イスラエル野党、議会解散法案を提出へ-ネタニヤフ政権に崩壊の危機

Galit Altstein

  • 宗教政党2党、連立離脱を表明-中道・左派の野党勢力に合流か
  • 成立には4度の可決が必要、数週間から数カ月かかる可能性

イスラエルの中道および左派系野党は、議会解散法案を提出すると明らかにした。同法案には連立与党を構成する宗教政党2党の支持も得ているという。法案が4度にわたる採決を通過すれば、早期総選挙の道筋が開かれる。

  ユダヤ教の戒律を厳格に守る超正統派の2党、「統一トーラーユダヤ連合」と「シャス」の2党は、ネタニヤフ政権が10年間続いた超正統派男子への兵役免除を打ち切ろうとしているため、連立政権にもはや参加できないと発表した。

  この兵役免除問題は、1年8カ月に及ぶガザ侵攻の負担が数万人の予備役にのしかかっていることもあり、イスラエルで激しい議論が交わされている。同国軍は兵力の増強が必要だと主張し、最高裁判所は超正統派の兵役免除は違法との判決を下した。

  超正統派政党は兵役を義務づけられる法律を緩和させ、遅らせようとしている。ネタニヤフ首相とその支持者は、イスラエルが直面する危機に鑑み議会解散に適した時期ではないと主張、土壇場での妥協を探っている。

  別の連立与党に所属するエルキン議員は軍のラジオ局に対し、「ガザに人質が捕らえられ、イラン問題の決定が迫っている中で選挙を行えば、国がまひする」と呼び掛けた。

  ネタニヤフ氏は11日、自身の汚職疑惑を巡り裁判所で証言を行う予定だったが、病気を理由に出廷免除を要請した。

  議会解散を求める法手続きは数週間から数カ月かかる可能性があり、合意が成立すれば一時停止ともなり得る。4回の採決のいずれかで否決されれば、野党は向こう半年間再提出が禁じられる。

  イスラエル史上最も宗教的で強硬右派とされるネタニヤフ政権は、2026年秋まで任期がある。だが、法案の進み具合次第で、今年末あるいは来年1-3月(第1四半期)に早期総選挙が行われる可能性が出てくる。

  中道と左派はガザでの戦争の早期終結と極右の追い落としを狙っている。超正統派政党は兵役を巡る自らの懸念から、中道・左派勢力との合流に前向きな姿勢だ。

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原題:Israeli Lawmakers to Vote on Early Election in Blow to Netanyahu(抜粋)

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