宇宙ヤバイ!ベランダでアンドロメダ星雲が撮れるスマート望遠鏡DWARF mini

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やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
「DWARF mini」直販価格7万8,900円

 宇宙はヤバイ。どんな美辞麗句を重ねようとも、宇宙の凄さを完全に表現できない。となると、やはり「ヤバイ」という言葉が最も適切なのではないだろうか? これは皆さんにも共感していただけることと思う。

 そんな私達を惹きつけてやまない宇宙の魅力、美しさに迫ることができるアイテムが天体望遠鏡だ。しかし、天体望遠鏡というと、非常に大きく、かさばるものをイメージするのではないだろうか?特に天体の自動追尾や長時間露光、複数の画像を重ね合わせるスタッキング処理などに対応した製品となれば、大きいだけでなく、非常に高価という印象がある。

 そこで今回レビューするのが、 世界最小のスマート望遠鏡 をうたう「DWARF mini」だ。ポケットサイズというとやや誇張表現だとは思うが、冬物ジャケットの前ポケットであれば無理なく携帯できるサイズを実現している。それでいて天体の自動捕捉(自動導入)、自動追尾に対応し、35mm判換算で約1,016mm相当の超望遠撮影が可能だ。

 直販価格は7万8,900円と決して安くはないが、最新のフラグシップスマホでも撮影が難しい天体写真を手軽に撮れるというのは大きな魅力だ。今回は本製品の実機を借用したので、主に使い勝手と、実際にどのような写真が撮れるのかにスポットを当てたミニレビューをお届けしよう。

 DWARF miniの本体サイズは100.38×183.61×60.70mm、重量は840g。望遠カメラと広角カメラを搭載しており、35mm判換算の焦点距離はそれぞれ1,016mm、45mmだ。望遠カメラのレンズ口径は30mmで、イメージセンサーには約207万画素のソニー製CMOS「IMX662」(1/2.8型)を採用している。

同梱品一覧
中央が望遠カメラ、左上が広角カメラ
太陽を撮影する際には、付属の太陽撮影用フィルタを必ず取り付ける。磁石で吸着する仕組みだ

 本体には上下225度、左右360度に回転する電動機構を内蔵。スマートフォンとはWi-Fi、Bluetoothで接続し、専用アプリから操作する仕組みだ。また、64GBのストレージと7,000mAhのバッテリを内蔵しており、バッテリ駆動時間は最大約4時間とされている。USB Type-C端子から外部給電すれば、さらに長時間撮影することも可能だ。

上下225度、左右360度に回転する電動機構により、自動捕捉(自動導入)、自動追尾に対応する

 実際に手にしてみると、個人的な感覚としては意外に大きく重い。筆者の身近なものでたとえると、M4のガスブローバックマガジン2個ぶん。皆さんの身近なものでたとえると、中身の入った800mL程度のシャンプーボトルといったところだろうか。

 とはいえ、先ほどお伝えした通り、冬物ジャケットの前ポケットであれば十分収納できる。 これだけ小さな筐体に望遠・広角カメラ、電動回転機構、バッテリまで収めている のだから、携帯性は高いといえよう。

重量は実測840.5gと、スペック値通りだ
上が電源ボタン、中央がLEDインジケータ、下が充電、給電用のUSB Type-C端子
底面にはシリアルナンバーや技適などの情報が記されている

 DWARF miniには「一般」「ディープスカイ」「太陽系」「天の川」「星の軌跡」という5つの撮影モードが用意されている。「一般」は風景や野鳥などの撮影用。「ディープスカイ」は銀河や星雲、星団などを撮影するモードで、露光した複数の写真を自動的に重ね合わせることで、肉眼では見えにくい淡い天体の姿を浮かび上がらせる。

「一般」「ディープスカイ」「太陽系」「天の川」「星の軌跡」の5つの撮影モードを用意

 「太陽系」は太陽や月などを撮影するモード、「天の川」は広角カメラで夜空に広がる天の川を撮影するモードだ。そして「星の軌跡」では、長時間にわたる星の動きを光の線として記録できる。 天体望遠鏡という名前からは想像できないほど、撮影できる被写体の幅は広い。 メーカーが「スマート望遠鏡」とうたうのも納得だ。

 以下に、参考としてメーカー公式サイトに掲載されているサンプル画像をいくつか紹介しておこう。次の章では、筆者がこれらの作品にどこまで迫れるか試してみよう。

ディープスカイの作例(メーカー公式サンプルから引用、以下同)
オリオン大星雲の作例
一般モードの作例

 まずは練習ということで、昼間の望遠撮影を試してみた。35mm判換算で約1,016mm相当という焦点距離は、デジタルズームや超解像処理によるものではない。下記の望遠カメラと広角カメラの画角を見れば、超望遠の威力は一目瞭然だ。望遠カメラの解像感も高い。ただし、人工物の輪郭が不自然に歪んで見える箇所があった。

 動画を撮影すると、その原因と思われる現象が確認できた。下記の動画を見ると、映像が全体的にゆらゆらと揺れている。この日は10月の快晴で、気温は24度。遠くの景色を超望遠で撮影したため、途中の大気の揺らぎ(陽炎)が目立ったと考えられる。バードウォッチングなどで遠くの被写体を撮影する際には、留意したい点だ。 天体撮影でも大気の状態は画質に影響するので、空気が安定した日を選びたい。

これは専用アプリ「DWARFLAB」(Android版)の画面。スマホ用カメラアプリとほぼ同じ画面構成なので、マニュアルを見なくても基本操作は分かりやすい
DWARF miniの広角カメラで撮影
DWARF miniの望遠カメラで撮影
太陽撮影用フィルタを装着して撮影。黒点もしっかりと写っている

 DWARF miniの望遠カメラで撮影した動画。大気の揺らぎと思われる映像のゆがみが確認できる

 それではやっと本題。天体写真の撮影に挑戦しよう。今回は「アンドロメダ星雲(M31)」を狙ってみることにした。

  撮影方法自体は想像以上に簡単だった。 専用アプリで「ディープスカイ」モードを選び、星図の検索欄から対象の天体を探して選択し、撮影を開始するだけ。本体の位置合わせ(キャリブレーション)、目標の天体への方向転換、自動追尾はすべて自動的に行なわれるので、撮影中は本体に触れる必要がない。操作はすべて専用アプリから行なえる。撮影時間は自由に決められるが、今回は約30分かけて撮影した。

 ただし、今回1つ詰まった点がある。当初、露光時間を初期設定の15秒のままで撮影していたが、画像を重ね合わせる「スタッキング」に採用される画像が増えず、写真は暗く、周辺の星も線状に流れていた。そこで露光時間を5秒に短縮したところ、スタッキング採用率が大幅に改善。銀河の中心部だけでなく、周辺部分も見えてきた。

撮影にかけた時間は約30分。267枚の画像が撮影され、そのうち241枚が採用されて「スタッキング」が実行された。採用率は約90.3%だ

 なお、そのまま保存するとノイズが多いが、「天文スタジオ」機能で「星の補正」と「ノイズ除去」を適用すると、ノイズが抑えられ、銀河の暗黒帯もより鮮明に見えるようになった。ただし、補正前の自然な仕上がりにも魅力がある。どちらがよいかは好みが分かれるところだろう。

 結果としては、メーカーのサンプル画像ほどの品質ではないが、正直、想定していた以上の天体写真を撮影できた。今回は自宅のベランダからの撮影なので、条件はあまりよくなかったはずだ。街明かりが少なく、空気の澄んだ場所で撮影すれば、銀河の渦巻き構造や暗黒帯をさらに鮮明に捉えられた可能性がある。

「アンドロメダ星雲(M31)」(オリジナル)
「アンドロメダ星雲(M31)」(「天文スタジオ」機能で、「星の補正」と「ノイズ除去」)
これは長野県の国立天文台野辺山宇宙電波観測所で撮影した「野辺山ミリ波干渉計」。この付近でDWARF miniを使えば、もっと美しい天体写真を撮影できるはずだ

 DWARF miniは「mini」とはいえ、住宅街からでもこれだけの天体写真を撮影できるのだから、十分に魅力的な製品だ。特に筐体がコンパクトで、テーブルなどの安定した場所に設置するのであれば三脚も不要。旅行先に持っていき、条件のいい場所で手軽に天体写真の撮影を楽しめるというのは大きなメリットだ。用途自体は限られるが、被写体はそれこそ宇宙に無限に存在するわけなので、飽きることはないはずだ。

 本記事が掲載される頃にはすでに貸出機を返却しているが、冬になってもっと条件がよくなった時期に、もう一度試してみたいと思わせる魅力的な製品であった。

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