「カーボン」ってよく聞くけどどんな素材?ドライカーボンとウェットカーボンの違いも解説(ENGINE WEB)

スポーツカーやレーシングマシンなどに使われるカーボン。近年では、純正パーツやカスタムパーツにも採用されることが増えてきた。また、高級時計にカーボンファイバーのケースやブレスレットを使用することも増えている。そこで今回は、よく聞く「カーボン」とは何なのか、どのような特徴があるのか、クルマのパーツでよく聞く「ドライカーボン」と「ウェットカーボン」の違いがなんなのか解説する。 【写真を見る】カーボンパーツが使われている事例とは? ◆カーボンは繊維強化プラスチック(FRP)の1つ クルマや時計のカタログなどでよく目にする「カーボン」は、「CFRP(炭素繊維強化プラスチック/Carbon Fiber Reinforced Plastics)」を指すことが多い。 このCFRPという名称からもわかるように、FRP(炭素繊維強化プラスチック)の一種が炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、いわゆる「カーボン」と言われる素材だ。また、一般的なFRPはガラス繊維と樹脂で成形して強度を高めているが、CFRPでは炭素繊維を使用していることが特徴だ。 CFRPに使われる炭素繊維は、軽量でありながら、一方向の引っ張りに対する強度が高いといった性質を持つ。そのため、CFRPに使われる炭素繊維は経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交差させたり、繊維をまばらに配置して樹脂で硬化させたりするなど、さまざまな方法で多方面からの強度を確保している。 軽量かつ高い強度を持つ炭素繊維(カーボンファイバー)と樹脂で成形されるCFRPは、製造方法によって樹脂の含有量や熱に対する耐性が変わる。この点が「ドライカーボン」と「ウェットカーボン」の違いだ。 ◆「ドライカーボン」と「ウェットカーボン」の違い カーボン(CFRP)の中でも、高強度かつ熱に対する耐性が高いものが「ドライカーボン」だ。 ドライカーボンは、熱を加えることによって硬化する樹脂(主にエポキシ樹脂)を使用し、真空状態にして余分な樹脂を抜き、高温の釜で焼き上げて成形する。よって、非常に軽量で強度が高く、熱に対する耐性も高い。 一方、ウェットカーボンは、熱を加えると溶け、冷えると固まる樹脂を使用したCFRPで、カーボンファイバーを重ねて樹脂を塗り込み自然に硬化させることで成形する。よって、ドライカーボンと比べるとパーツそのものの重量が重くなり、熱に対する耐性も低い。 主にこのような違いがあることから、カーボンファイバーの特性である軽量かつ高強度というメリットを最大限に発揮できるのはドライカーボンと言えるだろう。 ◆CFRPの特徴を最大限に活かしたカーボンは「ドライカーボン」 さまざまなカーボン製品には、手に入れやすい価格のものから高額なものまである。この価格の違いは、使用している炭素繊維(織り方の違いなど)や成形方法の違いなど、さまざまな理由によるものだ。 前述したとおり、炭素繊維(カーボンファイバー)の特徴を最大限に活かしているのは熱硬化樹脂を使い、真空圧縮して樹脂の含有量を最小限にし、加熱することで硬化させるドライカーボンだ。ドライカーボンのパーツは非常に高価だが、軽量かつ高い強度と熱耐性を持っていることから、モータースポーツや航空機など、過酷な環境でも使われている。 クルマのカーボンパーツを購入する際やカーボン製の時計などを検討しているときは、どのようなカーボンファイバーを使用し、どういった方法で作られているのか気にしてみると、その本当の価値がわかるだろう。 文=齊藤優太(ENGINE編集部) (ENGINE Webオリジナル)

齊藤優太

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