新しいNFC規格「NFC 15」。通信距離が1.5センチのびた...って何の意味がある?

Image: NFC forum

ちょっとした変化が大きな体験の違いに。

毎日何気なく使っている電子マネー。電車やバス、決済を支えているのはNFC規格です。そんな日常で毎日のように利用するNFC規格の最新版「NFC 15」が発表されました。

最新版が普及するとどんないいことがあるの?

通信距離が+1.5cm。地味だけど大きな変化

NFC 15におけるもっとも大きい変化ポイントは、通信距離の拡張です。

NFC 15の最大通信距離は2センチで、これまでの0.5センチから大きく拡大しています。これまでと比較すると4倍に伸びています。…が、2センチはやはりかなり短い…そう思うかもしれません。ですがこの伸びた1.5センチは大きな違いを生み出します。

通信距離が2センチあれば、デバイスをぴったり同じ位置に合わせる必要がなくなります。これから発売されるNFC 15対応デバイスが搭載された決済端末の場合、たとえばこれまでよりクイックに位置を合わせられて、スピーディーに決済が完了できるでしょう。もちろん失敗も少なくなります。

スマートフォンでマイナンバーカードを認証させたことのある人なら、このありがたさがわかるのでは。マイナカード、めちゃくちゃ位置合わせがシビアなので...

通信距離が広がったNFC 15対応端末が増えることで、日常利用への影響も見込めそうです。具体的にはNFCで決済するバス、電車、地下鉄の乗車がよりスムーズかつスピーディーになります。

NFCを利用して車の鍵を開ける場合もこれまでより簡単に。NFCを使ったワイヤレス充電も、デバイスの位置をピッタリ合わせる必要性が減ることで、より楽ちんになります。

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セキュリティは大丈夫?

遠くから通信できるってことはセキュリティ的に問題はないの? そんな意見もあるかもしれません。ですが通信距離が拡大しても、セキュリティは損なわれてません。

NFCフォーラムは、NFC 15が近接型の短距離通信技術であることを保証していて、非接触決済のような機密性の高い用途や、データ転送に対する不正アクセスからも保護されています。

デジタル製品パスポート(DPP)で製品の透明性をチェック

NFC 15におけるもう1つの新機能は、DPP(デジタル製品パスポート)のサポートです。

DPPは、ブランドがNFCデータ交換フォーマット(NDEF)で製品ライフに関する詳細なデータを記録することを可能にしてくれます。DPPにより、消費者は製品の履歴、メンテナンス、リサイクルデータなどをより多く確認できるようになります。これは、製品の持続可能性と製造過程の透明性を高めようとする取り組みの一環です。

NFC 15の技術仕様はすでに開発者および製造業者向けに公開されています。しかし、この新標準に対する公式な一般公開と認証は、今年の秋以降に開始される予定です。

超絶地味だけど、ガジェットの使用感にはけっこう影響しそうですね。これから発売されるガジェットがNFC 15対応デバイスであればあるほど、生活の中で大きなインパクトを感じられそう。

Source: Gizchina, NFC forum

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