神谷そら復活Vの裏に通算26勝のやり手キャディー 一流のメンタル操縦術
◆女子プロゴルフツアー SkyRKBレディス 最終日(18日、福岡・福岡雷山GC=6489ヤード、パー72) プロ3年目の神谷そら(22)=郵船ロジスティクス=が2年ぶり3勝目を挙げた。首位から出て1イーグル、6バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの67で回り、通算14アンダー。残り4ホールでトップに立つ金沢志奈(29)=クレスコ=との4打差をひっくり返す大逆転劇だった。メジャーのAIG全英女子オープン(7月31日~8月3日、英国・ロイヤルポースコールGC)出場を今後の目標に掲げた。 すぐには把握できなかった。神谷は15番から怒とうの3連続バーディーで猛追。金沢と1打差に迫った最終18番パー5で2オンに成功し、6メートルのイーグルパットをねじ込んだ。優勝が決まったが、「逆転したか分からなくて…。パニックだった」。斎藤優希キャディー(51)の笑顔を見て、大歓声を聞いてようやく勝利を確信した。「苦しい時期が続いたけど、結果を残せてうれしい」。応援に訪れた祖母と抱き合い、うれし涙があふれた。 9番でダブルボギー、11番はOBを打ってボギー。金沢と4打差となった。斎藤キャディーの「1回死んだけど諦めるな。ビビるなよ!」という言葉で再び闘志が宿った。18ホールで計6489ヤードと短いコース。今季1位の平均飛距離257・7ヤードを誇る長距離砲が、ドライバーを振れたのは5度のみ。「このコースは好きになれない」と苦笑しながら、同1位の平均パット数1・752と高精度のパターが優勝を後押しした。 プロ1年目の23年は2勝を挙げて順風満帆だったが、昨年は左足首と膝のけがで優勝争いに一度も絡めず「苦しい1年だった」と振り返る。復活を支えたのが、丸山茂樹、申ジエらをサポートし、通算26勝に貢献した“優勝請負人”の斎藤キャディーだ。今季から本格的に依頼し「一流になりたければイライラしても我慢すること」と助言を受け、ピンチでも笑顔が見られるようになった。「感覚派」と感性で選んでいたクラブも全面的に任せ、刷新。坂詰和久コーチの指導で、スイング軌道に合ったフェード(右へ落ちる軌道)に変えるなど、さまざまな角度からの自己改革が実った。 次なる野望は「4勝目、5勝目を目指す」とともに、「全英に行きたい」と神谷。宮里藍サントリーレディス(6月12~15日、兵庫)で上位2人が得る切符を狙う。(星野 浩司) ◆神谷 そら(かみや・そら) ▼生まれとサイズ 2003年4月18日。岐阜・土岐市。22歳。167センチ、60キロ ▼ゴルフ歴 6歳から父の勧めで始める。麗沢瑞浪高を卒業後、22年11月のプロテストに2度目の挑戦で合格。23年フジサンケイレディス、メジャーの日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯で優勝 ▼利き手 文字や箸は左手。ゴルフだけ右打ち ▼目標の選手 宮里藍、テレサ・ルー(台湾) ▼好きなアーティスト 7人組ガールズグループ・HANAで「毎日聴いていて、テンションが上がる」 ▼好きな色 水色 ▼好きな食べ物 マスカット ▼家族 両親、アマチュアゴルファーの次女・もも(19)と三女・ひな(18)
報知新聞社