恋愛的なアプローチをかける時は「場所」を見極めることが重要だという研究結果

サイエンス

誰か気になっている人にアプローチをかける際、「おしゃれなバー」や「夜景のきれいなレストラン」など、話を切り出す場所にもこだわるという人がいます。実際に、アメリカ・カンザス大学の研究チームが行った研究では、恋愛的なアプローチが成功するかどうかは「アプローチをかける場所」に大きく左右されることがわかっています。

Setting Appropriateness and Romantic Relationship Initiation Success - Katie N. Adams, Omri Gillath, 2024

https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/01461672241235739

Where you flirt matters: New research shows setting shapes romantic success https://www.psypost.org/where-you-flirt-matters-new-research-shows-setting-shapes-romantic-success/ これまでの研究では、誰かの行動を判断する際に「場所」の影響を受けることがわかっていますが、恋愛的なアプローチにおける場所の重要性について、体系的な研究はあまり行われていないとのこと。そこで研究チームは、人々が「恋愛的なアプローチに適している」と考えている場所を調べ、それらが相手の魅力や親密度、アプローチの内容といった他の要因とどのように相互作用するのかを分析しました。

研究チームは最初の探索的調査(研究1a)として、「恋愛的なアプローチに適切または不適切だと思う場所」をリストアップするように35人の被験者に求めました。その結果、「出会い系アプリ」「バー」といった予想通りの場所から、「食料品店」「公共交通機関」など意外な場所まで、さまざまな場所がリストアップされました。研究チームはこれらのリストを元に、48個の異なる場所の場所を絞り込みました。 次の追跡調査(研究1b)では、研究1aでリストアップした48個の場所を162人の被験者に見せて、恋愛的なアプローチに適切かどうかを5段階で評価してもらいました。この結果に基づいて、研究チームは各場所を「適切性が高い」「適切性が中程度」「適切性が低い」という3つのカテゴリーに分類しました。適切性が高い場所には「出会い系アプリ」「バー」「個人宅」などがあり、中程度の場所には「ジム」「オンラインゲーム空間」「歩道」など、適切性の低い場所には「職場」「診療所」「葬儀会場」などが含まれていました。

主な実験は3つのパート(研究2a・研究2b・研究2c)に分けられており、各実験では場所の適切性が恋愛的なアプローチの成功確率にどのような影響を及ぼすのかが調査されました。いずれの実験でも、被験者は「選択されたある場所で、誰かが恋愛的な興味を持ってアプローチしてきた」という架空のシナリオを想像するよう求められ、次にそのアプローチを受け入れる可能性がどの程度あるのかを評価しました。

研究2aでは、アプローチをかける人物の魅力が及ぼす影響を調べました。被験者はさまざまな場所のいずれかで、魅力的な人または魅力的でない人がアプローチをかけてきたというシナリオを読みました。その結果、確かに相手の魅力はアプローチを受け入れる可能性を高めましたが、その影響は場所によって左右されたと報告されています。たとえば、「バー」のように適切性の高い場所でアプローチをかけられた場合、被験者は魅力的な相手に肯定的な反応をすると答える可能性が高かったものの、アプローチしてきたのが「診療所」「葬儀会場」など適切性が低い場所だった場合、魅力による利点は消えたとのことです。 研究2bでは、アプローチをかける人物との親密度がどのような役割を果たしているのかを調べました。被験者はさまざまな場所で、異性の親しい友人または見知らぬ人物からアプローチをかけられたシナリオを読み、どう反応するのかを回答しました。一般的に、親密度はアプローチの成功率にささやかなプラスの影響を与えましたが、アプローチの場所が不適切だと、異性の親しい友人はあまり好ましい評価を受けませんでした。この結果については、被験者が「親しい友人ならもっといい場所を選べたはず」と信じていたためだとみられています。また、興味深いことに女性は男性と比較して、異性の親しい友人からのアプローチに肯定的に反応する傾向が少なかったとのこと。これはおそらく、友人関係の境界を越えることに対する認識の性差が影響していると考えられます。 研究2cでは、アプローチの内容自体が成功率に及ぼす影響が調査されました。被験者はさまざまな場所で、「夕食に招待する(あまり性的に露骨ではないアプローチ)」または「自分の家に来るように誘う(性的に露骨なアプローチ)」を受けたシナリオを読みました。このシナリオでもやはり場所は一貫して重要であり、どちらのタイプのアプローチも、適切性の高い場所で行われると成功率が高まりました。 一連の研究では、場所・アプローチの種類・被験者の性別の間に、有意な相互作用が浮かび上がりました。女性はすべての場所においてあまり性的でないアプローチを好む傾向があり、適切性が低い場所ではさらに性的なアプローチを断る可能性が高まりました。また、男性も不適切な場所において性的なアプローチをされた場合、受け入れる可能性が減少したとのことです。

3つの実験すべてにおいて、場所の適切性がアプローチの成功を予測する一貫した要因として浮かび上がり、多くの場合で他の変数よりも強力でした。もちろん、魅力・親密度・アプローチの内容といったものも成功率に影響を及ぼしましたが、これらのいずれも、社会的に不適切な場所にいることの影響を克服できませんでした。 なお、今回の研究における制限としては、あくまで架空のシナリオに依存しているため、実世界の行動を完全に反映したわけではないという点が挙げられます。また、被験者は主にアメリカの大学やクラウドソーシングプラットフォームのAmazon Mechanical Turkで募集されたため、他の集団や文化では同じ結果にならない可能性もあるとのこと。 心理学系メディアのPsyPostは、「今後の研究では、より現実的な社会環境をシミュレートするためにVRを利用したり、実世界の環境で観察研究を実施したりすることで、これらの限界に対処できるでしょう。また、周囲の騒音や群衆の密度、傍観者の存在など、交際開始に影響を及ぼす可能性がある環境の他の側面を探ることもできるでしょう」と述べました。

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