米関税措置、撤廃求める基本姿勢は変わらない=石破首相

 4月30日、石破茂首相(写真)は、訪問先のフィリピンで記者団の取材に応じ、米国の一連の関税措置について撤廃を求めていく基本姿勢は変わらないと述べた。4月17日、東京で代表撮影(2025年 ロイター)

[東京 30日 ロイター] - 石破茂首相は30日、訪問先のフィリピンで記者団の取材に応じ、米国に関税措置の撤廃を求めていく基本姿勢は変わらないと述べた。その上で、どちらかが得をして、どちらかが損をするというものではないと改めて指摘した。連立与党の公明党が言及している消費税減税については「よく精査し、議論をさせていただきたい」と述べた。

赤沢亮正経済再生相は同日午前、2度目の対米関税交渉に向けて米国に出発した もっと見る 。石破首相は「ともに力を合わせて雇用を創出し、世界に向けてそれぞれの役割をともにハーモナイズさせながらやっていくということの重要性を赤沢大臣が向こうに申し述べる」と語った。

米国の関税措置を受けた国内の経済対策について、首相は「今の時点で新たな経済対策を考えているわけではない」としつつ、先日取りまとめた緊急対応パッケージの施策を着実に実行し、必要な支援に万全を期すと述べた。

物価高対応を含む経済対策を巡っては、公明党の斉藤鉄夫代表が消費税減税も選択肢になり得るとの考えを示している。石破首相は、ともに与党を構成する公明党の発言であり「よく精査し、また議論をさせていただきたい」と語った。

<首相、ベトナム・フィリピン首脳と会談 多角的貿易体制など議論>

石破首相は27─30日の日程でベトナムとフィリピンを訪問し、両国首脳とそれぞれ会談した。首相は記者団に対し、1)首脳同士の個人的な信頼関係の構築、2)安全保障分野の協力強化、3)米国の関税措置を踏まえた対応──の3点で成果があったと強調した。

28日に行ったベトナムのファム・ミン・チン首相との会談では、両国の外務・防衛当局による次官級協議(2プラス2)を創設し、2025年中に初会合を日本で開催することで一致。世界経済を巡る情勢や多角的自由貿易体制への影響についても幅広く議論した。

29日に行ったフィリピンのマルコス大統領との会談でも、米国の関税措置やそれに対抗する中国の報復措置が世界経済に与える影響などを議論した。地域・国際情勢では、米国の関与も得ながら、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて意思疎通を続けることで一致した。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab

関連記事: