ベアマンが”猛烈な自己批判”を展開、小松代表からも戒めの言葉―改良ハースでQ3進出も18番グリッドに / F1イギリスGP《予選》2025

オリバー・ベアマン(ハース)の表情は、怒りと悔しさに歪んでいた。自身にとっての母国レースとなる2025年F1第12戦イギリスGP決勝を前に、自らの「愚かで馬鹿げた」ミスにより、10グリッド降格ペナルティを受けたことを嘆いた。

ハースが強力なマシンをシルバーストンに持ち込み、久々にQ3進出を果たしたにも拘らず、ベアマンは日曜のレースを18番グリッドからスタートする。

愚かな判断と冷えたブレーキが招いた悲劇

事の発端は土曜日の最終プラクティス(FP3)の終盤、ガブリエル・ボルトレート(ザウバー)のスピンにより赤旗が振られた最中に起きた。ベアマンは時速260kmという高速でピットエントリーに進入。これは、レース中のインラップと比べても明らかに速すぎる進入速度だった。

結果、ベアマンはリアタイヤをロックさせ、右側のバリアに正面衝突。フロントウイングとノーズを破損する単独事故を引き起こした。

「赤旗中のスロー走行でタイヤとブレーキが冷え切っていたのに、それを考慮せずにピットエントリーに入ってしまったんだ」とベアマンは振り返る。

「ブレーキを踏んだら、ブレーキもタイヤも氷のように冷え切っていて、クルマのコントロールを失ってしまった。本当に愚かで馬鹿げたミスだ。自分を責めるしかない」

ヴィタントニオ・リウッツィを含む4名のスチュワードは「情状酌量の余地はない」として、10グリッド降格ペナルティに加えて4点のペナルティポイントを科す非常に厳しい裁定を下した

ベアマンは今年のモナコGPでも赤旗無視により同様の10グリッド降格ペナルティを受けており、これは今季2度目の重大な違反だった。

「完全に僕の責任。最悪で酷い結果だけど、これは誰のせいでもなく僕のせいだ」と、再び強い言葉で自らを非難した。

それでも、予選そのものはベアマンとハースにとって大きな前進だった。チームが持ち込んだアップグレードが機能し、ベアマンは予選8番手を獲得。ここ数戦、予選で苦しんでいたチームにとっては明るい材料となった。

「良い予選になったことについては嬉しく思ってる。アップグレードの効果で実力でQ3に進めたし、チームの努力が報われた結果だ。ここ数戦は予選が弱点だったしね」

特にシルバーストンで成果を上げたことは、ハースにとって大きな意味を持つ。「高速コーナーを苦手にしていたから、ここでQ3進出できたのは本当に嬉しい」とベアマンは付け加えた。

チーム代表の小松礼雄は、「このようなミスを繰り返すわけにはいきません」とベアマンを戒める一方、アップグレードされたVF-25のポテンシャルを引き出した点については評価した。

Courtesy Of Haas

シルバーストン・サーキットを走行するオリバー・ベアマンとエステバン・オコンのハースVF-25、2025年7月5日(土) F1イギリスGP

最後尾からの挑戦へ

ベアマンは4人いる英国人ドライバーの1人として、母国グランプリに強い思い入れを抱いていた。だが、10グリッド降格により決勝は最後方からのスタートとなった。Q3進出で得た達成感も、このペナルティの前では薄れてしまう。

Q3進出で少しは気が晴れたかとの問いに対し、「そんなことはない」と率直に答えた。「やり直せたらと思うけど、それはできない」

それでも、ベアマンは「今回の件から学んで、レースで挽回できればと思ってる」と前を向く姿勢を見せた。

「予選で8番手を取れるマシンがあるってことは、レースでもかなりの速さが期待できるってことだ。通常、僕らは予選よりレースの方が速いし、明日もこの状態を維持できれば、良いレースができると思う」

ハースのアップグレードが真価を発揮した1日ではあったが、愚かなミスがその成果をかすめ取った。だがベアマンにとって、今回の経験は貴重な教訓となるはずだ。母国GPでの逆転劇に期待がかかる。

2025年F1イギリスGP予選では、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポールポジションを獲得。これに続いたのはマクラーレン勢で、2番手にオスカー・ピアストリ、3番手にランド・ノリスが入った。

決勝レースは日本時間7月6日(日)23時にフォーメーションラップが開始され、1周5891mのシルバーストン・サーキットを52周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNフジテレビNEXTで生配信・生中継される。

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