重鎮議員が裏で“懇願” 自民2陣営「食うか食われるか」の神経戦

 

 自民党の現職2人が、生き残りをかけて神経戦を繰り広げている。

 参院選の千葉選挙区(改選数3)。自民は2013年から2議席を確保してきたが、今回は危機感が強い。

 裏金問題からの支持率低迷に加え、国民民主党の台頭で激戦区となったからだ。

 党の議席維持か、自らの当選か。自民陣営の「暗闘」を追った。

「もう一人に票を…」

 「石井はポイントがいいから、もう一人の現職に(票を)くれ」

 6月11日に千葉県習志野市であった、国政報告会。自民現職の石井準一氏(67)は、党の重鎮議員が裏でそんな依頼をしていると、聴衆に明かした。

 「もう一人」とは、同じ千葉選挙区で競う自民現職の豊田俊郎氏(72)のことだ。

 豊田氏を支援する重鎮議員の発言が、石井氏の耳に入ったという。石井氏が持っている組織票の一部を回してほしいという趣旨だ。

 「そういう戦いじゃない」。石井氏の口調は淡々としていたが、危機感がにじんでいた。

 「政治とカネ」の問題で自民に逆風が吹く中、4月にあった党の情勢調査で自身は3番手だったと説明した。「私が1番に近い2番に上がらなければ、もう1議席は空きません」

 石井氏は5月の県連大会では「私と豊田氏に国政で活躍する機会を与えていただきたい」とあいさつしていたが、「ライバル」に票を譲る気はないようだ。

「二兎を追う者は」

 石井氏は3期目で、現在は自民の参院国対委員長を務める。19年の前回選では69万票を獲得し、2回連続でトップ当選を果たした。

 今回は、選挙戦の終盤でトップ争いに絡む青写真を描いている。

 「二兎(にと)を追う者は一兎(いっと)をも得ず。分かりますよね」

 ある集会で、…

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