「冷蔵庫の中が荒れてるわね」料理も掃除も完璧な"尊敬する義母"にモヤる43歳女性が毎日こっそりやったこと 相手の言動を変えず、「受け止め方」を変える
記録と言っても、特別な道具を買う必要はありません。実際、記録を続けた方々の多くは、身近にあるものを活用していました。
たとえば、システムエンジニアの田中さんは「手帳」を使いました。
「仕事で使っている手帳のスケジュール欄の隅に小さな印をつけるだけ。会議の最中でも、さりげなくチェックできるんです。誰にも気づかれませんでした。それに、毎日必ず開く手帳だから、つい記入するのを忘れても、あとから『あの日どうだったかな』と振り返って書き込めました」
写真=iStock.com/Pikusisi-Studio
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一方、専業主婦の佐藤さんは、キッチンの「壁掛けカレンダー」を活用しました。
「最初は家族に見られるのが気になって。でも、日付の隅に『○』『△』『×』を小さく書くだけにしたんです。子どもたちには『ママの元気マーク』って説明して。むしろ、小学生の子どもたちが『今日のママは○だね!』って言ってくれたり。それが、逆に自分の調子を客観的に見るきっかけになりました」
日記をつけたら「あの人」のパターンが見えてきた
また、以前から「日記」をつける習慣のある鈴木さん(28歳・女性)は、こう語ります。
「私の日記は、特に形式もなく、その日に感じたことを自由に書き留めるタイプ。でも、不思議なことに、ある特定の人の名前が頻繁に登場することに気づいたんです。しかも、その人の話題のあとは、決まって『眠れなかった』『胃が痛くなった』というマイナスな記述が……。自分でもびっくりしました」
このように、記録をつけ始めると思わぬ発見があるものです。
特に以下のようなパターンに気づいたら、要注意かもしれません。
・ある特定の曜日、または月の特定の時期に体調が悪化する ・特定の相手との予定の前後で気分が落ち込む ・誰かと会う前日から、なんとなく落ち着かない ・特定の場所に行く日は、必ず調子が悪い
・夜、特定の人のことばかり考えている
こういった反応には、私たちの脳の特殊な部分が関係しています。それが「扁桃体」と呼ばれる部分です。
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「先日も、私の作った味噌汁を飲んで、『もう少し出汁をしっかりとったほうがいいわね』って。そのあと、わざわざ出汁のとり方を教えてくれて……。きっと、良かれと思って言ってくれているんですよね。でも、気がつくと私、お義母さんが来る数日前から、家の中を片付けたり、献立を考えたり。前日の夜は『明日は何を指摘されるかな』『冷蔵庫、もう一度チェックしなきゃ』と考えて、眠れなくなっていたんです」
実は、佐藤さんは義母のことが嫌いなわけではありません。むしろ、その完璧な家事ぶりを心から尊敬していたほどです。
子どもたちも「おばあちゃんのごはんが大好き!」と、毎月の訪問を楽しみにしています。
「でも、記録をつけ始めてからわかったんです。知らず知らずのうちに、お義母さんの影が私の頭の中にずっといたんだって。家事をしているときも、『これ、お義母さんだったらどうするかな』って考えてしまう。そうやって、毎日の生活の中にお義母さんが住みついていたんです」
システムエンジニアの田中さんと同じように、佐藤さんも記録をつけ始めてから少しずつ変化が現れ始めました。
「頭の中の義母」と距離感をとるには?
まず、義母の訪問の前日には、意識的にリラックスする時間を作るようにしました。好きな音楽を聴いたり、子どもたちと公園に行ったり。完璧を目指すのではなく、自分のペースを保つことを心がけたのです。
「不思議なんです。お義母さんの存在を意識しすぎていた自分に気づいてからは、少しずつですが、頭の中からお義母さんの姿が薄れていくような感覚があって。『これはこれで良いのよね』って、自分に言い聞かせられるようになりました」
実際、義母の言動は以前と変わっていません。変わったのは、佐藤さんの受け止め方でした。
「今では、お義母さんの意見は意見として聞き、取り入れられるものは取り入れる。でも、それ以外のことで悩まなくなりました。何より、夜眠れないほど考え込まなくなった。お義母さんの存在が、私の頭の中から『ちょうどいい距離』に移動したような感じです」
このように、私たちの頭の中に住みついている「あの人」の存在に気づくためには、何らかの「記録」が役立つことがあります。そこで次は、そのための具体的な方法についてお話ししていきましょう。
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扁桃体は感情や記憶を処理する場所で、特に「この人は要注意」という情報を記録するのを得意としています。私たちが誰かのことを「気にしすぎる」のも、この扁桃体が活発に働きすぎているからなのです。
この扁桃体が、あなたの脳の中で「過剰反応」をしていないか、チェックリストで確認することができます。
次に「扁桃体の過剰反応チェックリスト」を掲載しましたので、チェックしてみてください。
扁桃体の過剰反応チェックリスト
以下の10項目について、当てはまるものにチェック()をつけてください。
□ その人の声が聞こえると、無意識に話し方や態度が変わってしまう □ 顔を見かけただけで、なんとなく疲れたような気持ちになる □ 夜、布団に入ってからその人との会話を思い出して考え込んでしまう □ 会う予定がある日は、予定と関係ない時間までなんとなく落ち着かない □ その人からのメールや電話を後回しにしてしまう □ 偶然その人を見かけると、できれば別の道を通りたくなる □ 家族や友人との会話で、その人の話題が出ると、つい愚痴っぽくなってしまう □ 休日なのに、ふとその人のことを考えて気分が沈んだり、イライラしたりする □ その人がいる場所に行くと、普段より疲れやすい
□ 周囲の人がその人の名前を出すと、話題を変えたくなる
5つ当てはまったら「脳から消す」を試してみよう
【診断基準】
菅原道仁『あの人を、脳から消す技術』(サンマーク出版)
3つ以上当てはまる場合 あなたの脳に、誰かが「住み始めている」可能性があります。早めに気づくことで、十分に対処が可能です。
5つ以上当てはまる場合 「あの人」があなたの脳に「居座っている」段階です。具体的な対策を始めるのに適したタイミングです。
7つ以上当てはまる場合 あなたの脳は「あの人」に「占領されている」状態です。本書の方法を使って、脳から「あの人」を消していきましょう。
※このチェックリストは、あくまでも「気づき」のためのものです。項目数にかかわらず、モヤモヤする状態が続くようでしたら、本書の方法を試してみてください。