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砂漠でマルチング点滴灌漑実験を行う仲麟さん=撮影日不明・資料写真(c)PeopleʼsDaily/麻万星

【1月1日  People’s Daily】甘粛省(Gansu)武威市(Wuwei)民勤県に住む27歳の仲麟(Zhong Lin)さんは、かなりの有名人だ。彼を探そうと思っても、微信(ウィーチャット)や電話では通じないことが多い。しかし砂漠に行けば見つかる確率が高い。

仲麟さんは1年のうち約3分の2を砂漠で暮らしている。この「95後」(1995年以降生まれ)の大学生は、大学2年の時に砂漠化防止と植林の道を歩み始め、ECライブコマースで資金を調達し、ショート動画で宣伝して、多くの人たちの参加を促す努力を続けてきた。24年から彼は「民勤県に木を植えに来て!」というボランティア活動を立ち上げた。これに延べ4万1千人以上の人びとが参加し、4500ムー(約300ヘクタール)の荒地に、砂漠に強い植物152万本の植樹を成し遂げた。

民勤県は東、西、北の三方向をトングリ砂漠(Tengger Desert)とバダインジャラン砂漠(Badain Jaran Desert)という二大砂漠に囲まれ、かつては砂漠化面積が90%を超えていた。

仲麟さんは県城の北東に位置する豊政村で生まれた。春に吹く空を覆い尽くす砂塵の嵐が、彼の子供時代の最も深い記憶だ。

民勤県の人びとにとって、故郷を守り、生態を保護し、収穫を確保するには、防風対策と砂漠化防止措置が不可欠だ。民勤県は1950年から組織的に植樹造林を実施してきた。親たちの世代が麦わらの束を背負い、シャベルを担ぎ、水車を引いて風や砂と戦う姿は、仲麟さんの心を深く揺さぶった。

彼も大学2年生の年2020年から砂漠化防止と植林の道を歩み始めた。しかし現実は彼に厳しい一撃を加えた。掘った穴が浅すぎた、水やりが間に合わなかったなどの原因で、故郷の荒地に植えた500本のソソ(梭梭、Saxaul)の苗木は、半月後に大半が枯死してしまったのだ。

しかし、仲麟さんは、つまずいてもそこからまた立ち上がった。22年の初め、彼はECで得た資金を手に、再び砂漠化防止に目を向けた。今度は資料を調べ、先輩に教えを請い、ついには思い切って砂漠にテントを張り、気温、風速、砂層の含水量を記録し、毎日丹念に苗木の世話をした。その結果、最終的な活着率(正常に根付いた比率)は90%に達した。   

「砂漠で育ったメロンは、甘くてとても美味しい。食べたい方はすぐに注文を!」、ライブ配信ルームの仲麟さんはカメラに向かって熱心にアピールする。砂地土壌、日照時間の長さ、昼夜の温度差が大きいなど独特の自然条件が、民勤県を高品質なメロンの産地にしている。仲麟さんは「しっかりメロンを売ることは、地元の人たちの収入増にもなるし、砂漠化防止と植林の資金も貯められる」と話す。

砂漠化防止には情熱だけでは不十分で、科学的な手法が求められる。トングリ砂漠の砂は粒子が大きく保水性が低いという特徴を考慮しながら、仲麟さんと彼のチームは何度も試行錯誤を重ね、植樹穴の直径と深さを「共に40センチ」にするという基準に加えて、1本の苗木を植えるごとに2回注水するルールを定めた。さらに株間2メートル・列間4メートルの南北方向に植えるという植栽基準を設定して、強風による苗木へのダメージを軽減した。

23年には、仲麟さんと彼のチームは1000ムー(約67ヘクタール)以上を緑化し、砂漠でソソ、ギョリュウ、ラクダ草など10数種類の植物を育てることができた。

砂漠化防止には新技術も活用されている。仲麟さんによれば、1台の機械で1日に3000個以上の植樹穴を掘ることができ、人手作業の10倍の効率で、時間も労力も節約できる。またドローンで活着率を検査すると、肉眼での推定よりも正確だという。

「仲麟さんですか? 砂漠で一緒に木を植えに行きたいんです」、24年初め、彼はネット番組「種地吧」の制作スタッフから電話を受けた。穴掘り、苗木植え、水やり、埋め戻しなど、半月間にわたり番組スタッフとボランティアは仲麟さんの指導の下、砂漠に合計18万本のソソの苗木を植えた。

番組放送後、仲麟さんのウェブアカウントでは、砂漠化防止関連コンテンツへの反応が幾何級数的に増加し、1本の動画の再生回数が900万回を突破した。突然の「バズり」に、彼は有頂天にならず、静かに考えた。「どうすればこの流量を砂漠化防止に役立てられるだろうか?」

SNSプラットフォームで「私も木を植えに行きたい」「連絡先を教えて」といったコメントが絶えないことに気づいた彼は、オンラインで「民勤県に木を植えに来て!」ボランティア活動を立ち上げ、詳細な植樹ガイドを作成した。またオフラインでは「緑化提案書」を起草して、より多くの人びとの砂漠化防止への参加を呼びかけた。

「これで本当に火がついた!」、仲麟さんはこう言う。25年の春、各地からのボランティアが続々と民勤県に集まった。社会に出たばかりの若者もいれば、ベテランの環境保護ボランティアや退職した高齢者もいた。

「00後」(2000年以降生まれ)の大学生・劉貝莉(Liu Beili)さんは春の植樹に参加した後、夏休みにも水やりや管理のため再び訪れた。72歳の程秀瓊(Cheng Xiuqiong)さんは広東省(Guangdong)から、飛行機、高速鉄道、バスを乗り継ぎ、2000キロ以上も移動して手伝いにやって来た。この活動は数か月の間に、延べ4万1000人以上の参加者を集めた。  

サービスを充実させるため、仲麟さんは砂漠に「砂漠化防止基地」を建設し、無料で食事と宿舎を提供し、植樹技術を直接指導した。地元政府は苗木を提供し、基地に電力専用線を架設し、砂利道を整備し、ホテルと連携して優待措置を設け、飲食企業も加わり、1万5000食以上の食事を無償で提供した。

仲麟さんと彼のチームは、現在ECを通じて「産業による砂漠対策支援」の仕組みを構築している。「果物を一箱売るごとに、利益の70%が砂漠化防止に投入される」という仕組みだ。

砂漠に広がる緑を見つめながら、仲麟さんは「これからも公益的な砂漠化防止活動の道を進み続け、さらに多くの若者の心を惹きつけ、防砂と緑化に青春の力を捧げたい」と、抱負を語った。(c)People’s Daily /AFPBB News  

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