金正恩氏と会うためなら「会議抜け出すこともできる」…トランプ氏、北朝鮮と年内の対話再開に意欲

 【ワシントン=依田和彩、阿部真司】米国のトランプ大統領と韓国の 李(イ)在(ジェ)明(ミョン) 大統領が25日、ホワイトハウスで会談し、米朝対話再開に向け協力することで一致した。

25日、米ホワイトハウスで会談するトランプ大統領(右)と韓国の李在明大統領=ロイター

 会談は昼食を交え約2時間半行われた。トランプ氏は冒頭、北朝鮮の 金正恩(キムジョンウン) 朝鮮労働党総書記が自身との会談を求めているとの見方を示し、「今年中に会いたい」と語った。韓国で10月末から11月初めに開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する意向を示し、「(正恩氏と会うためAPECの)会議を抜け出すこともできる」とも述べた。

 トランプ氏は1次政権時の2018~19年に正恩氏と会談を重ねたが、非核化の進展はなかった。李氏は「朝鮮半島の平和に向け、新たな道を開いてほしい」とトランプ氏に求めた。

米韓首脳会談のポイント

 李氏は23日の石破首相との会談を踏まえ、日米韓3か国の連携を推進する意向も表明した。

 トランプ氏は在韓米軍の基地建設に米側が多大な費用を負担したと主張し、「土地の所有権を譲ってもらいたい」と要求した。在韓米軍駐留経費の負担増を韓国から引き出すため揺さぶりをかけた可能性がある。

 韓国大統領府の 魏(ウィ)聖(ソン)洛(ラク) 国家安保室長によると会談では両国の貿易問題や韓国の防衛力強化に向けた取り組みなどについても協議した。「全ての分野で成果を得た」(魏氏)という。会談後、記者団から貿易問題について問われたトランプ氏は「合意は成立したと思う」と語った。ただ、2月の石破首相とトランプ氏の首脳会談で行われた共同記者会見は、この日はなかった。

 李氏は会談後、ワシントン市内で演説し、会談を踏まえ、「韓国は朝鮮半島の安全保障を守る上でより主導的な役割を果たしていく」と述べ、国防費を増額する意向を表明した。会談では米韓同盟を「安保環境の変化に応じて現代化」していくことで一致したという。

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