辺野古沖事故「家族想いの子、どうして」 ネットに投稿「遺族メモ」
沖縄県名護市辺野古沖で同志社国際高校(京都府)の生徒らが乗った船が転覆し、同校2年の武石知華(ともか)さん(17)と船長が亡くなった事故で、インターネットの投稿サイト「note(ノート)」に「辺野古ボート転覆事故遺族メモ」の名前で心境をつづった文章が発信されている。悲しみとともに、学校や報道などへの不信感が記されている。
投稿によると、発信を始めたのは事故から12日経った3月28日。「誤情報を訂正する機会」や「事実解明につながる情報収集」のために発信を決めたという。
今月3日までに4件の投稿があり、知華さんの生い立ちも記されている。
知華さんは2008年に生まれ、3歳から11歳になるまで父親の仕事の都合でインドネシアのインターナショナルスクールに通った。「人種、母国語、文化、宗教が豊かに入り混じる環境の中、慣れない英語で、姉と一緒に一生懸命頑張っていました」
姉は先に帰国し、同志社国際高校に入学した。海外生活の長い生徒を積極的に受け入れている同校は「自由な校風、英語力が伸ばせる環境と、これ以上ないほど魅力的」だったという。知華さんもその背中を追って同校の中等部に入った。
そのまま高校に進学し、友人とアイドルのライブに行ったりアメリカに留学したりと、活発な生活を送っていた。帰国後はアメリカの大学に進路を定め、弁論大会に友人と申し込むなど「今まで以上に未来に向かって頑張っているのが感じ取れていた」と記されている。
そんなさなか、研修旅行の先で今回の事故が起きた。
海上保安庁によると3月16日午前、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設が計画されている辺野古沖で、同志社国際高校2年の生徒18人を含む計21人が乗った小型船の「平和丸」と「不屈」が転覆。不屈の船長と平和丸に乗っていた知華さんが亡くなり、14人が重軽傷を負った。2隻が所属していたのは市民団体「ヘリ基地反対協議会」。同庁が業務上過失致死傷などの疑いで調べている。
投稿では「普段の学校生活を聞く限り、安全管理に不安を感じたり、偏った思想教育がなされていると感じたりしたことは一度もありません」と前置きした上で、今回の旅程については「異質すぎて啞然(あぜん)とするばかり」と記された。
学校が、事前に安全などを確認していなかったとして、「その感覚には言葉を失います」と批判。また、辺野古基地の移設に反対する運動に使われる船に乗せたことについても「特定の政治的立場に偏った、あるいはそう誤解されかねない活動」だとした。
「愛娘・知華について2」と題する3月30日付の投稿は、こう結ばれている。
「明るく、優しく、聡明(そうめい)な子でした。家族想(おも)いで、家族で出かけるのをいつも楽しみにしてる子でした。家族4人で過ごせる幸せな時間はずっと続くものと思っていました。本当に、どうしてこうなってしまったのか。言葉が続けられません」
noteの投稿は、「今までに拡散された誤情報のうち、代表的なもの」の一つとして、朝日新聞デジタル版の記事についても取り上げた。
記事は事故が起きた3月16日正午すぎに配信したもので、「米軍普天間飛行場の移設工事に対する抗議活動のために乗船していたという」と書いた。その後、乗船していたのは同志社国際高校の生徒たちで、平和学習の一環で辺野古を見学していたことが分かった。抗議活動に参加した事実はなく、朝日新聞はまもなく記事を修正し、16日夜に記事中におわびを掲載した。
noteの投稿は「記事は訂正されましたが、誤った認識が第一報で広まりました」と指摘した。
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朝日新聞社は今回のnoteへの投稿を受けて、投稿した方とメールでやりとりをしてきました。高校での会見でご遺族の意向が伝えられた3月17日以降、亡くなった武石知華さんを匿名としてきましたが、投稿内容とやりとりをふまえ、実名で報じます。
また、朝日新聞デジタル版は当初、転覆した2隻の船に乗っていた21人が「米軍普天間飛行場の移設工事に対する抗議活動のため」乗船していたと報じました。記事はまもなく修正しましたが、事故発生当初の記事とSNSでの投稿により、事故に遭われた方やご家族、関係する方々に大変ご迷惑をおかけしました。おわびいたします。誤った内容が含まれたSNS投稿は削除しました。