「iPhone 17」実機レビュー、“プロ寄り”のスタンダードモデルは256GBで割安に
「iPhone 17」シリーズと「iPhone Air」が、9月19日に発売されます。例年との違いは、スタンダードモデルのiPhone 17が1機種なのに対し、ナンバリングのないiPhone Airが加わっている点。また、プロモデルの「iPhone 17 Pro」や「iPhone 17 Pro Max」も、これまでとはデザイン大きく変え、アルミのユニボディを採用したやや武骨な見た目になりました。
振り返ると、iPhoneは19年の「iPhone 11」シリーズでスタンダードモデルとプロモデルに分かれ、プロモデルのみ大画面版が用意されました。翌20年の「iPhone 12」シリーズでは、スタンダードモデルにminiが新設。画面に大小つける形で、スタンダードモデル2機種、プロモデル2機種というラインナップになっています。
そのminiがなくなり、スタンダードモデルの大画面版にあたるPlusが登場したのは、22年の「iPhone 14シリーズ」。スタンダードモデルとプロモデルに標準サイズを用意しつつ、それぞれに大画面版があるというラインナップ構成になりました。今年のiPhoneは、Airの登場でそのラインナップが大きく変わった形になります。
5.6mmという超薄型のボディを持つiPhone Airや、冷却機構も兼ねるアルミのユニボディを採用したiPhone 17 Pro/Pro Maxに注目が集まりがちな新しいiPhoneですが、実はスタンダードモデルの完成度も非常に高まっています。
ガラスに直接着色するインフューズドガラスを採用し、デザインも従来路線を踏襲している一方で、その中身は大きく変わっていると言えます。むしろ、大多数の人が選ぶのはiPhone 17ではと思うほど。そんなiPhone 17の実機を見つつ、そのコスパの良さをチェックしていきます。
まず、本連載のテーマである“お金”の話から。iPhone 17の価格はアップル直販で12万9800円からとなっています。昨年のiPhone 16が12万4800円からだったため、5000円の“値上げ”になっているように見えます。実際、米国でのドル建て価格は799ドルからと据え置きになっているため、日本では円安ドル高を反映したものとみられます。
ただし、これはあくまで最小構成同士の比較。iPhone 17はストレージが256GBからになっており、iPhone 16まであった128GB版が廃止されています。iPhone 16の256GB版は、発売時点で13万9800円。同じ256GBにストレージ容量をそろえると、1万5000円の値下げになっていることが分かります。値上げなのか、値下げなのかがよく分からない状況ですが、256GBのiPhoneがこの価格と考えれば、お得感が増したと言えると思います。
同容量で価格を下げ、かつデザインの雰囲気を踏襲していることもあり、スペックもマイナーバージョンアップかと思いきや、実はそうでもありません。据え置かれているのは、デザインテイストのみ。正面から見たときの印象は、よりシュッとした面持ちになっています。
これは、ディスプレイを刷新したためです。iPhone 17のディスプレイサイズは6.4インチ。iPhone 16の6.1インチから、0.3インチも大型化しています。ベゼルを細くした上に、筐体もやや縦に長くなっているからです。一方で、横幅は0.1mmほど縮小しており、片手での持ちやすさはほぼそのまま。画面サイズを上げつつ、従来の使い勝手をキープしたと言えそうです。
このディスプレイには、よりプロの要素が取り入れられるようになりました。単にサイズアップしただけでなく、機能的にもよりプロ仕様に近づいたと言えます。その根拠になるのが、ProMotionへの対応。これまでのスタンダードモデルはProMotionに非対応で、リフレッシュレートが60Hz止まりでしたが、iPhone 17では最大120Hzまで描画速度が向上しています。
そのおかげもあって、高速でスクロールした時や、アプリ一覧がブワっと出てくるアニメーションが、より滑らかになったように感じます。俗っぽい言い方をすれば、“ぬるぬる感”が増した印象。この滑らかさは、これまでのスタンダードモデルにはなかった、大きな特徴と言えるでしょう。
ProMotionはリフレッシュレートの最大値が120Hzに上がっただけでなく、最小値を1Hzまで抑える効果もあります。静止画を表示しているときや、本誌のような記事を読んでいる最中に画面が止まっていると、ディスプレイの更新間隔をグッと抑えているということ。これによって、省電力性能も上がっています。
さらに、その副次的な効果として、常時表示ディスプレイにも対応しました。これもスタンダードモデルでは初になります。常時表示ディスプレイは、電力を抑えながら、時刻や通知などを表示する機能。わずかながらもバッテリーを消費してしまうのが難点ですが、充電台に立てかけておきながら、こうした情報をチラ見する際に便利です。
筆者も、プロモデルではこの常時表示を活用しており、寝ながら時刻を見たり、仕事の最中にPCの横において次の予定を確認したりといったことに活用していました。スタンダードモデルでは非対応だっただけに、これもうれしい対応と言えるでしょう。ディスプレイに関しては、昨年までのプロモデルと同レベルになってきたというわけです。
ディスプレイだけではありません。カメラの一部も、プロモデルの要素を取り入れています。広角カメラのセンサーサイズこそプロモデルよりは小さいものの、iPhone 17は超広角カメラが4800万画素に上がりました。ダイナミックな風景を撮れる超広角の解像感が上がっているのはもちろん、このセンサーを搭載したことで、マクロ撮影の画質も上がっています。
以下がiPhone 17で撮影したマクロの写真ですが、花や寿司にこれでもかと寄れており、画質も上々です。むしろ、よりプロモデルに価格が近いiPhone Airには、この超広角カメラがなく、ここまでの接写ができません。スタンダードモデルながら、上位のiPhone Airよりもカメラ機能は優れているというわけです。
さらに、インカメラもiPhone 17シリーズとAir共通で、センターフレームに対応しています。これは、縦持ちしながら、広角だったり、横長だったりの写真を撮れる機能。正方形のセンサーを載せ、そこから必要な画角を切り出すことで実現しています。手動操作だけでなく、AIによって広角にしたり、回転させたりということも可能です。
実際、この機能でセルフィーを撮ってみましたが、本体を回転させる必要がないため、安定して持つことが可能。持ち替えた際に、ポロっと落としてしまってガラスが割れてしまった……という失敗も減りそうです。
こうした機能は通常、プロモデルが先行していましたが、iPhone 17はスタンダードモデルながらいち早く搭載してきた点が評価できます。
かなり“プロ寄り”になったiPhone 17ですが、チップセットには差分もあります。iPhone AirやiPhone 17 Pro/Pro Maxが「A19 Pro」を搭載しているのに対し、iPhone 17のそれは「A19」。コア数はiPhone AirのA19 Proと同じになっているものの、Neural Acceleratorなどに違いあって、やや処理能力は抑えられているようです。
実際、負荷の高いApple Intelligenceで画像生成を繰り返したところ、明らかにiPhone 17 Proの方が素早く完成画像が表示されたほか、発熱もiPhone 17 Proの方が少ない結果になりました。AIやゲームなど、負荷の高い作業をする際には差が出てくると言えるでしょう。もっとも、普段使いでの操作感はほぼほぼ変わりません。
どこかスティーブ(故スティーブ・ジョブズ氏)を思い起こさせる(?)薄いiPhoneを使いたかったり、iPhoneのパフォーマンスを限界まで引き出したいという人には向きませんが、それ以外の人にはしっくりくる端末と言えるのではないでしょうか。
iPhone 16までのように何かを諦める必要もなくなり、より万人受けするスマホになったと評価できます。256GBでの価格も引き下げられているため、今まで以上に多くに人に受け入れられるスタンダードなiPhoneになりそうです。