩が必要です」

ホンダがPU改良に向けた準備を進めるのと並行して、アストン側でも車体の大規模アップデートに向けた取り組みが続けられており、こちらは第11戦ハンガリーGPで投入される予定だ。

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